任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
右向きシークレットで作ったセシリアです。
金髪がなかった…可愛いからいい…
緊迫した武術職とは対照的にセシリアの1日は穏やかに1日がスタートする。
珍しく、リンゴとヴェルンヘルが同じものを食べている。
セシリアはというと手に持ってない、用意していない状態だとなぜか酒を朝から飲むのんべえみたいな事になってしまった。
スピカの食事は花だった…
食事後にリンゴとヴェルンヘルが何か話し込んでいる。
ヴェルンヘル
「リンゴはティアゴさんたちのところに行っちゃだめだよ。邪魔になっちゃうから」
前回の掃討作戦の時の魔銃師会のサポートをみると、今日どれだけ生産できるかで作戦の難易度も変わってくるだろうとヴェルンヘルは考えていた。
父の言葉にセシリアは笑うのを堪えた。
リンゴ
「じゃ、邪魔って…!」
ガーン!っていう効果音が似合うようなショックを受けた顔をするリンゴ。
魔銃師会は今日総出で戦闘に使う薬剤の作成を行うことになっている。残念ながらリンゴにはほとんど手伝うことがない。
いけばボヤ騒ぎを起こしてみんなの仕事を増やしてしまう。
セシリア
「お母さん、パンでも焼いて差し入れしてあげたらみんな喜ぶんじゃないかな?」
しょんぼりする母にセシリアは提案する。
ウィアラさんに最近、カスタードクリームが入ったパンなど数点のパンのレシピを教えてもらっていた。
リンゴ
「それはいいね!そうしてみる!」
リンゴはぱぁっと目を輝かせると、キッチンに立ってさっそくパン作りの準備にとりかかる。
ヴェルンヘルが「頑張ってね」と言って出かけていった。
ヴェルンヘル
(どっちが母親なんだろう…?)
セシリアも「火事にならないようにね」と部屋をでた。リンゴの抗議の声が聞こえたような気がするが部屋からでたセシリアにはよく聞こえなかった。
セシリア
「お父さんはこれからどこにいくの?」
ヴェルンヘル
「禁断の遺跡周辺の様子を見てくるよ」
セシリア
「危ないんじゃない?行かない方が…」
万が一があったら、と心配して言う。
ヴェルンヘル
「……セシリア」
ヴェルンヘルは足を止めて、真面目な顔でセシリアを見た。
「俺たちは王族で皆が大切にしてくれるけど、大事なことを忘れてはならないよ。俺たちは、民草が平和に暮らすための舵取り役でしかない。」
セシリアは少し驚いた顔で父を見つめる。
ヴェルンヘル
「俺たち王族のために国民がいるわけではない。国民のために王族がいるんだ。ただ偉そうに玉座でふんぞり返っているだけでは民衆の心は王から離れ、いずれそれは国の乱れとなり戦の元になるだろう。」
*ヴェルンヘルはこの国が砂上の楼閣であると過去に言い、不安定な情勢をとても心配しているのです。
ヴェルンヘル
「……多少…威厳は必要だけど」
もごもごと付け足した。
セシリア
(お父さん……最近威厳はあんまりないね…)
人から逃げる父の姿に威厳のカケラも感じないと思うがそれは思うだけに留めることにする。
ヴェルンヘル
「大局的に世界を俯瞰する…小さきことに囚われないで俺たちにはそれが必要なんだ。分かるかい?」
セシリア
「……世界を俯瞰?」
ヴェルンヘル
「広い視野で客観的に物事をみるということさ。」
ヴェルンヘルは表情を和らげ、セシリアの頭を撫でた。
「俺たちの行動理念は "全ては国民のために" だ。いいね?」
セシリア「はい」
ヴェルンヘル
「そして、"人は宝" 臣下は大切にすること」
セシリアがしっかりと頷くとヴェルンヘルは満足した様子だった。
セシリア
(……これで女癖が悪くなければ完璧なのに)
去っていく父の後ろ姿を見送りながら、そんなことを思っているとセシリアに一抹の不安が過ぎる。
セシリア
(どうして今、私に言ったの…?)
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.
