ハングリー精神 | わたしの「らんにんぐ★ふぃろそふぃー」

わたしの「らんにんぐ★ふぃろそふぃー」

走ることでいろんなことを学ばせてもらいました。それはある意味自分の人生哲学になりうるかなという思いで、日々思ったことをランニングネタで書いたり書かなかったり、ゆるく、ほそく、ながく続けていけたらなと思います。どうぞ、末永く見守ってやってください。

過日、5月16日、後楽園ホールにて、新日本キックボクシング協会主催の日本ミドル級タイトルマッチが行われました。



このブログをお読みの方は「んっ」と首を傾けるかもしれませんが、もちろん僕が出たわけではないですし、格闘技とは今まで無縁の人生を過ごしてきた人間ですが、とある縁で一人の高校生ファイターのお世話を少しだけさせてもらっています。(まぁ、お世話といっても本当に大したことはないですが…)



彼の名は松本志朗 くん。まだ「くん」をつけても違和感のないくらい幼さの残る高校2年生ですが、今年の1月にプロデビューし、16日の試合がプロ2戦目でした。



わたしの「らんにんぐ★ふぃろそふぃー」-志朗くん


彼は小さいころからキックボクシングを始め、今は通信制の高校に通いながらムエタイの本場であるタイのジムに寝泊まりして鍛錬に励んでいます。日本のスポーツ界は非常に恵まれているものの、逆にタイという異国の地であえて厳しい環境ん自分をさらしながら上を目指すというハングリー精神は本当に尊敬しますし、何よりキックボクシングが好きなんでしょうね。



日本では近年エリート教育をJISSやNTCで実際に行われています。北京オリンピックで太田選手が結果を残したのも、まさにそういった国を挙げてのサポート体制の賜物といっても過言ではありません。エリートアカデミーとして、今は卓球、フェンシング、レスリングが対象らしいです。昨年の秋に実際にJISSに言って担当の方からもいろいろお話を伺いました。



スポーツは非常に素晴らしいものだと思いますし、感動や興奮を生み、見る人を虜にするような美しさがあると思います。人々は勿論プレーに感動していますが、それと同時にアスリートの価値観やそれまでの道程に共感するところも見るスポーツの醍醐味でしょうね。



あえて誤解を恐れずに書こうと思いますが、本当にスポーツの世界で勝つために必要なのはハングリー精神なんじゃないかなと思います。エリート教育を否定するつもりは全くないですし、その中で頑張る子たちは様々なものを犠牲にしているし、大きなプレッシャーを常に背負い競技をするのは、20歳以下の子にとっては本当に酷だと思います。ただ、ハングリー精神を身につけるという意味では、恵まれた環境の中だけでやっていては不十分だと僕は思います。



アカデミーの担当者もチラッと言っていましたが、エリート教育の弊害は「恵まれた環境が当たり前だと思ってしまうこと」だそうです。大きな体育館や管理された食事。それを当たり前だと思ってしまうと、ちょっとした不便さに不平をこぼす子もいるそうです。


志朗くんが今拠点にしているタイは政治も不安定で世界的に見れば富裕な国とは言えないでしょうね。タイで盛んなムエタイは国民的なスポーツですが、だからこそ競争も激しく、価値の残ったファイターだけが大人になってもリングに上がれるような世界です。日本から武者修行に来た子は小童として扱われることが多いそうですが、志朗君はその中でも一目置かれているとのこと。



彼と話をしていると、本当に素直で心優しくて、でも芯をしっかり持った子という印象です。今回は実は数日前に右腕を肉離れしてしまい、腕も上がらないという状態でしたが、それでも堂々とリングに上がり、判定勝ちしました。


肉離れの相談を彼のお父さんから受けていたので、当日は心配してましたが、結局腕が上がらなくても「片手で戦う」とさらっと言った見たいです。脚が使えるとはいえ、それは過酷でしょう…と思っていましたが、きっとタイという異国でトレーニングを積んで試合に出ていれば、今回以上の悪条件もきっとあったんでしょうね。


若きアスリートの熱い試合に刺激された一日でした!!