【映画感想】『怒り』(87点) | とにかく暇なわたしの映画・ドラマ感想ブログ

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たくさん映画やドラマを観ているので、感想をまとめておきます
ネタバレしない内容になっています

おはようございます。

今日は冬の訪れです。

朝カーテンを開けると、グレーのどよーんとした空。

これこれこれこれ〜

冬は好きです。

グレーな空とは裏腹に澄んだ空気。

冬の訪れですよ。

 

さて、今日はなんの映画の感想書こうかな〜。

と結構悩んだんですけど。

相変わらず今は頭の中『君の声が聞こえる』なので、

中々他のことを考える余白が無く。

マンションのベランダからぼーっと外を眺めていて、

「うーん、とうとう書いちゃう?『怒り』」ってな感じで。

大大大大好きな映画『怒り』に決めました。

 

『怒り』は予告を観て、気になっていた作品だったのですが、

たまたま先輩が舞台挨拶付きのチケットを余らせているとのことで、

一人でそのチケットを片手に、豪華な舞台挨拶兼映画を観てきたわけです。

 

観終えて、他の人にこんなに勧めた邦画は無いんじゃないですかね。

本当にすごい映画だと思う。

なんで賞取れなかったのかなぞ。

賞なんて関係ないけど、シンゴジラも観た自分としては、

『怒り』の方がよかったです。

 

出てる俳優の演技も素晴らしいし、

脚本も素晴らしかった。

映像美も音楽も素晴らしかった。

 

李相日監督が、原作の『怒り』を読んだ直後に映画化を決めたらしいですが。

すごい本だね。

 

ある日、閑静な住宅街で一家殺人事件が起きる。

殺人現場には「怒」の血文字が残されており、

1人の男が容疑者として似顔絵が公開される。

ちょうどその頃、東京、千葉、沖縄の3か所で、犯人に顔のよく似た男が現れる。

あなたの隣にいるその男は、犯人ですか?

あなたはその人を、信じられますか?

 

東京編は妻夫木君と綾野剛が共演して話題になりましたね。

妻夫木君はアカデミー主演男優賞?を受賞していたかと思います。

しかしながら、私の中のアカデミー賞は森山未來です。

森山未來は沖縄編に出てくるのですが、

沖縄の無人島に暮らす、謎の男です。

沖縄編は今を輝く若手女優、広瀬すずが出てるのですが、

すずちゃんの演技もまたよかった。

何やら、すずちゃんはこの役をオーディションで勝ち取り、

撮影期間中も毎日毎日監督に怒られながら、藁にも縋る気持ちで頑張ったそうです。

それだけあって、この映画の広瀬すずは広瀬すずではないです。

すずちゃんは個人的にはすごい好きですが、

なんとなく甘ったるい話し方をするところが気になっていて。

そういう「すずちゃん」の悪い癖を一切取り払った、すずではない、演技がきちんとできましたね。

上から目線すみません。

でも、森山未來はも別次元ですよ。

混沌としつつも、空虚。

溢れんばかりの狂気。

もう理解できないレベルので、文章化できない感じですね。

そんなコテコテの演技じゃないんですよ。

なんなら淡々としてる。

でも、その奥に秘めた狂気が垣間見えるわけです。

あんな演技できないですよ。

この演技を観れるだけでもこの映画観る価値ある。

裏腹に美しい沖縄の海。

その対比が素晴らしいよね。

対比じゃなくて、演出かな。

沖縄の自然、そして複雑な事情の演出も相まって、

森山未來の演技が際立ってます。

凄まじい。

 

そして千葉編は、渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ。

豪華だね〜。豪華。

でも、一番地味な設定なんですけど、

もう3人+池脇千鶴の演技が上手すぎて、

完成度が高すぎです。

渡辺謙、いいね。

漁協の親父感がとてもリアルだったし、

渡辺謙が李相日を「日本の誇り」って言ってたみたいだけど。

本当にそうだと思う。

分ってる俳優だよ。

宮崎あおいもよかったよ。

松山ケンイチは、

この映画の中でそこまで目立ってないってところが、

きちんとこの役を演じきったなあと思う。

そう思うと綾野剛はちょっと主張が強すぎたかなと思う。

やっぱり、松山ケンイチって、演技上手いよね。

自分の役、役回りをきちんと理解して、演じている。

天才だと思う。

 

このブログで何回も言っちゃってるけど、

『3度目の殺人』はいまいちだよ。

『怒り』を観ると、余計そう思うと思います。

『3度目の殺人』は3分の一ぐらい観た段階で内容が全て分かってしまったし、

展開も少なくて、余韻もほぼなかった。

福山雅治は福山雅治だったって評価をされてるけど、

福山が悪いのかな。

福山も役所広司もいい演技をしていたけど、

結果、その二人のイメージからとびぬけた向こう側が見えなかったのは、

監督の力が足りなかったのではと思う。

どちらの作品にも出ている広瀬すずを観ればさらに思う。

もちろん、俳優は何に出ても最高の演技をすべきだけど、

その向こう側までいく演出というか、いかせるのは、監督の力量と本気度じゃないですかね。

 

『怒り』は展開も読めず、ラストも圧巻、余韻満載。

映像美もすごい、音楽もいい。

 

世界に誇る映画だと思います。

 

この本を映画化すると決め、

このキャスティングをし、

この脚本にまとめ、

このような素晴らしい映画を作り上げた

李相日監督。

何よりも素晴らしい。

本気で全身全霊で作ったんだなって、映画から存分に伝わりました。

 

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

『怒り』は観るべき作品です。

 

今日は寒いらしいので、お気をつけて。

それではまた、よき日に。