『なんぞころびやおき 女神御前篇』(29) | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


『なんぞころびやおき 女神御前篇』

(29)

峠杣一日・著

「きゃあ!」

極楽浄土(ごくらくじゃうど)の小蛇娘(ころちむすめ)お嶺(おみね)があれかし山(あれかしやま)の中腹、峠杣屋敷(たうげそまやしき)の上空に差し掛かると、屋敷からひゅっと飛んで来た風呂敷(ふろしき)にくるりと包み込まれてしまった。

山頂の異変(いへん)を察知(さっち)した鬼燈(ほゝづき)が、風呂敷を意(い)のまゝに飛ばして操(あやつ)る得意の秘技(ひぎ)でお嶺(おみね)を捕らへたのである。

ひょいと頸根っ子(くびねっこ)を摘(つ)まゝれ、ぶらりと持ち上げられたお嶺(おみね)。

「あのゝゝ、素敵なおばあさん。
私を助けて呉(く)れたなら、死後は屹度(きっと)極楽浄土にお連れいたします」

と必死に頑張るも…。

「ほう、そりゃいゝねえ。
でも私ゃ、浄土手形(じゃうどてがた)は持ってゐるのさ」

と鬼燈(ほゝづき)が言ふやいなやあな不思議、二人の姿は何とも大きな掌(たなうら)の上にあった。

満天の星空に聳(そび)える、巨大な御佛(みほとけ)の姿。

あれかし山(あれかしやま)の麓(ふもと)の常鏡寺(じゃうきゃうじ)、其の本尊(ほんぞん)、氣巳観音(きみくわんおん)である。

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つゞく。