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TITLE:
いつもおひとりさま。
SUBTITLE:
~ subject: Stand_alone. ~
Written by BlueCat

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::「視覚って、頭で意味を考えるより速いから、考える前に人を動かせるの。アナログハックって、そういう速度の差を狙って仕掛けるんだけど。ただ、わたしたちは商業だけれどユーザーはそこに自分だけの“意味”と物語を見てて。この意味は、ユーザーの中で妄想になって暴走する。タガが外れたとき、人間のモデルや芸能人の場合と比べると、hIEの場合は、ユーザーがどこかで“モノ”だって侮るのよね」
 
 
 

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211202
 
 目覚めて、何をしようかとぼんやり考えていると、件の悪徳業者の内通者からメール。
 今日、代表がそちら(自宅)に行くかもしれない、という内容である。
 数日勤務していたので、行動パターンは掌中にある。
 
 直接対峙してもよいのだろうけれど、いかんせん僕は弱いイキモノである。
 本来の、人見知りで引きこもりな気質が、人間不信と相まって恐怖を生んでいる。
 居留守も心が削れるので、当該時間帯は外出する方針でスケジュールを組む。
 
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 15年ほど前から、IRLで知り合う多くの人は、僕の人間恐怖症を理解しない。
 僕は社交的で、フランクに人と接することができて、人との距離をすぐに縮めることができる、と観察されている。
 なぜといって、それは必要だったため身に付けた技術であり、僕としては自身の根幹にある人格や価値観の本質が変わったようには認識していない。
 人と接していると過分に疲れるし、今でこそそんなことはなくなったが、ちょっとしたことで気持ちが傷つく。
 
 おそらく僕以外の多くの人もそうであろうと思って他人と接することを心掛けているが、世の中には厚かましくて自己中心的な人が多いのもまた事実。
 だからこそ垣根を感じさせないコミュニケーションをTPOで演じるものの、それはあくまでも、集団や空間に対する配慮であって、他人がいないときの僕の方が、僕は好きだし気楽でもある。
 
 だからといって、webに書くような思考をいつもしているというわけではない。
 むしろもっとふざけていて、デタラメな冗談ばかりを言っている。
 周囲から観察すると「大きな独りごとを言っている、ちょっとアタマのネジのおかしい人」ということになるだろう。その観察による推論を否定はしない。否定の余地もない。
 
 実際のところ僕にとっては、複数の価値観に基づいて単一の視野から得た情報を処理するので、それぞれの感じ方や、それに対する言い分があるのだ。
 ためにひとりであれこれ議論することになる。対立した2視点による議論も多いが、たいていは横槍のほうが多い。
 自分が何かに熱中していると、だいたい横槍が入る。
 茶化す場合もあれば、たしなめる意見もある。対立意見があれば、それに加えて横槍が発生する。
 
 そういう思考パターンを自分自身で構築している結果、他人とのコミュニケーションが画一的で定型的なやり取りのほうが多くて、実利のある情報が少ないと感じてしまう部分はあるようだ。
 
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 どうしても、他者と接すればまず挨拶をすることになる。
 また、共通の話題や共感を呼びやすい話も必要だろう。
 つまり、
「私はあなたの敵ではありません」
「私はあなたと同じように物事を感じることができる味方ですよ」
 というのを毎回繰り返すことが多い。
 
 もちろん挨拶を否定する気はない。むしろ励行する。
(コンビニやスーパーや外食先でも当たり前に挨拶する)
 だから定型化されたやり取りを馬鹿にするものではない。むしろそれを奨励する。
(見知らぬ人との世間話も、辞する理由は特にない)
 その意味で僕はきわめて礼儀正しく、フレンドリィである。
 ただ、回りくどいなぁ、とは思うのだ。
 
「こんにちは〜」「今日もいいお天気ですね」「あれ、髪型変えました? すごく似合ってますよ」なんて社交辞令で時間を潰すより、
「とりあえず僕とぱやぱやしません?」と開口一番に言いたい(←さっさと捕まってしまえ)。
 
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 むろん、いつも「ぱやぱやしません?」と思っているわけではないし言いたいわけでもないが、そもそもコミュニケーションによって新しい情報が得られることはさほど多いわけではないし、気になっていることの本質について他人と議論することは簡単ではない。
 
