217年[訳ありの旅人] アーサーを追う者 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。

更新が予定より遅れてしまい申し訳ありません。



しばらくの間、明絃さんと共同で書かせてもらっています。

→明絃さん担当です。













 
負傷したマーリンが運ばれた旧市街地の家には、マーリン、アリス、X、バルナバ、リリー、ティアゴ、イマノル、セシィー、ローデリック、マーリンの息子のアーサーにパトリック達がいて話をしていた。
 
 
そこ金髪に青い瞳の一見人なつっこそうな男性と、緑髪の美しい女性が入ってきた。
 
 
「ーーアーサー………探したわよ」
 
 
その女性が微笑むと、
 
 
イマノル
「なにこの美人。アリスちゃんも可愛いけどこの子もまた可愛いなぁ」
 
感嘆としたようにイマノルが言うとローデリックはため息をついてイマノルを横目に見た。
 
 
ローデリック
「……イマノルはそればっかりだな…」
 
 
リリー・フォード
「ーーえっと、お知り合い?」
 
 
なぜこの短期間に、ここまで個性的な旅人がこの国に入国してくるんだろう。
 
 
ぱっと見、みんな一筋縄でいかなそうな曲者ばかり。
 
 
X
(このお嬢さんはまた美しさに磨きがかかって…)
 
Xは内心苦笑した。この美しさはエナの微笑みの効果をおそろしいほど倍増させることだろう。
 
 
 
アーサー
「リリー!トア!……どうしてここに⁉︎」

アーサーは2人の姿に驚いた声を出した。

 

リリーはアーサーに駆け寄ると抱きしめる。
 
 
リリー
「……もう!貴方って子は!どれだけ心配させれば………姉さん⁉︎」
 
 
リリーはアリス達の姿をみて驚いた様子だった。
 
 
 
どうやらリリー達はアリス達ではなく、アーサーのみを探しにきたようだ。
 
 
イマノル
「2人姉妹なの?どっちもこんなに可愛くて、アリスちゃんは強くて欠点なんかどこにもないじゃん。」
 
イマノルはこんなことばかり言っている。ティアゴやバルナバ、ローデリックが冷たい目をイマノルに向けた。
 
 
X
「…貴方達はリリー王女とトア王子?」
 
Xの言葉にイマノルはえっとなってリリーたちを見つめた。バルナバが「失礼なこと言うなよ」と無言ながら視線でイマノルに圧力をかけている。
 
 
 
イマノル
「王子と王女?なんだってこんななんもない国に遊びにきたの?まさかルイスの砕ける幸運の塔を見に……?」
  
 
 バルナバ
「なんで2人のことXさんが知ってるの?」
 

X
「ーーなんでって、名簿みればわかるでしょう?」
 
 
ティアゴ
「ーーーずっとダンジョンにいたのに、ですか?」
 
ん?とティアゴは首を傾げた。
 
X
「ダンジョンの中でたまたま名簿が見たくなったの」
 
 
ローデリック
「………?」
ローデリックは訝しげにXを見た。
 
 

 トア
「ーー如何にも。俺はトア、第4王子。こっちは第3王女リリー。と言っても、先王陛下の子どもだけどねー」
トアは友好的に振る舞い自己紹介をした。
 

「ーーそして、そこにいるアリスの姉貴は第2王女」

トアはスラスラと説明する。


アリスは身分を黙っていたので、身体をビクッとさせた。


ティアゴは僅かに顔をしかめ、トアたちを用心深く見つめた。
 

_____何故同じ国出身の人たちが一同にこのなにもない国にやってきたんだ?
 
 
 
 
名乗ってくれたトアたちにバルナバたちは一通り自己紹介をした。それがすむと、
 
 
バルナバ
「ーーそれで、その王族の方々がなぜこちらに、、マーリンさんたちを探しにきたんですか?」
 
と、先ほどから気になってることを聞いた。 
 
 
トア
「あー……それが」 
 
 トアは首の後ろに手を遣りながら言い確そうにした。

リリー
「ーー甥のアーサーを魔銃師会のパトリックが連れ去ったとの疑いがかかり、わたくし達は2人を連れ戻しに参りました」
 
 
パトリック
「ーーえっ!俺⁉︎逆に言えば、俺が被害者なんだけど…!」
 
パトリックはかなり動揺した様子だった。

 
ティアゴ
「どういうことです…?」
 
穏やかじゃない様子にティアゴはアーサーとパトリックに視線を送る。
 

イマノル
「愛の逃避行がここにも……」
 
イマノルににやりとアーサーを見る。
 
「二股の相手がこのオッサンか……」
 
 
アーサー
「違います!俺はただ…母さん達を探しに…!」
 
 
アーサーは慌てて否定した。

 
X
「連れ戻してみんなどうなるの?無事でいられるの?」


今まで黙っていたXが口を開くと、その声色を厳しいものが含まれていた。
 
 

 
 
