任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
「ーーーいつか、こんな日がくるって分かってた。
スピカちゃんが、魔銃兵に志願した事が分かったその時から
きっとスピカちゃんと戦うことになるんだろうって
分かってた」
エルネア杯 決勝戦
「それでは本日の試合をはじめます」
神官のアモスの声が王立闘技場に響く。
ざわざわとした闘技場に静寂が訪れた。
アモス
「右手の選手はチレーナ・ミラーさん」
アモス
「左手の選手はスピカ・ベルッチさん」
アモス
「お互いに礼」
アモス
「はじめ!」
合図と共に2人が地面を蹴った。
スピカの魔銃が光を放ち、真っ直ぐにチレーナに放たれる。
「ーーっ!」
チレーナは弾を見極め、斧で弾き返す。そのまま一気に距離を詰めようとすると足元に魔銃が放たれ、反射的に数歩飛び退いた。
両者共に一瞬静止する。
闘技場は音がなくなったかのようになにも聞こえない。
スピカはチレーナを、チレーナはスピカをジッと見据える。
ーーこの瞬間を
あの頃の私たちは想像すら出来なかった。
スピカの足元に魔法陣が現れる。それと同時にチレーナがスピカの懐に突っ込むように飛び込んできた。
魔銃で戦うスピカはチレーナに距離を詰められると部が悪い。
チレーナの放った一撃を、スピカは身を翻して避け、魔銃を一発放って距離をとる。
その一発はチレーナの腕に当たり、チレーナは僅かに顔をしかめた。
その表情にスピカが気をとられた時、チレーナはスピカのほうに駆け出した。
魔銃の銃口を向けた瞬間、視界からチレーナの姿が消えていた。その刹那、スピカが背後を振り返るとチレーナの姿。
一瞬の間にスピカを飛び越えて背後に回り込んでいた。
衝撃と共に、魔銃が足元に落ちた。
チレーナの斧が、スピカの首元にぴたりとつけられた。
「そこまで!!!」
神官アモスの声が戦いの終わりを告げた。
終了の合図にチレーナが斧を下ろした。少しほっとしているように見えた。
ーー終わった
スピカはなんとも言えない表情を浮かべたあと、睫毛を伏せた。
「勝者は
チレーナ・ミラーさん!」
わぁぁぁと大歓声が上がる。
その歓声の中、スピカは惜しみない拍手をチレーナに送った。