『扨抑物語』第二幕 二十六 | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


扨抑物語 第二幕
峠杣一日

二十六、

黄金の宝船の舳(へさき)と神山(大山)、また艫(とも)と姫山(三瓶山)とを結んだ真ん中あたりに、出雲国の中心地があり、現在にも伝はる内の一つに熊野大社がある。


今日は春祭り。

早乙女姿で御田植(みたうゑ)神事を奉仕する飯理(いひ あや)も、やはりこの春から中学三年生になってゐた。

代々此の地に暮らす、農家の娘である。


此の理もまた、変はった夢を見た後であった。

さう、春休みの終り、母が胸に下げてゐるペンダントを何氣無く見てゐると、

『学校に持ってっちゃいけんよ』

と微笑みながら、理の首に懸けてくれた。


六㎝程の青瑪瑙(あをめなう)の曲玉で、吸ひ込まれさうな深みを帯びてゐる。

夜、床に就いても何だかどきゝゝ。

やがて、胸の上で握り締めたまゝ夢を結んだ。

つゞく