ブレイクスルー(1) | すべてはうまくいっている! 光と心の調和

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ブレイクスルー(Breakthrough):進歩、前進、また一般にそれまで障壁となっていた事象の突破を意味する。本質的な課題を打ち破る革新的な解決策。

心理療法でもブレイクスルーは、クライエントさんが抱えている問題を解決するという意味において、重要な要素のひとつといえます。

私の考えるブレイクスルーは、何らかの問題が起きたときに、その問題を「壁」として乗り越えたり打ち破ったりするのではなく、その問題そのものを「問題ではなくしてしまう(非問題化)」もしくは「問題が消失してしまう」といった、「価値の転換」に近い感覚でしょうか。



私が家族療法として用いる心理療法に「システムズアプローチ」があります。(「システムズアプローチ」については、中断している「●折衷主義のカウンセリング理論」で詳しく書きたいと思っています)

そのシステムズアプローチの主要技法のひとつに「リフレーミング」があります。このリフレーミングは「ブレイクスルー」にとても大きな効力を発揮する場合があるのです。

リフレーミングについて話す前に、最初にシステムズアプローチについて簡単に説明しましょう。


システムを「部分と部分の相互作用の仕組み(パターン・連鎖)の全体」あるいは「ある一定の法則に従って活動を繰り返している、複数の部分からなる集合体」と解釈します。

システムを形成する「部分」は「全体」に影響を与え、「全体」は「部分」に影響を与える。このような事象の捉え方を、円環的思考法(システムズアプローチ)と呼びます。

事象Aは事事象Bの結果である。・・・直線的思考法
事象Aは事象Bの結果とも原因ともなり得る・・・円環的思考法

システムはあらゆる事象に当てはめることができます。小は分子原子レベルから大は宇宙レベルまで。

人 間もひとつのシステムと考えることができます。心と身体を部分と捉え、心(部分)と身体(部分)が相互作用し、互いに影響し合いながら人間(全体)として 機能する。心が変われば身体が変わり、身体が変われば心が変わる。心身相互作用によって成り立つシステムというわけです。



家族療法では「家族」を「個人と個人が相互作用を及ぼし合って成り立つ全体(システム)」と捉え、それを特に「家族システム」と呼びます。

祖母・祖父、父親・母親、子ども(きょうだい)といった家族の構成員は、それぞれ独立した個であると同時に、家族全体に影響を及ぼし、また家族全体からも影響を受けています。

し たがって、互いに影響を及ぼし合っている家族の一人が変われば、家族システム全体に変化が生じ、家族システムに変化が生ずれば、さらに個々の家族構成員に も変化が生じる・・・一人(一部)が変化することによってシステム全体へと変化が連鎖し、場合によっては新しい家族システムを形成することになります。

このように「ものごとは円環的な相互作用によって成り立っている」という視点に立つと、一つの「現象(問題)」を様々なかたちで表現し、意味づけをすることができるようになります。

たとえば、「子どもがいたずらをするから親が怒る」と意味づけられている現象を「親を怒らせるために子どもがいたずらをする」と表現しなおすことができます。あるいは「気が利かない嫁だから姑が仕切る」という現象を「姑がでしゃばるから嫁が遠慮する」という表現に置き変えることもできます。

つまり相互作用をどのように「切り取る」かによって、ものごとや現象に対する意味づけが変わってくるわけです。システムズアプローチでは「切り取り」を「パンクチュエーション(punctuation):句読点を打つ」とも呼びます。句読点をどこへ打つかによって、現象への意味づけが変わってくるわけです。

人はたいてい自分がすでにもっているパンクチュエーションの癖に沿ってものごとを捉え、意味づけしながら生活しています。自分の持っている癖が強いほど、意味づけは一方的なワンパターンに陥りがちです。

よく「親(原因)→子ども(結果)」というパンクチュエーションの癖のあるセラピストやカウンセラーがいますが、その場合クライエントさんとのセッションを行うなかで「親は加害者、子どもは被害者」という文脈で問題を捉えやすくなります。そのときには「子ども(原因)→親(結果)」というパンクチュエーションの存在は見向きもされないでしょう。

また、クライエントさんにも同じようなパターン化が起きていて、「相手(原因)→自分(結果)」というパンクチュエーションの癖をもっている場合、「自分(原因)→相手(結果)」という相互作用にはほとんど目が向きません。

パンクチュエーション(切り取り)の仕方の癖が強ければ強い程、現象に対する意味づけも一方的になってしまうわけです。

意味づけには人の認知機能も関わってきますが、システムズアプローチではあえて、認知だけではなく、個人のもっている価値観や思考、想念、思念、信念、怨念等々、その人の言葉や行為を通して観察可能なものである限り、すべてをひっくるめて「ものごとに対する意味づけの仕方」と捉えます。そして「ものごとに対する意味づけの仕方」を「フレーム(枠・枠組)」と呼びます。



個 々人のフレームは、個々の人生経験を通じて獲得されたり消去されたりするものですが、とくにフレームに強い影響を及ぼすのがコミュニケーションです。他者 との会話、コミュニケーションによって、個人のフレームは形成・強化・弱化・消失など、大きく影響を受けながら変化を遂げていきます。

ときにはそのプロセスの中で、ある特定のフレームがその時代・国、社会に生きる多くの人々に共有され、社会的な「常識」や「真実」や「正義」となって大きな支配力を発揮することもあります。しかしそれもしょせんは単なるフレームに過ぎず、社会構造やブームの移り変わり等によって「常識」や「真実」や「正義」が簡単に翻されることはご存知のとおりです。



個人のもっている「フレーム」を変化させたり、強化したり、弱化したり、またはまったく新しいフレームを形成したりすることで、連鎖的にシステム全体の変化を生起せしめ、問題の解決または消失につなげる作業。

もっ と具体的にいえば、個人のフレーム(ものの考え方・価値観・思うことや話すこと)が変わることで、連鎖的にその人の感情や行動、考え方、身体症状に変化が 生じ、その変化がさらに周囲の人間関係に影響を及ぼし、さらにさらにその人やその人の家族が抱えている問題の改善や消失さえも期待することができる、その ための作業。

それを「リフレーミング(再枠組み、再意味づけ)」技法といいます。

ここでやっと冒頭に書いた『リフレーミングブレイクスルーにとても大きな効力を発揮する場合がある』につながりました。
やれやれ。(つづく)

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