『なんぞころびやおき』
(45)
峠杣一日・著
にこゝゝ談義(だんぎ)の内容を掻(か)い摘(つま)んで言へば、世の本質は親子の働きであり即ち和心(にこ)にこなりと言ふ事であった。
「では、然(さ)らばぢゃ」
黄金大黒天(わうごんだいこくてん・にこゝゝ大明神)が姿を消す時、子供達に玩具(おもちゃ)を呉(く)れた。
打出小槌(うちでのこづち)から出て来た其れは産霊緒壺(むすびをのつぼ)で通称(つうしょう)たまをろち(瑤大蛇)、掌(たなうら)に乗る小さな木彫りの模型であった。
因みにたまをろちとは石見・出雲・隠岐・伯耆・因幡の五カ国を壺に象(かたど)った縁起物(えんぎもの)で、山陰(さんいん)の土産物(みやげもの)としても親しまれてゐる。
また、石見大蛇(いはみをろち)・出雲大蛇(いづもをろち)・隠岐大蛇(おきをろち)・伯耆大蛇(はうきをろち)・因幡大蛇(いなばをろち)に分離合体する豪華版もあるのだった。
![190530_191326.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20190530/19/cocochiyosa/15/84/j/t02200165_4128309614419066284.jpg?caw=800)
【たまをろち】
(頭部が島根半島で世一七福黄金宝船)(玉島:隠岐諸島)(神山:伯耆大山)(姫山:出雲三瓶山)(天山:因幡氷ノ山)(地山:石見恐羅漢山)
つゞく。