『なんぞころびやおき 御魂ケ島篇』
(26)
峠杣一日・著
そんな或(あ)る日。
つぶら天狗(てんぐ)の圓彦(まどひこ)が夜空を眺めて居ると、満天の星のひとつが危険を知らせる明滅(めいめつ)を示(しめ)した。
然(さ)もあらん、先刻(せんこく)から禍々(まがまが)しい気配(けわい)を感じ取って居たのだ。
や、怪(あや)しい人影がひとつ、気配は奴(やつ)だ!
いかん、沖柱力研究所(ちゅうちゅうりょくけんきうじょ)へ向かって夜陰(やいん)に紛(まぎ)れて走って行(ゆ)くぞ。
「待て!」
圓彦が走り寄ると、すらり白刃(はくじん)を閃(ひらめ)かせる影。
火花を散らして斬(き)り結んだ両者は、ぱっと離れて対峙(たいぢ)した。
ひょろりとした謎の影、ぼさぼさのざんばら髪に紫色の梟(ふくろふ)の仮面を着(つ)けて居る。
「ええい、邪魔(じゃま)を入(い)れるな!」
地鳴(ぢな)りの様な不穏(ふをん)な声が、圓彦の鼓膜(こまく)を乱打(らんだ)する。
![200605_181320.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20200605/18/cocochiyosa/44/9e/j/t02200165_4128309614769617741.jpg?caw=800)
【よいこのみんなの合言葉を唱へよう♪】
いちよあれかし、さいはひよいち。
まほらよいちそはか。
南無、あれかし大明神!
つづく。