『扨抑物語』第二幕 二 | 『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

『さいはひよいち』日本古来の人生観 常の理三つ子の魂 島根半島は勾玉宝船 山陰(島根鳥取)はたまをろち瑤大蛇 あれかし山の峠杣一日・著

島根県松江市東出雲町、あれかし山の峠杣一日です。
島根半島(島根島)は勾玉宝船、山陰(東方鳥取瑠璃光藥師少彦名神、西方島根極樂阿弥陀大国主神)は瑤大蛇(たまをろち)。常の理(とはのことわり)あれかし大明神鎮まる意宇の古都から常の親子(085)の物語を書いてゐます。


扨抑物語 第二幕
峠杣一日

二、

「一三斎(いちざうさい)様、此度(こたび)の磐船(いはふね)には、中々な命が居(を)る様で御座いますな」

壮年の烏天狗が言ふと、一三斎と呼ばれた老いた烏天狗が静かに羽団扇(はうちは)で磐船を指しつゝ、

「うむ、頼もしい赫(かゞや)きの火である。あの命は、特に大切に守り育まねばなるまい」


老天狗が、羽団扇を宙に一振りすると、烏天狗の大群は一斉に翼に身を包み、掻き消す様に見えなくなった。


彼等は、神山を拠点として、出雲国(いづものくに)と伯耆国(はうきのくに)、隠岐国(おきのくに)に生きる命を陰乍(かげなが)ら支へてゐる、常(とは)の使徒である。

つゞく