ブックレビュー箱庭特集⑨箱庭療法 ー基礎的研究と実践ー 木村晴子 1985 | こころの臨床

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心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

第Ⅰ部概説は、それまでの類書に比して、より整理されているとも言えるので、これを参照テクストとしてもよいと思われます。

 

第Ⅱ部の基礎的研究編は、その当時数少ない他技法との比較研究の集積となっています。

 

付録のQカード分類は、実際にやや使い辛いかなと思いました。

 

第Ⅲ部は事例編で、いずれも、治療者である木村先生の卓越した技量が表れている事例でした。

 

すでに別書に発表さえたものの再掲事例もありました。

これは、三木アヤ先生のコメントが付されていたものでした。

 

その中でも非常に印象に強く残り、また、エピソードの端々に自分自身の過去のケースを想起されてそれと参照することで勉強になったのは、第11章の「MBD*を疑われた少女のたった1つの箱庭」でした。

 

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