 たとえば最近は、人間の認識の内部に構築される準リアル/ヴァーチャルな情報群によって、認識世界がその個人に与える影響について考えていることが多いのだけれど、そもそも多くの人間はそんなことを考えて暮らしていない。
「ただしイケメンに限る」「アンチ・ルッキニズム」などもすべて、人間の認識世界がフィルタリングした現実によって、個々人にフィードバックされた価値観である。
 あるいは経済至上主義だって、経済そのものがヴァーチャルであると考えるならば、個々人の認識世界で過分に肥大した結果、本来以上の意味を持って価値観として出力され、それに基づいて人々は人格を形成する結果、社会が経済を個人以上の価値として認識している可能性は否定できない。
 
 しかしこんなことをいきなり言われて「そうですね。しかし私が思うには」なんて言い出せる人間はそうそう居ない。見たこともない。
 つまるところ僕が普段から考えたり気にしていることについて、何らかの答えを持っている人はもちろん、考えている人すらいない可能性が高い。
 
 どうするか。
 
 しかたないから一人で考えるのである。
 
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 もちろん「いきなり誰かに手を握られても私は構わないしむしろ嬉しいただしイケメン/美女に限る」という価値観は相応のコモンセンスとして根底には存在しているはずだから、コミュニケーションにおいてある種の話題を形成することが可能である。
「いや私も」とか「それはさすがにないわ」とか、それぞれの価値観を開示しながらコミュニケーションを行うことができる。
 
 しかし上記の僕のように「ヴァーチャルが人間の認識に明示的に参入することで起こる価値観の変遷と現実社会へのフィードバックの可能性およびそのメカニズムについて」は、コモンセンスとしてはまだ社会に浸透していないから、ほとんどの人はこの現象について何も考えていない。何の評価もできないし、メカニズムの分析も行っていない。
 経済のように圧倒的なリアルに寄ったヴァーチャルもあれば、コンピュータ技術によって実現したキャラクタによって心を動かされるというヴァーチャルから現実に寄せてきたものもある。芸能人はリアル寄りのヴァーチャルキャラクタビジネスと考えることが可能だし、AIは本来実体のない情報を実体化させるインタフェイスとして機能し始めている。
 
 いずれも人間のために働いて、いずれも人間が作りだしたものであり、そこに明確な意図や目的がなかったとしても、明確な作用はある。
 しかしそれらについて明確に開示している人は少ないし、考えている人も少ないように観察される。
 お金はお金で、ゲームはゲームで、ヴァーチャルキャラクタはヴァーチャルキャラクタで、芸能人は芸能人でしかないと思っている人が多い。セクシャリティも、ニュースも、ビジネストレンドも同様、人間の欲という欲のあるところ、感覚や認識の働くところすべてにヴァーチャル/リアルの認識バイアスは浸透し、個々人の価値観と社会の傾向に影響している。
 
 そして個々人の価値観に与える影響について、それらが似通っている部分は少なくない。
 なぜならそれらの存在を欲し、それらを手に入れ、それらから影響を受けることを人は求めているからだ。
 欲とはつまり、影響を受けていない状態から、影響を受けた後の状態を求めることだろう。
 
 あるいはそれは、あまりにも当たり前のことだから、議論の必要を誰も感じないのだろうか。
 
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 人間たちの思考やコミュニケーションプロトコルは、僕のそれとは少々違っている。
 おそらく僕が少数派なのだろうとは理解している。
 多くの人間は群れている一方、僕はだいたいソロ活動をしている。
 交友を含めたコミュニケーションの範囲はきわめて狭く、接する人間もごく少数しか居ない。
 
 今回、初めてそれが心細いことなのだと分かった気がする。
 
 一人暮らしを始めるときもそうだったのだが、僕は自分が孤独であることについて、何の違和感も持たずに過ごしていた。
 そもそも子供の頃、家族が離散する以前から、群れを成す人間との思考や習慣の違いには薄々気付いていた。
 だから友人ができないことにも、集団に加わりたいと思ったとしても加わることができないことも、自身と他人の価値観や特性の差異について納得はできた。
 
 だからこそ、僕は独りでいることを不自然に思わなくなった。
 家庭が貧しかったことも影響しただろう。
 僕は10代になる以前、家事を始めた段階ですでに、誰かに甘えることなく生きてゆく必要を感じていたし、それを実現するためのステップを考えることが必然だった。
 
 自分ひとりでどこまで何ができるかを考え「できること」を拡張し続けた結果、だいたいのことについて他人が不要になってしまったとさえいえる。
 もちろん、自分ひとりでは対応しきれない事態がなかったわけではない。
 普通に頼れる人間がいるならば、一人暮らしで水道を停められるような事態にはなかなか遭遇しないだろう。
 しかしそれさえも、頼る人がいないなら自分ひとりでなんとかするしかないし、そうこうするうち、自分ひとりで何でもできるようになってしまうのだ。
 
