私の◯◯が盗まれた!〜紫苑の花〜 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

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エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いております。

どうでもいいことですがブログタイトルちょっと付け足してみました。
このままどこまで長くなるかみても楽しいかも……楽しくはない




の続き、俺のポエム集が盗まれたあとの話です。


今回も非常にくだらない番外編となっております。

これの記事はアメンバー限定記事にしようか迷いました。理由はなんとなく察してほしい…盗られたものがアレだし…


ストーリーの背景としては、今回主人公のリンゴはまだ怪我が完治していないので自宅療養中の身です。

*あとがきの下にローデリックからの苦情があります






季節は春に移り変わり、柔らかな日差しが窓から降り注ぐ。

今日は少し暑いくらいだった。



汗をかいたので着替えようと服を脱ぎ、無造作にベッドに脱ぎ捨て、別の洋服に袖を通す。


着替えが終わり、ベッドに腰をかける。


ふと脱いだブラジャーが見当たらないことに気づいた。



「あれ?」




ここで着替えていたのだからこの辺りにあるはずなのに、見つからない……


窓は閉まっているから風で飛ばされたということもない…



リンゴ
「なんで?なんでないの?」

一緒に脱いだ服はベッドの上に脱ぎ捨てられているのにブラジャーだけがやはりない。



いくら探しても見つからない。
 


着替える時はベッドの横にいてウロウロしていない。


なぜ、見当たらないのか……

「最近、食べ物を中心に物がなくなっている」

と言う噂がリンゴにも届いている。


リンゴ
「まさか……とられた?」


人の気配はなかったはずなのに。

この短時間で??どーゆーこと??




リンゴは痛む傷口に顔をしかめながら外に出た。



マーリンさんたちに見つかったら大目玉だが、マーリンさんたちはうるさいイマノルを連れて国外に出ている。


イマノルが何の役に立つかさっぱり分からない。
むしろ足手まといにしかならないような、そんな気がしてならない。









玉座の間にも、エルネア城にも誰もいなかった。


この頃の武術職は、瘴気の濃度が高い影響で忙しく、国民も難易度の高いダンジョンを優先していく武術職をフォローするため低難易度のダンジョンにすすんで入っている。




しばらく歩き回ってリンゴはため息をついた。


ーー見つからない



本当はまだ歩いてはいけないわけであり、傷口が痛くなってその場に蹲った。


(本当にとられたんだろうか、
とられたとしてもそこら辺に落ちてるわけがないか……)


