『あれかし大明神 (扨抑物語 第二幕 97)』 | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。

あれかし大明神
~扨抑物語 第二幕 97
峠杣一日・著

九十七、

お晴(はる)が簪(かんざし)の花にふっと息を吹くと、切火(きりび)が飛ぶ。

其の火花を星蔵(ほしざう)が杖に絡(から)ませて、ぐるゝゝぽおんと打ち出す。

すると一(いち)よあれかしの祝詞(のりと)と共に灯台に吸ひ込まれ、灯光に変はった。

さて、霧(きり)の上空で待機(たいき)して居た黄金の宝船(くがねのたからぶね)。

主立(おもだ)った顔触れが乗って居る。

「やった、灯台の明かりが戻ったぞ」

千里眼(せんりがん)の一つ目法師(ひとつめほふし)の言葉を合図に、

「それっ」

一斉(いっせい)に色取りどりの無数の短冊(たんざく)が、黄金の宝船から霧の川面に撒(ま)かれ始めた。

まるで、宝船の泉から滝と降る様である。

短冊はさらゝゝ、さらゝゝと流れて川の霧を晴らせて行く。

短冊は、お香(たか)達が人々の真心を織(お)り込んだ綾布(あやぬの)であった。

「おゝ、豆仙人(まめせんにん)殿。
大成功ですな」

と宝棒(ほうゞゝ)をくるり、山城国(やましろのくに)は鞍馬(くらま)の毘沙門天(びしゃもんてん)。

備後国(びんごのくに)は弥勒(みろく)の布袋法師(ほていほふし)、筑前国(ちくぜんのくに)の心星蔵(しんのほしざう)の姿も見える。

因(ちな)みに、心星蔵(しんのほしざう)は寿老人(じゅらうじん)、金星蔵(きんのほしざう)は福禄寿(ふくろくじゅ)なので、やれ七福神も打ち揃(そろ)って上船して居るのだった。

黄金の宝船、着水。

何処迄(どこまで)も輝き渡る、本来の姿を取り戻した宇宙の大川。

さう、此処(こゝ)は天の川であった。

つゞく