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TITLE:
女と金魚と餌。
SUBTITLE:
~ Whale hunter. ~
Written by BlueCat

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230109

 髪を切る。
 だいたい月に1度、中旬から下旬に髪を切るようにしているが、今の生活になってから、時々忘れる。
 あまり鏡を見ないせいだろう。

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 先日、死にかけの金魚に関連することを書いたので、より詳細に書いておこうと思う。

 人間の男の中には寂しさや性欲が蓄積すると、金魚すくいで死にかけの金魚を狙うようなことをする者がいる。
 簡単に捕まえられて、いいように慰みものにできる、弱った女を目ざとく見つけて餌にするのだ。

 是非もない。これは自然の摂理といえる。
 歴史上、鯨を狩った猫はいない。
 動物たちは皆、自分より弱いものを捕食してきたのだ。人間もまた僕の知る限り、動物でなかったためしなどない。

 あるいはもしかしたら女たちにもいるだろう。
 ことさら性的な意味で肉食系と呼ばれる女たちにあっては、弱っている男を目ざとく餌にすることもあるかもしれない。
 ただし幾分、そうした機微にも働かせる知恵の多い女であれば、あからさまに餌を捕食するより、餌として捕食されるフリをすることもあるのだろうが。

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 釣った魚に餌はやらないという悪い言葉もあるが、死にかけの金魚は、どんなに良い水を用意しても、どんなに良い餌を用意しても、そのうち死ぬ。
 まして餌にすることを目的に捕らえた捕食者は、さほどに良い環境や栄養を与えるはずもない。
 その餌は、慰みものにしたら用済みなのだから。

 そういう悪い循環にまで頭が回らないか、あるいは開き直る程度には知性を持っている者が、それを繰り返す。
 餌にされる方としてはたまったものではないが、集団はつねに弱者を必要としている。なんとなれば「弱者」という言葉を「餌」と換えてもいい。

 あるいは仮に、弱った金魚を元気にしようという動機だったとしても、結局多くの場合、弱った金魚が元気になることはない。
 物理で殺されるのでない状況においては、弱っていることで己のアイデンティティを満たせるならばその方がラクだから、餌になることの陰湿な快楽は怠惰を燃料にして抜け出しがたい引力を持つ。
 少なくとも捕らえられてすぐは新しい環境に置かれて、痩せた身体をあたためる程度の餌くらいなら貰えるからだろうか。

 いずれにせよ掬う方も、掬われる方も、救われない話ではある。

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 個人的には、ポイが1度で破れるくらい活きのいい金魚を狙うことをモットーにしている。
 確かに元気な金魚を掬うのはむつかしいのだが、掬いやすい、弱った金魚ほど結果的に救えないものもないのだ。
 逆説的に掬いにくい金魚は、掬う必要もなく、それどころか救われることさえある。

 猫の社会でも同様に、弱っている獲物を執拗に狙う者と、捕まるかどうか分からない獲物から狙う者がいる。
 端的にこれは、捕食者の能力に依るのだろう。
 無能な ── あるいは有能にして怠惰な ── 肉食獣は死骸を漁るしかない。

 きっと恋愛関係に限らず、友人関係だって同様だ。

 僕は友人関係に欲 ── 自己顕示欲であるとか、庇護欲であるとか、承認欲であるとか ── を持ち出さないが、そういう欲で友人を作る人間がいないとは思わない。

 もっと恋愛関係にも無欲であればいいのだろうけれど、恋愛に無欲であることはおよそ不可能な気がする。
 少なくとも僕には無理だ。
 恋情は愛欲に変わりやすいし、性欲や庇護欲の対象として恋人(あるいは配偶者)以外を選ぶと、ときどき惨事が待ち受けていたりする。必ず、と言っておいた方が無難だろうか。

 だから恋愛結婚はその果て、恋情に起因した欲を次々失い、愛情のカタチを見出せず分解寸前になる夫婦を目にすることは、決して珍しくはない。
 庇護と性愛の糧だった相手は成長して強く逞しくなり、尊敬と羨望の対象だった有能な相手も機関を運営する利用価値しかない侮蔑すべき道具に変わる。
 こうなると婚活と呼ばれる市場も、欲と欲を交換しているだけの空恐ろしい狩場に思える。
 餌というのは、食べれば残骸になるのだ。

 見合いだった場合はどうだろう。
 恋情がなく、ために愛欲など容易には生まれず、しかし相手を自身の許容範囲と見なした者同士が家族を構成するわけだ。
 欲が最初にないために、そこには過剰な思い入れが発生しないのかもしれない。

 だから恋愛において、相手を餌にしないことはとても大事なことだ。
 いつまでも、どんなときも、自分の慰みものとして相手を道具使いしないように気をつけておけば、あとは相手から使い潰されないように気をつけるだけで長続きする可能性がある。
 何のことはない、互いに自立していればよいのだ。

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 ともあれ禽獣らしく空腹を満たしたいというだけなら、いずれでもよいのだろう。
 しかし己の性欲やらアイデンティティやらを他者で埋めたくなる程度に成長したなら、ヒトはヒトの自覚と多少の矜恃くらいは持ってほしいと思う。

 かくいう僕は猫としては間違いなく有能なので、活きのいい鯨をとりあえず狙い続けることにしている。

 丘サーファならぬ陸捕鯨者。
 海無し県だから鯨なんてどこにもいねぇよどうすればいいんだ。







 
 

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[NEXUS]
~ Junction Box ~
 
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