ブラジャーなんて見られたくない一心で探してみたが鞄にしまえば見えないし、そこら辺に捨てられている可能性はかなり低い……



大きなため息をついたとき、



「リンゴ?」

聞き慣れた声に名前を呼ばれて身体がびくりと震える。


人の気配がして、リンゴの元に駆け寄ってきた。




リンゴ
「ティアゴくん……」

その姿はいつもなら見れて嬉しいのに、今は嬉しくない。怒られることを予感してティアゴを恐々と見る。


自宅にいなくてはならないリンゴがここにいることにティアゴは驚いている様子だった。




脳内にこんな選択肢が浮かぶが戦っても勝てなければ、逃げて撒ける相手ではない…

分かっていても「にげる」を選択してみたが立ち上がると身体は痛みでよろけ、慌ててティアゴが腕を伸ばしてリンゴを支えてくれた。






ティアゴ
「どうしてこんな所に?まだ寝てなきゃならないって言われてるだろう」

明らかにティアゴの声は怒りを含んでいた。



リンゴ
「………ごめんなさい……」

しゅんとなって素直に謝った。ティアゴはため息をつきながらやれやれという風にリンゴを見ている。


ティアゴ
「ーーこんな所で何してるの?」

気遣うように優しい口調で聞いた。


リンゴ
「ちょっと……探し物を………」


ティアゴ
「探し物?ベッドでずっと寝ていたリンゴがこんなところまでどうして探し物をしてるんだ?」


リンゴ
「どうやら……盗られたみたいで…盗られたかどうかはまだ、わからないけど…」



ティアゴ
「盗られた?ーー例のものがなくなるやつ?何を盗られたの?」



リンゴ
「ちょっと…大事なものを……」


ブラジャーと、言いにくくてリンゴは視線をそらせる。



ティアゴ
「この件はローデリックが担当だからあいつに伝えておくよ。なにを盗られたの?」



リンゴ
「………」


ティアゴ
「………まさかリンゴも日記?」



リンゴ
「違う……」



ティアゴ
「………」

何も言わずにジッとみてきた。


リンゴ
「………ブラジャーです」

観念して盗られた?らしいもの名前を言った。



ティアゴ
「……下着か。干してたのを盗まれた?」


リンゴ
「着替えて脱いで、置いたの。服を着てたらなくなってて……」

説明すると、ティアゴの顔色が険しくなった。


ティアゴ
「………えっ……ちょっと待て。着替え中に誰かが侵入して盗られたってこと?人の気配で気づくだろう?」



リンゴ
「気配なんて、なかったよ……」


ティアゴ
「なんて無防備なんだ……」

ティアゴはなんど言えない顔をしていた。

怪我をした状態で、そんな無防備な中誰かが部屋に侵入しても気づかないなんて。

ティアゴは子供がいるとしても、リンゴがモテることをよく知っているので危機感が募った。



リンゴ
「そんなこと言ったって……」

ティアゴの心中を察することができず
部屋で着替えていただけなのに。ならどこで着替えればいいんだろうとリンゴはムッとする。


リンゴ
「ティアゴ君お仕事忙しいんでしょ、もう行っていいよ」


ティアゴ
「リンゴを城まで送ってから行くよ」


リンゴ
「私はもう子供じゃないんだから大丈夫だよ」

ツンとして顔を横に向けて自分を支えてくれているティアゴの腕から離れる。


ティアゴ
「…顔色悪いし、傷口が痛むんだろう?確実に送り届けなきゃ、こっちが安心できないんだよ」


そう言うとティアゴは導きの蝶を取り出してリンゴの腕を掴むと転移魔法でエルネア城に向かった。



王家の居室につくと、ティアゴがなくなったブラジャーがないか探してくれたがベッドの下にも布団の中にもなく……不思議そうにしていた。


ティアゴから連絡を受けたローデリックが到着した。


リンゴは室内着に着替えてベッドに横になっていた。


ローデリック
「何を盗まれたって?」

ノートを取り出すと、ローデリックはペンを走らせた。


リンゴ
「……ブラジャーです」

なんでよりによって、この件の担当がローデリックなんだろうと思いながら答える。


ローデリック
「いつ盗られた?」


リンゴ
「今日……ついさっき。着替えている最中に……だと思います」


書く手が止まり、ローデリックはリンゴを哀れそうに見る。


ローデリック
「……………アンタ、どんくさいにもほどがある」



リンゴ
「だって!本当に気配がなかったんだもん!」



ローデリック
「色とか柄は?」


リンゴ
「白……」


ローデリック
「………犯人?は男ってこと…?」

と、言いながらティアゴに意見を求めるように視線を向ける。



ティアゴ
「多分。王妃の着替えを狙うなんて、命知らずな奴だな」



ローデリック
「今日だけで、食べ物の盗難の疑いが3件。下着は初めてだった」



リンゴ
「犯人の目星はついてるんですか?」



ローデリック
「まったく……」

表情をかたくさせてため息をついた。


ティアゴ
「そんなに頻発してるのに誰も犯人を目撃していなのか?」


ローデリック
「そーゆーこと。みんなこのどんくさい人と同じで人の気配がなかったと言っている…」


ティアゴ
「Xさんに協力してもらったらどうだろう。今は国にいないけど」


ローデリック
「ーー国から発つ日にちょうど話をして調べてくれたんだけど魔法では追えないって言ってた」


リンゴ
「どういう事だろう…」



ローデリック
「あの人曰く……
それが最大のヒントになるでしょう

だって……」



ティアゴ
「意味がわからない……」



ローデリック
「っていうか最近、あの人……Xさんがおかしい」



リンゴ
「おかしい?」



ローデリック
「前から恐ろしくて何を考えてるのか分からないところがあったけど……最近はボーーっとしてるし、花をじーっと見てる」

ティアゴ
(まあ、あの人も年だしな……)


