映画もそうだが、小説のなかにも、どうしても批評の対象にできない作品というものがある。あーだこーだいっても、やっぱり(自己内比)ぜったい最高! としか言いたくない。
誰でも、たとえ私と正反対の理性的・論理的な知性人であっても、理屈抜きのウィークネスというのはあるのではないか。
数日前に寝そびれて、久々にモンテ・クリスト伯(岩波版全7冊)を読み始めたらもう止まらなくなった。もちろん大学生の居候はその間自炊さ ヾ(- - ;)オイ
もう数十、いや数百回は超えている ?ほど読んでいるが、今回も仕事外の時間をほとんど費やし、まさに寝食を忘れてぶっ通し3日間で読み終えた。
アレキサンドル・デュマという巨漢大食漢の破天荒オヤジは本当にすごいと思う。『モンテ・クリスト伯』『ダルタニアン物語』『鉄仮面』『黒いチューリップ』ざっと思い浮かぶ全てが面白すぎる。
すべてにスケールのでかい、著者アレクサンドル・デュマについての解説はこちらが面白い。ttp://tanizokolion.fc2web.com/dumas.html
たしか河合隼雄が子どものころ夢中になって読んだのが『巌窟王』だった。ずいぶんと影響を受けたらしい。主人公モンテ・クリスト伯が最後旅立つ前に言い残した台詞が、いまの自分の仕事そのものである・・・と、どこかで語っていた。
「(略)わたしのあなたへの行動の真諦をお知らせしましょう。それは、この世には、幸福もあり不幸もあり、ただ在るものは、一つの状態と他の状態との比較に過ぎないということなのです。きわめて大きな不幸を経験したもののみ、きわめて大きな幸福を感じることができるのです。マクシミリヤンさん、生きることのいかに楽しいかを知るためには、1度、死を思ってみることが大切です。(略)そして、主が、人間に将来のことまでわかるようにさせてくださるであろうその日まで、人間の叡智はすべて次の言葉に尽きることをお忘れにならずに。
『待て、しかして希望せよ!』
(岩波文庫/山内義雄訳)