モモのボーイフレンド ルイ の家は

うちとは比べものならないくらい裕福である。

 

ビーチにいつも新車のBMWスポーツ車で颯爽と乗り付けてくる。

 

飼い主はしょっちゅうフランスパリやらスペインやらに海外旅行したりカリフォニア州サンタモニカの別荘で過ごしたりしている。その間、ルイはドッグシッターに預けられるそうだ。ルイはドッグシッターに預けられている間、寂しさのあまり食欲が減退し、飼い主が旅行から帰ってくると少し痩せてしまい、可哀想らしい。

 

俺なら、俺がもし金持ちでも、モモを預けてまで旅行になんて絶対に行かない。

 

ルイはモモが本当に大好きでルイにつられて飼い主までもモモを可愛がってくれる。モモも自分を好いてくれているルイとルイの飼い主のことが大好きらしい。

 

昨日、ある知らない犬がルイの飼い主に近づいてきてクンクンと匂いを嗅いでいたら、何を察知したのかモモが瞬時にルイの飼い主にピッタリとつき、その犬をブロックし、ウ”ゥ”ゥ”ゥ”ーと唸りその犬を威嚇した。

 

えー!ちょっと見た?今の見た?モモが私をプロテクトしたわ!モモ、凄いわね。モモ〜ありがとう!

 

ルイの飼い主は大喜びである。

 

毎年6月中旬から7月中旬ごろにかけてメイン州にある別荘で夏を過ごすの。ねぇ、あなた達、うちの別荘に遊びにきなさいよ。その別荘にはプライベートビーチがあるからモモが来てくれたらルイは大喜びよ。

 

それは素晴らしいですね。ぜひ行かせてもらいたいのですが、ただ、夏はフードトラックビジネスの最盛期でなかなか休めないんです。でも、もし暇が取れたら連絡しますね。

 

と俺は遠回りな言い方でどっちでもいいような答え方をした。メイン州まで車で4〜5時間はかかるし長時間の運転はちょっと面倒くさいなぁという思いの反面、プライベートビーチでモモとルイが楽しく遊ぶのを見たい気持ちも否めなかった。

 

ルイの飼い主夫妻は気さくで話しやすく、おまけに楽しい人たちだ。お金持ち独特の高飛車さは全くなく付き合いやすい。ある日こんな面白い話をしてくれた。

 

ずいぶん昔の話なんだけど犬に関するこんな話があるの。友人は昔マンハッタンのセントラルパークの近くに住んでいて犬を飼っていたので毎日セントラルパークに散歩に連れて行ってたの。そんなある日、いつものようにセントラルパークに行くとパークの入り口に男性が立っていたらしいの。その犬はとてもお利口さんで優しい子なのに、その男性に唸って威嚇したらしいのよ。友人は慌てて犬を宥めてパークでお散歩させて、帰り際にその男性がまだ同じ場所にいて、また犬が唸って吠えたらしいの。友人はその男性に謝って犬を引っ張ってその場を後にしたの。その翌日、ニュースを見て友人はショックを受けたわ。なんとジョンレノンが暗殺されたのよ。そしてテレビに映っていた犯人が犬が吠えて威嚇したあの男性だったのよ。だから、もしあの時犬が吠えてその男性に噛みついていたらジョンレノンは殺されてなかったかもしれないの。

 

凄い話を聞いてしまった。アセアセ 

ニューヨークの歴史が変わってたかもしれないレベルの話だ。

 

でも考えてみると、犬が犯人に噛みついて、もしジョンレノンの命を守ったとしても、犬は喋れないので「この男はジョンレノンを暗殺するつもりだよ!」とか言えないから、誰もジョンレノンが暗殺されることなど知らないので、その犬は本来ならヒーローに値するのに、単なる狂犬として取り扱われ始末されていたと思う。

 

これがいわゆる『真実と事実』の違いとかいうやつなのか、、

俺の思考も還暦になると少しばかり深くなってきたようだ。