リンゴ
「Xさんでも花を見たりするんだねー」

何気に失礼なことを言うリンゴと、内心でつぶやくティアゴ。


ローデリック
「何をしているんですか?って聞いたら
『これはシオンっていう花なのよ』って会話にならないし」



ティアゴ
「……そういえば、Xさんの銃って花の紋様が彫られている特別製なんだよ」



リンゴ
「え、そうなの?気づかなかった」


ティアゴ
「前に一度そのことを聞いたら『シオン』っていう花だって言ってたな…」



ローデリックは書き終えたらしく、ノートをしまう。
「今から探してくる。なにか思い出したら連絡して」



リンゴ
「よろしくお願いします」


ティアゴ
「俺も仕事にいく。リンゴは大人しく寝てろよ」


ローデリックとティアゴは帰っていった。






部屋から出ると、ローデリックはじーっとティアゴを見てきた。視線を感じてティアゴは嫌そうな顔をした。

ティアゴ「……なんだよ。」


ローデリック「………」


ティアゴ
「言いたいことがあるならはっきり言ってよ」


ローデリック
「…今ならお前が盗ったって言わないから白状しろ…」

ローデリックはボソリと言ってティアゴを見る。


ティアゴ
「アホか」


ローデリック
「………そんな物を盗らなくても中身をよく知ってるんだろう、お前は……」



ティアゴ
「ローデリックでもそーゆー冗談を言うんだな…」

珍しいとティアゴは苦笑する。


ローデリック
「酒場の例の部屋にあの人を連れ込んでたことは知っている。一回や二回じゃないことも知ってる」

無表情のまま淡々とした様子で話す。


ティアゴ
「………なんの証拠があって」

若干ティアゴの声のトーンが落ちた。



ローデリック
「クロのやつはそうやって証拠って言い出す……」




ティアゴ
「………要求は金か?」

証拠もなにも、以前酔っ払っていたときにティアゴはローデリックに女性を酒場の部屋に連れ込むにはどうしたらいいか?と聞いてしまっている。

ローデリックから返ってきた答えは
「なぐる」「薬を盛る」と最低なものだった。
*ローデリックはそんな事をする奴ではありません


その頃ティアゴと親しかった人物を考えれば誰を連れ込みたいのかローデリックには一目瞭然だった。


ローデリック
「……認めるんだ」



ティアゴ
「………」

気まずそうに顔をローデリックとは逆の方向に向ける。



ローデリック
「リンゴの足がそこまでいいのか……」
*ティアゴは女性の足が好きだと友人に知られている……


ティアゴ
「………べつに…足は関係ない…」

ため息まじりに渋々と声を絞りだすように言う。


ローデリック
「リンゴの何がいいのかよく分からない…面白いヤツだと思うけど」

*ローデリックはコロコロと表情が変わるリンゴをオモチャのように感じているようです


ティアゴ
「………分からなくていい」







「なんの話しをしているの?」


ザッと二人の前に誰かが現れた。その人の顔を見た瞬間、二人の表情がかたくなる。


リリー
「リンゴの足とかそういう話が聞こえてきたけど」

ゲスい内容をこの真面目な隊長に聞かれた。
しかも、この人の娘の話だ。


二人の思考は停止した。


何をどこからどこまで聞かれたのだろうか。



ティアゴ
「………えっと……」

咄嗟のことで誤魔化す言葉が出てこない。


ローデリック
「………俺がリン…王妃様の足が好みだっていったらティアゴに叱られていたところです」

ローデリックはさらりと嘘をついた。


リリー
「は?!ローデリックが……?」

この仏頂面がそんなことを発言するのかとリリーは眉を寄せてローデリックとティアゴを交互にみる。



ローデリック
「申し訳ありません…」


リリー
「あなたはそういう人じゃないでしょ…?」


ローデリック
「…隊長……俺も一応男なので……興味があります…申し訳ありません」

そう言って頭を下げるローデリックにリリーはため息をついて思わず片手を額に当てる。


リリー
