⑲
峠杣一日・著
一日翁(いちにちをう)の雲を切断した、一陣(いちぢん)の風。
その正体は、紫色の梟(ふくろふ)。
お冥(おみゃう・兇冥きよみ)の前に降下(かうか)すると、人の姿に変はった。
「ほっ!
見たか!
かっこ好(い)いこの儂(わし)の登場っぷりを!」
やや何と、兇蔵(きょうざう)である。
邪悪原人(じゃあくげんじん)は、肉体を再生出来るらしいぞ。
「遅いぞ爺(ぢぢい)!
とっとと何とかしろ!」
「さう急(せ)くなお冥。
此奴等(こやつら)纏(まと)めて、我が刀の錆(さび)にしてくれるわ!」
正眼(せいがん)に構(かま)へた兇蔵、足許(あしもと)の影から無数の邪眼(じゃがん)が溢(あふ)れ出す。
「ほーっ!
長(とこ)しへに死ぬるが吉(よ)い!
梟鏡殺法(けうきゃうさっぱふ)!!」
どす黒い眼(め)!眼!眼!の渦巻(うづまき)が、経法印(きゃうほふいん)達を空間ごと呑(の)み込んだ。
「えい、幻術(げんじゅつ)か!
ならば!」
経法印の羽(はね)が、これまた無数の鉤爪(かぎづめ)となって放射された。
ぴちゃぴちゃぴちゃんと、邪眼が潰(つひ)えてゆく。
「むうっ!
遉(さすが)は白鷲天狗(しろわしてんぐ)の頭目(とうもく)。
ぢゃが、これで終(しま)ひぢゃ!
ぽーっ!!」
ああっ、くねくね全身くねくねって、兇蔵得意の投げ接吻(キッス)だ!
すると途端(とたん)に眼!眼!眼!が全て、喙誘導弾(くちばしミサイル)に変化した!
「消えよ!
死刑!
ぽほーっ!!」
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか、南無あれかし大明神!
つづく。