あれかし大明神
~扨抑物語 第二幕 83
峠杣一日・著
八十三、
斎場(ゆには)の祈りが虹色の螺旋(らせん)を画いて、天地(あめつち)を結ぶ光の柱となる。
おゝ、神山(かみやま)を見よ、姫山(ひめやま)を見よ。
やはり、虹色の螺旋が光の柱を立てゝ居る。
日御碕(ひのみさき)、三火の岬(みほのみさき)、玉の島(たまのしま)からも立った。
地蔵尼(ぢざうに)が、
閻魔(えんま)のお光(みつ)が、熊蔵(くまざう)が、日影月影(ひかげつきかげ)に転何(ころびなんぞ)、蓮仙女(はちすせんにょ)にお華(はる)、薙刀(なぎなた)のお由(より)、石入道(いはにふだう)にお林(ふさ)、隕石(ゐんせき)の星蔵(ほしざう)、烏天狗(からすてんぐ)、弁財天の侍女達が…其れぞれの場所で祈り、誓ひを捧げて居る。
山に泉に社(やしろ)に寺に、数多(あまた)の三つ子の命が時を越えて魂合(たまあ)ひ、虹の柱となるのだ。
さながら、光の森林か大神殿の趣(おもむき)だ。
中でも一際(ひときは)太く大きな室原(むろはら)の柱は、満天の星を樹冠(じゅくわん)とする如く天高く伸びて居る。
つゞく