任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
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結婚を前提として付き合いたいとヴェルンヘルに言われ、リンゴは奏女の役目を他の人に託すが
その日はなかなかやってこないーー
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ガルフィン魔銃師会所属。リンゴとはリンゴが子供の頃から顔見知り。リリーやリンゴのために協力してくれた恩人でもある。本編では長年魔銃導師を務めた。219年に死去している。
ヴェルンヘルの友人、ヴァーノンと出会った時、向こうは何かこちらに違和感を感じ、同時に私も
察した。
それを意識したからなのか、その時がやってくる前触れなのかは分からない。
私は朝食を食べながら、自分の左手をジッと見る。
細い腕は、そこにあるのに、向こう側が透けてみえた。
しばらくすると元の肌色に戻る。
それは、とてつもない不安を私に抱かせた。
本能で悟る。
「時間がない」
元の自分のいたところに戻れるのだろうか?
それとも……?
不安を払拭しようとするように、
自分からヴェルンヘルに会いにいく。ヴェルンヘルは朝食を終えて、弟のギオルギーと楽しそうにお喋りをしていた。
………
前に一度外で、ふざけたヴェルンヘルがギオルギー君のほっぺにチューしてたらしいしこの兄弟は本当に仲良し。
お喋りの邪魔をしたくないので一度部屋を出る。
難しい王家の兄と弟の関係を、ヴェルンヘルが必死に守ろうとしていることを私は知っている。
どうかこの世界でもこの兄弟が末長く仲良く暮らせますように。
今日は収穫祭。
みんなお祭りの日はウキウキしている。
リンゴ
「ヴェルンヘルはマトラ釣りしないの?」
ヴェルンヘル
「もうリンゴという大物を釣りあげたから、
今年はいいかな……♪」
ご機嫌な様子でヴェルンヘルへ無邪気に凄いことを言う。
穢れなんか知らないような、純粋無垢な笑顔を見ているだけで心が暖かくなった。
さっきまであった不安が不思議と消えていく。
やっぱり、ヴェルンヘルは
この国の太陽なんだ。
少し雑談をして彼から離れると、近づいてきた人に声をかけられる。
5歳でそのヒゲ……!!
君にはまだヒゲは早いぞ……
昼からデート
待ち合わせ場所につくと、満面の笑みを浮かべたヴェルンヘルが私を待っていた。
ヴェルンヘルは酒場がお気に入りみたい。
2人で食べる食事。
あと何回、こうして過ごせるのだろうかと考えながら幸せな時間を噛み締める。
デートが終わり、マトラ釣りをしている人たちをぼんやり眺める。
偶然にもローデリックさんが釣りをしているが、
欠伸しながら終始適当な感じでだるそうにしている。
……暇だからローデリックさんの観察日記でも書こうかな……この人は普段何をしているんだろう。
そんなどうでもいいことを考えていると
ティアゴ「こんにちは」
探索ばかりの魔銃師様も、今日はお祭りを楽しんでいるらしい。
リンゴ「こんにちは」
ティアゴ
「なんだか楽しそうだけど、何かいいことでもあった?」
ローデリックさんの観察日記のことを考えていただけなのに、私はニヤニヤしていたんだろうか。
それはマズイ。
リンゴ
「収穫祭の雰囲気が楽しくて」
さらりとそれらしいことを言って誤魔化した。
まさか「ローデリックさんの観察日記でも書こうと思ったらニヤニヤしちゃった⭐︎」
とは言えない。
ティアゴ
「ローデリックもはしゃいでるし、今日はみんな楽しそうだね」
だるそうにしているローデリックさんをみて
どうして「はしゃいでいる」という結論に至ったのか?
リンゴ
「ローデリックさんがはしゃいでる?」
ティアゴ
「楽しそうにしてるでしょ」
釣りをしているローデリックさんを横目で見る。
相変わらずだるそうにしているのですが。
リンゴ「そうなのかな……」
ティアゴ
「あいつはちょっと他の人より分かりにくいが、こういうイベントは好きなんだよ」
リンゴ「そうなんだ」
じゃあね、と言ってティアゴ君はローデリックさん横にいき、話しかけていた。
仲良く2人で釣りを始める。
*この2人が一緒にいるスクショはとーっても少ないのでかなり貴重なワンシーン。
マトラ釣りの順位を確認。
知ってる人がいなければ、キングマトラを納品しようと思ったけど
これは納品できませんね。
3位にバーニーさん、1位にお父さん!!
龍騎士になって、釣り名人にもなれてすごい。
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収穫祭が終わり、日常に戻る。
いつもと同じ朝。
でも、違っていた。
この日の朝、うちにきたヴェルンヘルは、とっても緊張していた。
ヴェルンヘル
「と、突然だけど………
今からデートしない?」
リンゴ
「………い…いいよ」
ヴェルンヘルに連れられてきたのは神殿のアトリウム。
夏の爽やかな風がアトリウムの吹き抜ける。
ヴェルンヘル
「今日は、その………
聞いてほしいんだけど」
いつもとは全く違う、ガチガチに緊張しきっていた。
ギュッと拳を握り、意を決したように私を真っ直ぐに見つめる。
リンゴ「うん…」
ヴェルンヘルの緊張が私にも伝わってきて、私の身体が硬直する。
ヴェルンヘル
「オレと結婚してください!」
プロポーズの言葉に、不覚にも涙が出そうになった。
向こうの世界(?)と合わせて二度目でも、最初のときと同じかそれ以上に嬉しい。
リンゴ
「嬉しい……もちろんだよ」
私の言葉を聞くと、ヴェルンヘルは安堵の息を吐いた。
ヴェルンヘル
「よかった……」
ヴェルンヘル
「断られたら、どうしようって思ってたから
めちゃくちゃ緊張した……」
帰り際、ヴェルンヘルはへなへなと座りこんだ。
よほど緊張していたらしく、その反動か脱力しているように見える。
ーーかわいい。
リンゴ「よしよし」
ヴェルンヘルの金髪を撫でると、
「俺、子供じゃない」
子供のように拗ねた顔をした。
ーーかわいい。
うちまで送ってくれるというので送ってもらう。
ヴェルンヘル
「リンゴのウェディングドレス姿が今から楽しみだよ」
抱き寄せられ、ぎゅっとっとその腕の中に閉じ込められた。
力強い腕と温もりは不安な気持ちを攫っていく。
結婚式は15日。
それから結婚式まで私たちはデートを重ねる。
デートの帰り、ティアゴ君に遭遇する。
挨拶をするとティアゴ君はニヤリとした表情を浮かべた。
ティアゴ
「婚約おめでとう」
リンゴ
「ありがとうございます」
ティアゴ
「良かったね。これでもけっこう心配していたんだよ」
ぽんっと頭を撫でられる。
心配していたというのは付き合ってたのに別れた時のことを言ってるのだろう。
ーーこれでもって………知ってるよ。ティアゴ君が優しい人だってこと。
その手が、温もりが、優しい言葉が懐かしい。
リンゴ「心配かけちゃってごめんね」
ティアゴ
「頑張れよ、未来の王妃様」
わしゃわしゃと私の頭を撫で回し、ティアゴ君は笑顔を浮かべて去っていく。
このティアゴ君とは、
これが最後の会話になった。
平穏に時間は過ぎ、
15日結婚式の日を迎える
あとがき
予定ではあと三話です。
本当は二話だったのに。
ここ数週間は家の事情でしばらく忙しそう
ゲームする時間が………😭