 先日も冗談交じりに書いたが、ガールフレンドに求めるものについて20年ほども前から「カラダだけ」と僕は言っている。他に求めるものがない。
 何も奪わないで居てくれたらそれだけでいい。
 
 たしかに恋人が僕のように料理もできて、家のリフォームもできて、コンピュータシステムの構築も(せめてマニュアルを読めば理解することが)できて、植物の組成や代謝についても理解できて、掃除をするときは汚れの種類に応じた薬品や道具を選択することができて、人体や猫の身体機能についても理解していて、人間の精神構造についても理解しようと努めていて、それなりにお金を稼ぐことができて、何らかの仕事を与えると人並み程度には能力を発揮できて、ということなら(代わりに僕は別のことができるので)まぁ素晴らしいと思う。
 あるいは僕に不足する何かを提供してくれる人ならば僕にはかなり有用であると思えるだろう。(眼鏡っ子成分が足りないことが多いので、仮想奥様にはそれを提供してもらっている。つまりはその程度のことである)
 
 しかし恋人が、上記のような複雑怪奇かつ曖昧模糊な抽象論を取り扱えるとは思っていないし、求めるつもりもない。それは経験上、どうしようもない。
 僕のリアルの友人たちもそんなものは理解しないし、ネコノカミサマでさえ僕の疑問に答えてくれたことはない。
 
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 人的リソースとは、現代においては物的リソースで代替可能である。
 人数が少なくて心細いなら、物量で、あるいは情報量でそれを補うしかない。
 ひとりが心細いなら、それを補って余りある物的安心を構築するしかない。
 それがリアルであろうとヴァーチャルであろうと関係はない。
(求めよ、そして構築せよ、さすれば与えられん)
 
 そして望む場所にそれらを構築することができる。
 それが僕の能力なのだろう。
 
 きっと生きとし生けるすべてのものは、孤独だろう。
 その孤独を埋めるために集団を作ることについて、僕はそれを揶揄するつもりはないし、弱いことだとも思わない。
 それは最適化で、多少なりとも賢い選択だ。
 僕のように孤独をどこまでも選ぶのは、弱さを放置していると考えれば、不適切な選択だといえる。
 
 しかし孤独を選ばなければ、集団に足を取られることもある。
 他者とのコミュニケーションに時間やお金を掛けるのが常に無駄だとは思わないが、そこで欲しているコンテンツを得られないなら、お金も時間も人格の変容も、一切のリソースを振り分ける必要などないのだ。
 
 もちろん、僕が欲しているコンテンツが、誰の、何の役に立つわけでもないことはよく知っている。
 今までの人生で、およそずっとそうだったのだから、それらを体系的な情報にまとめたところで、誰の役にも立たず、現実世界の一切の物事とリンクする術もなく「ワカラン」と両断されるのは分かっている。
 
 しかしボクはそれを知りたいのだ。
 
 人間のメカニズム。
 人間が潜在的に選択してしまう、ときに非合理な条理の根底にあるものを。
 それが果たして「よいもの」か「わるいもの」かを。
 
image
<複雑にして美しいものはたくさんある。逆もそうであるように>
 
 
 
 
 
 
 

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::「アナログハック! hIEが、人間の形をしているけれど、人間と同じ意味は持っていないこと。形が同じだから、意味を判断する人間が勝手にズレを作って錯覚にはまり込んじゃうの! hIEを使って、【接する人間に、好意や意識のセキュリティホールを作れる】のよ」
 これだけの人間が、ハックされて消費へ誘導された。
「アラトくんのレイシアちゃんは、“カタチ”を利用して人間を自発的に動かすっていう、社会へのハッキングを行ったのよ」
 
 
 

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[出典]
~ List of Cite ~
文頭文末の引用は、
『Phase2「Analog Hack」』From「BEATLESS」(文庫版 上巻)
(著作:長谷 敏司 / 発行:角川文庫)
 によりました。
 
なお、引用文中の傍点強調は『【】墨付き括弧』にて記述しています。
 

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[NEXUS]
~ Junction Box ~
[ Traffics ]
 
 
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[Engineer]
  :青猫α:青猫β:黒猫:銀猫:
 
[InterMethod]
  -Algorithm-Blood-Diary-Ecology-Interface-Link-Mechanics-Stand_Alone-
 
[Module]
  -Convertor-Generator-Reactor-Resistor-Transistor-
 
[Object]
  -Human-Koban-
 
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[Cat-Ego-Lies]
  :ひとになったゆめをみる:
 
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