外に出ると愛しい人を見つけてセシリアはその人に駆け寄った。
セシリア「おはよう!」
レドリー
「おはよう、セシリア」
一目散に駆け寄ってきたセシリアにレドリーは嬉しそうに微笑んだ。
レドリー
「今日デートだよね?」
セシリア
「そうだよ♪お昼頃に待ち合わせの約束」
レドリー
「街門広場で待ってるからね」
ニーノ
「おはよう」
セシリア
「おはよう、ニーノ君」
ニーノ
「レドリーとラブラブだね…」
毎朝会いにきてくれる1人であるニーノ君…レドリーを諦めれば彼は恋人候補の1人だったでしょう…
セシリア
「う、うん……」
恥ずかしそうに肯定する。
ニーノ
(相手がレドリーじゃなー……ごちゃごちゃいうとおじさんに怒られるし)
ニーノはティアゴのお兄さんの息子。つまりレドリーとはイトコなのです。
「じゃあね」
ふぅと息を吐いてから、ニーノは去っていった。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.―
セシリアはローデリックに会いにいく。
ローデリックは道端で手帳を睨みながら立っていた。
セシリア
「お誕生日おめでとうございます!」
セシリアはお祝いの言葉とプレゼントをローデリックに渡した。「いらない」って言われるかもしれないと思っていたけれど、ローデリックは少し驚いた表情を浮かべたあと、プレゼントを受け取ってくれた。
ローデリック
「……ありがとう、殿下。大切にする」
珍しいことにローデリックは嬉しそうに笑っていた。リンゴ以外ならこういう態度なのかもしれない。
*リンゴには鼻で笑ったりしている
喜んでもらえてセシリアも嬉しくなった。
20歳……ローデリックもいつガノスに召されてもおかしくありません。
長生きしてほしい。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.
お昼
約束のデートの時間になりセシリアは街門広場に向かう。
レドリー
「セシリア、デートに行こう!」
酒場に行くことに。
和やかな雰囲気で雑談をする。
近くの席には、バルナバの孫のセラフィーナちゃんがいた。
実はゼヴランンとデートできているのだが、なぜか1人できている風にスクショされている。
食事が終わり立ち上がると、レドリーが側にやってきた。
レドリー
「家まで送ろうか?」
セシリア
「ありがとう、お願いします」
送ってもらえるなんて嬉しい、セシリアは無邪気に喜び送ってもらう。
エルネア城に向かう道中、山岳兵が砲台を荷台に載せて運んだり、騎士隊の人が大きな紙を広げて数人で何か話しをしていた。
皆真剣な様子で、いつもと違う日常がそこにはあった。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.
レドリー
「今日は楽しかった」
セシリア
「私も。またデート行こうね」
レドリーがそっとセシリアを抱き寄せた。
ギュッとセシリアを抱きしめる腕の力が強まり、セシリアの心臓がバクバクと高鳴った。
セシリア
(レドリーくんのにおいが……息遣いもするし………顔が……近………顔近い?!)
レドリーの手がそっとセシリアの頰に触れる。動揺しているセシリアは状況が理解しきれていなかった。
気づくとレドリーの顔が間近にあり、唇と唇が触れ合った。
一度離れて視線が合うとレドリーは再び唇を重ねた。
甘い口づけにセシリアは身体を硬直させてされるがままだった。
離れるとセシリアは顔を真っ赤にして両手で顔を覆った。恥ずかしくてたまらなかった。
セシリア
「い、い……いまのって……」
レドリー
「………」
セシリアの反応を見ているとレドリーも恥ずかしくなってきて視線を彷徨わせる。
セシリア
「……あ、赤ちゃん出来ちゃう!?」
レドリー
「………へ?」
レドリーは間抜けな声を出してセシリアを見つめた。
セシリア
「…もし出来ちゃったらどうしよう…?!」
レドリー
「……………キスでは赤ちゃんは出来ないよ」
セシリア
「えっ?!そう…なの?!」
レドリー
「うん……」
陛下たち、セシリアを大事に育てすぎてないかな……
セシリアの認識にレドリーは驚きを隠せなかった。
セシリア
(あっ………レドリー君に子供だって呆れられちゃってる…?!)
