なに?
彼女は首を傾げる。
彼が遠くを見つめるその後ろ姿は、全くの無防備。
普段はヘラヘラ笑ってばかりのクセに。
なにをそんなに見つめ続けてるのだろ?
だいたいどこまで見えるってゆうのさ?
朱に染まった水平線?
ううん。違う、違うなこれは。
きっと、その眼から入る光が結んだ像を意識してない。
その視線の先は、躍動するココロと共に、未だ来ぬ時を俯瞰してるんだね。
見果てぬ夢は朽ちる事なく、ココロを奪う。
過ぎ去りし時は、想い出となり遠く流れて…。
それも良いよ。
それで、良いじゃん。
その無防備な背中は、護り続けてあげるからさ。
そうゆってくれる彼女に、彼は軽い笑顔でありがとってゆった。