任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
これまでのお話の主な年表はこちら
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ーーこんな夢早く醒めてほしい。
ヴェルンヘルはそのうち誰かと付き合って、あの優しい眼差しをその人に向ける。
………………
こんな昔の夢を見てなんになるの……
どうして目覚めないの……
モヤモヤしたまま翌日になる。
ヴェルンヘルは、また私を幸運の塔に誘ってきた。
ヴェルンヘル
「昨日断られたけど……俺………それでもリンゴのことが好きなんだ……付き合ってほしい」
ヴェルンヘルは緊張しきっていた。拳にしている手が震えている。
リンゴ
「本当に私のことが好き……?」
ヴェルンヘル
「もちろん好きだよ」
リンゴ
「それは………未来の王妃として、龍騎士の娘だから私を選んだの?私の両親が騎士隊にいるから?」
ヴェルンヘルはとても驚いた顔をして、すぐに悲しそうな表情を浮かべた。昨日と同じ顔をさせてしまった。
ヴェルンヘル
「そ…んなことを思ってたの?昨日も……?」
私は答えることなく俯いた。
ヴェルンヘル
「俺はリンゴが好きだから一緒になりたいと思っているんだよ。ご両親の肩書とは関係ないよ」
リンゴ「……嘘」
じゃあ、どうして。
ーー私ではダメなの。
ヴェルンヘル
「小さな頃からずっと一緒で、家も隣で………
好きだから、これからもずっと一緒に居たい」
リンゴ
「……ヴェルンヘルには、他に気になってる子がいるんじゃない?」
未来の王妃として、私を選んでいたらとしたら他に本命がいるんじゃないかと私はずっと思ってた。
しかし、ヴェルンヘルから返ってきたのは私の予想とは違うものだった。
ヴェルンヘル
「………みんな、俺を『殿下』としかみない見てないよ」
悲しそうに笑うヴェルンヘルの姿は心臓が鷲掴みにされるような気持ちになった。
私は彼の孤独の一端を見た気がした。
向こうの世界(?)でもみんなに愛想よく振りまき、国民を愛し、愛される国王ヴェルンヘル。
その笑顔の下には常に孤独を抱えていたんだとどうして今まで気づかなかったんだろう。
ヴェルンヘル
「俺がリンゴのことが好きな気持ちは子供の頃からずっとなのに、まさかリンゴは全然気づいてなかったの……?」
ふてくされた顔をするヴェルンヘルは途端に子供みたいに幼くみえた。
正直子供の頃のことはあんまり覚えてない、、とは言えないし………
リンゴ
「分からなかった」
思い出すことは断念した。でも嘘はついてない。
分からない。
ヴェルンヘル
「………嘘だよね、鈍すぎるよ…」
ヴェルンヘルはショックを受けた顔をしていた。
「あんなに遊びに誘ったのに差し入れもしたし、プレゼントもしたし採取にも誘ったのに……」
一人でブツブツ言っていた。
これは素のヴェルンヘルだと思った。
いつも何を考えているのか分からないヴェルンヘルが、本気で目の前の状況に困惑している。
素直に可愛いと思ってしまった。
リンゴ
「………さっきの付き合ってほしいって話」
ヴェルンヘル
「……!!え、あ、うん………」
急に姿勢を正した。
視線が横に泳ぎ、唇をギュッと閉じる。
リンゴ
「………私でよければよろしくお願いします」
昨日誘われて嬉しかった気持ちは本当だったから、それに従うことにした。
ヴェルンヘルには一日悲しい思いをさせてしまって申し訳なかった……
ヴェルンヘル
「………へ?本当に……?」
きょとんとした顔でヴェルンヘルは私を見ている。
リンゴ
「こんなこと嘘つくわけないじゃん……」
ヴェルンヘルの顔が太陽みたいな笑顔を浮かべた。
やっぱり彼はこの国の太陽だ。
私はこの日、彼と付き合うことになった。
そのあとヴェルンヘルはシアンに何か誘われるも断っていた。
星飛んでるのはどうして……?
幸運の塔に戻るとイレーネさんが男の人を引っ張ってきて告白成功していた……!
あんなにヴェルンヘルと一緒にいたのに…?