「…じゃあ、どうしたら…?コウノトリ…?!でもコウノトリは違うって、チェロ君がいってたような……」
レドリー
「チェロ君が……?!」
まだ小さいのに知っているのかとレドリーは驚きの声をだした。
*チェロはセシリアの弟。今年多分4才。
セシリア
「バグウェル様が運んでくるんだって」
レドリーは目を点にした。
*バグウェル=この国の護り龍。4年に一度だけ勇者と戦う時のみ人々の前に姿を現す。子供たちに大人気。
対戦相手は209年当時エルネア杯優勝者の
バルナバ・マルチネス
レドリー
「ーーそれも違うと思うよ」
至極真面目に言うセシリアの様子にレドリーは耐えきれずクスクス笑った。
セシリア
「ええっ……そうなの?!あっ……バグウェル様が大変だからもしかしてコウノトリと交代で…」
セシリアの脳内はどうやら「運んでくる」ということから離れられないらしい。
もしバグウェルが運んでくるとしたら、毎日のように王国を飛び回ってその姿を見るのは珍しくもなんともないことになりそうだ。
レドリー
「前に俺がセシリアのこと襲っちゃったら、みたいな事を言った時……セシリアはなにをされると思った?」
セシリア
「そ、それは………キス……いっぱい、されるのかなって…あと、胸触ったり…?」
レドリー
「…………」
セシリア
「………」
レドリーが黙ってしまったので、自分のした発言に恥ずかしくなり俯いた。
顔が熱くてたまらない。
レドリー
「……キスでも、む、胸を触っても赤ちゃんはできないし、コウノトリやバグウェルが赤ちゃんを運んでくることはないんだよ」
恥ずかしさを堪えながは説明する。
セシリア
「……… ずっと勘違いしてた…」
恥ずかしさの連続でセシリアは身体まで熱くなってきた。
穴があったら入りたい、そんな心境だった。
レドリー
「……じゃあ……今度教えてあげようか?」
その声は少し緊張しているように感じられた。
セシリア
「教え……?」
レドリー
「ふたりきりに……なれる場所で」
そう言葉を振り絞るように言うレドリーはとても恥ずかしそうでそれを隠すように横を向く。
その様子に、セシリアは本能的に何かを察し……そうになったが思考は中断した。
靴が床に擦れる音がして2人はハッとした。
人の気配を感じて振り返ると隣の部屋からオレンジの頭が見える。
レドリー「げっ……」
その人物が誰かなのか分かり嫌そうな声をあげた。
レドリー
「ーーどこから聞いてた?」
レドリーはその人物に向かって低い声で聞いた。
??
「………チューが終わったくらいから」
レドリー「全部かよ!」
人に見られ、聞かれていたことにレドリーは動揺を隠せないでいた。
「またね、セシリア」
セシリアの手をギュッと握ると、レドリーは去って行った。
隣の部屋にいはのは誰だろうと見てみると、ルイスがいた。
ルイス
「………退散しようと思ったんだけど、物音立てずにいなくなるのが難しくて……」
流石にルイスは気まずそうだった。
セシリア
「………」
恥ずかしくなってまたセシリアは両手で顔を覆った。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜
バグウェルが、コウノトリ的な存在であるというチェロとセシリアの会話⬇️⬇️
チェロ
「バグウェルってさー!赤ちゃん運んでくるんだって!!」
セシリア
「そうなの?!チェロ君って物知りだね♪」
チェロ
「父ちゃんが教えてくれたんだー!」
犯人はヴェルンヘルだった…
「バグウェルってすげーよな!赤ちゃん持ってくはし、強いし、デカいし、飛べるし!」
*バグウェルは多くの男の子にとって憧れの存在
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+
ヴェルンヘル
「ーーレドリー君、ここでなにをしてたんだい?」
王家の居室から逃げるように出てくるレドリーをタイミング悪くヴェルンヘルが見咎めた。
レドリー
「ーーへ、陛下!な、なにも……セシリアを送っただけで……」
セシリアとあんな会話をしたあとで、ルイスに聞かれていて動揺していたレドリーの姿はヴェルンヘルには怪しく見えて仕方ない。
ヴェルンヘル
「………なぜ顔が赤い?なぜ動揺している?」
スッと目を細めてレドリーを睨みつける。
レドリー
「な…んでもありません!気のせいです!」
ヴェルンヘル
「ーーーーまさか、セシリアに変なことをしたのかい?」
レドリー
「そんなことは!(キスだけだし)な、何もありませんでした」
ワタワタと顔を赤くして否定するレドリーは説得力皆無で、ヴェルンヘルはレドリーに鋭い眼光を向けたまま、腰の剣の柄を掴んだ。
レドリー
「ご、誤解です!陛下!!」
この日レドリーはヴェルンヘルにしばらく追い回されたという……
さっき言ってたヴェルンヘルの言葉ってなんだったんだろ?
人は宝……
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.
セシリアには世界よりも、学ぶべき事が目の前にあるようです……
あとがき
ヴェルンヘルがちょっとまともな事を言ったのに
セシリアが全てを無駄にした……
こんな予定はなかったんだけとな…