リリーは静かに切れ長の青い瞳を儚げに揺らすだけだった。
 
トアは綺麗に微笑んでいた。
 
 
パトリックは俯いていた。


 
「……」

アリスはアーサーを再び抱き寄せ、背後に庇った。
 

X
「連れ戻すねぇ……穏やかじゃない雰囲気だけど。アリスさん?どうしたいの?」
 
アリスの様子を見てXはこのリリーとトアの存在を不穏に感じた。
 
 
X
「私たちはアリスさんとマーリン君の味方。それだけはわかってね。」
 
 
アリスは僅かに唇を震わせた。
「……帰るはずがありません」
 
唇にぐっと力を込めた。
 
「……帰り方も分かりません」
 
 
イマノル
「あー、やっぱり迷い込んだんだね?そんな感じはしてたけど」

イマノルはこの雰囲気を少しでもよくしようと明るい声を出す。
 
 
アリス
「……帰っても居場所がないの」
 
 
X
「………」
 
 
 
アーサーはカレイドスコープを取り出した。
「……俺はこの祖父の形見で」
 
 
 
X
「……それ…」
 
Xがジッとカレイドスコープを見つめる。
 
 
 
 
リリー
「ーー魔銃師会と騎士隊の重鎮が消え…あの国の監視下に置かれ…散々よ。さあ、アーサー…帰りましょう」
 
リリーのエナの微笑みで逆らえないアーサーは操られるようにリリーに近づこうする。リリーは辛くて哀しそうだった。
 
 
アリス
「アーサー君……⁉︎」
 
 
X
「こんなショボい力に惑わされてんじゃないわよ!」
 
アーサーにゲンコツを落とした。
 
 
アーサー
「ーーいってぇ!」

 
X
「ごめんね、でもしばらくは大丈夫」
 
 
ちょっとやりすぎたかなと、と痛がるアーサーに謝りつつ、Xはリリーに冷たい眼差しを向けた。
 
 
X
「妙な力使うのやめてもらっていい?」


 
リリーは綺麗な瞳を凛とさせる。
「……そちらこそ」
 
 
エナのほほえみもちを派遣したのはこのためかとティアゴは苦々しく思いながら見ていた。

 
トアはこの状況でも微笑みながら、
「こちらは穏便に済ませたいところなのですよ」
 

X
「この場を?で?国帰ったらどうなるのかって聞いてるんだけど、トア君」

Xは無表情で聞いた。
 
 
バルナバ
「ちょっと落ち着いて。Xさん」

バルナバが慌てた声を出しながらトアたちとXを交互に見た。

 
X
「…正当防衛だと思うけど」
 
アーサーにかけられた魔法は、それなりの強い衝撃を与えながら魔法をかけないと解けないものだった。リリー・プリエトの魔力はそれほどとても強力なものなのだが、魔法が使える人間が数人しかいないこの国でそれを分かる者は少ない。
 


トア
「ーーこの子は将来の王配です。こちらの国の事には口を慎んで頂けますか」

 
この場の空気が一層張り詰めたような気がした。
 
 
黙って聞いていたイマノルやローデリックが明らかにトアたちに敵対する目を向けた。
 
 
バルナバとリリー・フォードは表情を消しているが内心困惑しているのだろう。2人は顔を見合わせどうしようかという雰囲気だった。
 
 
 
 
 マーリン
「……トア…リリーちゃん」
 
そこに下の階の騒ぎで目を覚ましたらしあマーリンが右腕を庇いながら階段から見下ろしていた。
 
 
トア
「マーリン⁉︎どうしたんだ、その怪我は!」
 
 
X
「………遺跡で怪我をさせてしまって……」
 
 
これはトアたちに申し訳なさそうに説明する。

 
リリー
「……マーリン君起きてて大丈夫なの…?」

リリーは心配そうにマーリンを見上げた。


マーリン
「……これくらい何ともねーよ。何でやってきた?」
 
マーリンの物言いに、その場にいる人たちが驚く。
 

トア
「王太女と将来の王配ーーそして、龍騎士の君がいない国は流石に外聞に悪いと思ってね」

 
マーリン
「ーー嘘つけ」
 
トアはずっと微笑んでいる。
 
 
マーリンは凄まじい剣幕だ。
「ーー女王陛下の仰せなんだろ。アーサーを連れて帰れと」
 
まるでこれから他人を殺すのではないという恐ろしい形相だった。
 

トア
「……なぜそう思うんだい?」
トアは動じない。
 

マーリン
「普段のアーサーの性格や行動からすれば、
アーサーがパトリック君を脅し、無茶な行動に出た事は明白なのにーーパトリック君が誘拐犯に仕立て上げられている点だ」
 
パトリックは少し安堵したかのような顔をしたが、対照的にマーリンは恐ろしい顔のままだった。
 
 
リリー
「……マーリン君。今の国は王太女のカルミアも龍騎士の貴方もいなくなって…壊滅状態よ」
 
 
 リリーは哀しそうにアーサーを振り返った。
 
 
「ーーアーサー…貴方は将来王配となる身。わたくし達と帰りましょう」
 
 