モモ
「女って怖いー」
独り言だった。
私は幼いモモの独り言が怖かった。
今度はヴェルンヘルはイレーネさんの彼氏の誘いを断った。
あれ、そんなに断る人だったんだっけ?
間違えてイレーネさんに声をかけてしまった。
イレーネさんは彼氏が出来た直後のせいかご機嫌だった。そんな風には顔面ではわからんけど
超くさい状態でキャロリンちゃんから仲良し申請。
ごめん、無理です……
そこにラウル兄弟現る。
仲良くキノコ狩りなんて……
可愛い。
ヴェルンヘルはとってもご機嫌そうなので、声をかけてみる。
リンゴ
「すごくうれしそうだけど
何かいいことあった?」
ヴェルンヘル
「いや、別に……
リンゴに会えた幸せを噛み締めてるだけだよ」
リンゴ
「………お、大げさ…」
ヴェルンヘル
「それに、リンゴが付き合ってくれるって言ってくれたんだからこれ以上に幸せなことはないよ」
屈託のない笑みを向けてくるヴェルンヘルは私に眩しかった。
アンジェルがヴェルンヘルを追いかけていて
とうとう(?)ヴェルンヘルは捕まる。
数日見守っているけど、アンジェルがヴェルンヘルを追っているような。
数日間この二人を見ていて
私は「あの日の出来事」に疑念を感じた。
翌日ヴェルンヘルが朝一で会いにきてくれた。
ヴェルンヘル
「今日もリンゴに会えて嬉しいよ♪」
ヴェルンヘルは人前でも平気で甘い台詞を言ってきた。
「わ、わわ……私もだよ」
恥ずかしさに耐えながは応えた声は震えてそれがまた恥ずかしい。
ヴェルンヘルが顔を近づけてきて私の頬にそっとキスをする。その動作がぎこちなくて、一瞬頬に触れた唇は震えていた。
恥ずかしそうにしているヴェルンヘルの姿は初々しい。不覚にもその仕草に私はキュンとした。
ユアン
「お誕生日おめでとう」
今のやり取りを全て見ていたユアンがニヤニヤしながら祝ってくれた……
森に行くとイラリオがティアゴ君を引っ張っていた。この親子は大人になったからも仲がいい。
ギオルギー
「リンゴちゃん、お誕生日なんでしょ?おめでとう!」
お祝いしたくれた。
ギオルギー君はこういうところよく気がきくんだよねぇ
エドモンド
「リンゴさん、お誕生日おめでとう」
エドモンドさんが笑顔を振りまきながら祝ってくれた。
さすがみんドルだ。彼の周りは偶然にも、彼に会いにきている人で何人もいた。
昼前。待ち合わせ場所にいるとクレメンスがお祝いしてくれた。
リンゴ「ねえ、ママはまたダンジョン?」
クレメンス
「薬の調合してたよー」
リンゴ「そっか……」
レイラさんは多忙らしく、本当に姿をみることがない。
待ち合わせ場所にヴェルンヘルが現れた。私の姿を見つけると嬉しそうに駆け寄ってきた。
ヴェルンヘルの提案で水源の滝に行くことに。
デートを楽しんだあと
ヴェルンヘルが差し入れをくれた。
ウニパスタ…!
凄い………
ヴェルンヘル
「珍しいカワウニが釣れたからリンゴに食べてもらいたくて」
リンゴ
「ありがとう、美味しそうだね。あとでいただくよ」
嬉しい………
食べるの勿体ないな…。
デート現場に突入してくる妹と弟。
モモ「何してるの?」
リンゴ「えーっと、滝をみに……」
妹にデートしてたんだよ、とは言いにくくて滝を見ていたと私は説明する。嘘じゃないし。
モモ「デートしてるの?」
今度はヴェルンヘルに聞いた。デートをしていることを察してて聞いてきてるのか、妹よ。
ヴェルンヘル
「う、うん……そうだよ」
少し恥ずかしそうにしながら頷いた。
モモ
「へぇぇ〜〜」
モモはニヤニヤ笑っていた。
無垢な弟の誘いを受けて、釣りに行こうと歩き出す。ヴェルンヘルが笑顔で手を振ってくれた。
真っ直ぐに向けられる笑顔が嬉しい。
心がぽかぽかになるのを感じながら、私は春風が吹く道を歩き出した。