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蒼穹に、うっすら浮かぶお月さま。
昼月はお日さまの出てる時、一緒に空に浮かんでる。
不思議って程じゃないんだけれど、ちょっとした違和感を感じたりして。

ザックリゆえば、本当はこの星の自転と公転。
お月さまの公転なんかが、蒼穹にお日さまとお月さまのコラボレーションをキャスティングしてる。
でも、そんな理屈は放っておいて、一言でゆってしまおう。
銀河の掟と。

昼月を見上げて過ごす時。
そんな掟を体感してる。
そう感じたら、拡がる空間領域に気持ちは解放される。
細く手弱やかな茎に、薄紫の花弁が涼やかな桔梗。
主張し過ぎる事のない、凛としたその佇まいは、可憐で清廉な佇まい。
酷暑であったり蒸し暑い日々。
彼の花のそんな佇まいは、辺りを払う。

鎬を削る森羅万象の中。
育ち、花開く。
この小さく無欲にさえ見えるこの花の、一体どこにそんな力が秘められてるんだろ?
見かけは決して力強いとは思えないのに、過不足のないバランスを備えてるんだきっと。
そして、シンプルな目的を掲げて、その目的の為にだけ生きてるみたい。
しなやかで強靭だ。

そうはゆっても、生き残るには、きっと様々な要素が重ならないとダメなんだろうけど…。

桔梗の花一輪。
この世の中にあるのは、僕にとっての清冽って思うんだ。
なに?
彼女は首を傾げる。
彼が遠くを見つめるその後ろ姿は、全くの無防備。
普段はヘラヘラ笑ってばかりのクセに。
なにをそんなに見つめ続けてるのだろ?
だいたいどこまで見えるってゆうのさ?
朱に染まった水平線?
ううん。違う、違うなこれは。
きっと、その眼から入る光が結んだ像を意識してない。
その視線の先は、躍動するココロと共に、未だ来ぬ時を俯瞰してるんだね。
見果てぬ夢は朽ちる事なく、ココロを奪う。
過ぎ去りし時は、想い出となり遠く流れて…。
それも良いよ。
それで、良いじゃん。

その無防備な背中は、護り続けてあげるからさ。
そうゆってくれる彼女に、彼は軽い笑顔でありがとってゆった。