宗教学会第82回大会パネル conspirituality研究の課題と展望 6/8 | こころの臨床

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心理学は、学問的な支えも実践的身構えも、いずれも十全と言うにはほど遠い状況です。心理学の性格と限界を心に留めつつ、日本人が積み重ねてきた知恵を、新しい時代に活かせるよう皆さまとともに考えていきます。

堀江宗正「コロナ禍とコンスピリチュアリティ」

 

スピリチュアリティとコロナ(COVID-19)陰謀論との関連を報告。

 

問題となる陰謀論:コロナ風邪論、ポジティブ予防論、生物兵器説、製薬会社デマ説、マイクロチップ説。

 

これらは互いに有意な相関があるが、特に相関が高く、少数の人しか信じておらず(周縁性が高い)、年齢との負の相関という点で共通しているコロナ風邪論、製薬会社デマ論、マイクロチップ説の得点(四件法)を合算して尺度として扱う(α=0.71648)。

 

その知見は以下。

・陰謀論の背景要因としては、孤独・排他性・SNS信頼が特定された

・上記から、自己の主張と一致する情報の集中的受容、他の情報からの自己隔離の結果、組織的情報工作の可能性のある陰謀論を自ら進んで支持する「自己マインドコントロール」の状態があると考えられる。

・典型的支持者は若い男性。

・退職後の男性がYoutubeを見すぎて陰謀論を信じ込むという痛切は否定。

・高齢男性は葬式仏教との結びつきが強く、性別・年代別では最もコロナ陰謀論を支持せず、背景要因の影響も少なかった。集団への同調ゆえに周縁的な陰謀論は支持しないと見られる。(マスメディアの方が信頼できると思っている。)

・陰謀論との結びつきは、信仰者や懐疑派よりもSBNR(スピリチュアルだが宗教的ではない)の方が強かった。

・したがって、コンスピリチュアリティとまとめられる人々は存在する。

・しかし、SBNRの中で、陰謀論者はなおマイノリティだった。

・コンスピリチュアリティには女性も多いとの先行研究に反して、むしろ男性が多かった。

 

詳しくは、「新型コロナウィルス感染症に関わる死生観調査の結果について」(『死生学・応用倫理研究』27号、2022:pp.168-222)

 

[今回、心理臨床大会ポスタープレゼンで久々に再会の先生からの堀江先生へのお使いでのお願いミッション、完了。よかった~~。實川理事にこの発表の報告をすると「彼は相変わらず数字がすきだなあ」とのご感想でした。]

 

 

(最後の発表者伊藤先生の発表につづく)