「………分かった……そういうことにしてあげましょう」

二人の横をリリーが通りすぎるときリリーは小声でティアゴの耳元で囁く。


リリー
「いい友達をもったね、ティアゴ」

靴音を響かせて、リリーの姿は王家の居室に消えていった。


恐ろしい近衛騎士隊長がいなくなった玉座の間でローデリックとティアゴがちらりとお互いを見る。



ティアゴ
「ローデリック……」

気まずそうにしながら絞りだすような声を出した。


ローデリック
「……話を振った俺も悪い」

ローデリックは無表情で、スタスタと歩きだす。その後ろをティアゴが追ってくる。


ローデリック
「ナルルワイン」

玉座の間をから外に出る。風がローデリックたちの髪の毛を撫でるようにして吹いていた。


ティアゴ
「ナルルワイン?」



ローデリック
「高級品だって噂のナルルワイン、奢ってくれたら全部忘れる」

ナルルワインはこの国でその存在が知られてから日が浅くまだこ珍しいものだった。


ティアゴ
「……わかった、注文しておこう」


ティアゴはこのあとキャラバンでナルルワインを追加で注文することになる…






゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+


一人の王家の居室は静まり返っていた。



「そういえば」

この前ティアゴにもらった本の中に花言葉に関するものがあったなと紙袋の中を探す。


そこにコツコツと足音が聞こえて入ってきた。



リリー
「リンゴ!」

部屋に入ってくるなり厳しい声が響く。明らかにリリーは怒っていた。


リンゴ
「なに、お母さん………どうして怒ってるの?」


リリー
「まだ安静って言われてるのに何やってるの?」



リンゴ
「なんのこと?」


リリー
「あなたが出歩いているって目撃情報があったんだけど」

ギロリとリリーが睨むのでリンゴは身体を萎縮させた。


リンゴ
「ご、ごめんなさい……」


リリー
「傷口が開けばさらにベッドで寝る時間が増えるの。そんなの嫌でしょ?」

優しく気遣うような口調になる。


リンゴ「うん……」


リリー
「じゃあ大人しくしていなさい。」


リンゴ
「はーい」



リリー
「まったく……鉄砲玉みたいな子なんだから」



リンゴ
「ーーー話かわるけど…お母さんは、Xさんが銃に花の紋様を彫っている事を知ってる?」

二人は付き合いが長いから、知ってるだろうけど説教から逃れようと話を振ってみる。


リリー
「そういえば、そんなもの模様がついていたような」


リンゴ
「シオンっていう花らしいね」


リリー
「………シオン………ねぇ」

なにか思いあたることでもあるのか、リリーは何か考えているような素振りをみせた。


リンゴ
「……?」

怪訝そうにリリーを見上げる。


リリー
「シオンの花言葉は、リンゴにもピッタリだと思うよ………じゃ、大人しく寝ててね」


そう言ってリリーは去っていった。多忙なリリーはこのままダンジョンにとんぼ返りする。


残されたリンゴは紙袋から目的の本を見つけると本を開く。


パラパラとめくっていると、探しているページに辿り着く。







シオン(紫苑)

菊科の花。
シオン属性
淡い紫色の花
エルネアでは秋以外でも咲いている。



花言葉 


"追憶"      

 "君を忘れない"   

 "遠方にある人を想う"


















あとがき

ローデリックがティアゴを庇ったのは、リリーがティアゴを疑っている中でティアゴがそんな発言をしたとなればゲンコツではすまないだろうと思ったからでした。

しかし、リリーには見抜かれていたようです。きっと次はありません…


ぶっきらぼうながら友を庇うローデリック。
二人の仲がこのまま続いてくれることを願います。



ローデリック
「……この前の⬇️書き方だと、俺の(ローデリック)のポエム集が盗まれたみたいになってて迷惑」
*アメブロで 記事の見出しがこんな風になっている



〜続く〜