(51・終)
峠杣一日・著
「心月」(しんげつ)
〽️
一、地獄(ぢーーーごく)の 一丁目
襤褸(ぼーーーろ) 纏(まと)ひ
流離(さーーーすら)ひの 果て
旅(たーーーび) 鴉(がらす)
二、じーーーいんと 燃ゆる
日(ひーーー)が 昇る
心(こーーーころ)の 月の
水(みーーーづ) 鏡(かがみ)
目ん玉の中核を射貫(いぬ)かれた腐眼弾丸(くされめだま)。
お笹媛(おさき)による餞(はなむけ)の演歌熱唱の中、葈耳(をなもみ)の怪人(くわいじん)兇興大明神(きょうきょうだいみゃうじん)の姿に戻り、彼自身の終着駅へと消えてゆく。
しかし彼は、私達の幼稚(えうち)っぽさの化身(けしん)。
決して滅(めっ)することはなく、私達の命と共にある、否(いな)私達の命そのものでもある。
命はまた、生かし合ふ生命。
生かし合ふとは、敬(うやま)ふこと、大切にすることである。
そんな命を育む働きが私達であり、私達は天球(てんきう)と地球とに育まれてゐる。
はて、ブラックホール空間に白い雪が降り始めた。
お、大きな袋を曳(ひ)いて雪原に立つのはサンタさん……と思ひきやあれは大黒(だいこく)さん。
や、笹彦太助(さひこたすけ)と合体して和心和心大黒翁(にこにこだいこくをう)になった。
その右手には瑤野槌(たまのづち)、錚槌大明神(かねつちだいみゃうじん)のお錚(おかね)が乗ってゐる。
やあ、雲に乗って現れた雪女郎(ゆきぢょらう)が雪やこんこと謡(うた)ふお笹媛と合体、弁財天女(べんざいてんにょ)になった。
あ、双子(ふたご)の流れ星。
寿老人(じゅらうじん)の心吉(しんきち)と福禄寿(ふくろくじゅ)の金吉(こんきち)だ。
ごろごろきゃっきゃと雪達磨(ゆきだるま)を作ってゐるのは布袋法師(ほていほふし)と毘沙門士(びしゃもんざむらひ)。
はて、恵比須三郎(えびすさぶらう)が三子合鍵(みつごのあひかぎ)で雪の中に糸を垂(た)れてゐる。
……といふことはやはり、目出度(めでた)や芽出度(めでた)や、雪原の中から出(い)で立つ宝船。
七福神(しちふくじん)打ち揃(そろ)ふて、いざ地球へ向けて出航(しゅっかう)だ。
『なんぞころびやおき 地球慕情篇』 終はり
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【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
〽️
いやさかえ
いのちいやちこ
さいはひよいち
まほらとこいは
みつのたま
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
南無あれかし大明神
つづく。
来週はお休みします。
皆々様、よいお年を。