X
「王太女と龍騎士が捨てた国?聞いた?よっぽど、上に立つ者が愚かなのね」
 

 上に立つ者…イデア・クラフ女王陛下。

 
それがアーサー先生の姪っ子である__Xは胸がチクリと痛んだ。
 
 
トアは一瞬唇を噛み締めたが笑顔を崩さず、リリーは哀しそうに俯いた。
 
 
バルナバ
「Xさん…!」
 
その国の王族の前の前での無礼な物言いにバルナバは焦った声を出した。
 

リリー・プリエトが哀しそうに瞳を揺らしながらアーサーに見つめる。
  
 
 
マーリン
「俺の息子に指一本でも触れてみろ!いくらトアだろーが、リリーちゃんだろーが、タダじゃおかない」
 
 
マーリンが苦しそうに右手を上げ、内側から外側へ大きく払うようにすると、トアとリリーはクルッと向きを変えて縦一列にならび俗に言う高速移動を開始した。
 
 
 
トア
「ーーちょ!えっ、マーリン!俺に暴力振るうのー⁉︎」
 
 
マーリンは熱が出てるので苦しげだった。
 
 
トア達が去った後、階段から転げ落ちそうになり、階段の近くにいたパトリックが慌ててマーリンの身体を支えた。
 
アーサーは思わずマーリンを見つめるけど、言葉が出てこない。
 
 
マーリンの使った魔法にイマノルたちはぽかーんとしていた。
 
 
訳の分からない力にマーリンには逆らってはいけないと、この場にいるイマノル以外は思うのだった。
 
 
 
 
 
旧市街地をパタパタと走っていると、前方に見慣れない人たちがいてセシリアは声をかけた。
 
 
セシリア
「マーリンさんたちの新しいおうちしりませんか?」
 
セシリアにトアは声をかけられ、微笑みながら振り向き、トアは跪くと、マーリン達の家の方向を指差した。
 

トア
「この道をずっと真っ直ぐで右だよ」
 
 
セシリア
「ありがとうございます!」
 
セシリアはぺこりと頭を下げて礼を言った。
 
 
トア
「可愛いお嬢さんだね、俺はトア。この人はリリーって言うんだ」
 
トアは好意を持ってもらえるように紹介した。
 
 
セシリアはジッと2人を見た。2人を見ているとなんだかフワフワした不思議な気持ちになった。
 
セシリア
「…えっ?!えっと、あ、ありがとうございます…わたしはセシリア・ラウルです」
 
ドキドキしながらセシリアも名乗った。
 
 
 
トア
「……アーサーという青年と仲良くなってくれるかな?」
 
トアがセシリアを安心させるような優しい笑みを浮かべると、セシリアはコクリと頷いた。
 
 
セシリア
「うん!いいよー!」
 
 
トアはニコニコと笑顔のままセシリアの頭を撫でた。
 
 
 
セシリア
「なんにもない国だけど、ゆっくりしていってね!ルイス君が振られる幸運の塔がオススメスポットだってイマノル君が言ってた!」
 
 
 
トア
「お気遣いありがとう!へー!面白そうだね。姉貴、ちょっと行ってみようか。じゃあね、セシリアちゃん」
 
 
セシリア
「うん!またねー!」
 
セシリアはブンブン手を振りながら上機嫌で去っていった。
 
 
 
トア
「……可愛いね」
 
リリー
「……ええ……とても」
 
去っていく小さなセシリアを見て哀しそうに遠くを見つめてる。
 
 
セシリアの姿が見えなくなって、2人が歩き出す。
 
 
バタバタと足音が近づいてきて、リリーに誰かがぶつかりリリーの身体がふらついた。
 
 
レドリー
「…っ!!す、すみません!!」
 
 
慌てた様子でぶつかってきた若い男ーーレドリーはフラついたリリーの身体を支えた。
 
 
至近距離で儚げな瞳を揺らしたリリーと目があっただけでレドリーは一瞬固まった。
 
 
 
リリー
「……あら…いやだ。失礼を仕りました」
 
 リリーはゆっくりと微笑みを零した。



レドリー
「…い、いえ、ぶつかったのは俺の方なので………」
 
レドリーはリリーからパッと手を離して顔を赤くした。
 
 
リリー
「ーーきゃっ!」

急に手を離されたリリーはバランスを崩したので、レドリーがそれを助けるとリリーはレドリーの腕にしがみついた。
 

レドリー
「だ、大丈夫ですか?!」
 
 
ふわりと発せられる香りが鼻腔を擽り、美しい切れ長の瞳が真っ直ぐに向けられ、まるで全ての思考が奪われるような錯覚にレドリーは陥った。
 
 
 リリー
「……失礼をお詫び申し上げますわ。ねえ…アーサーという子と仲良くなってくださらない?」
 
 
レドリー
「ーーーアーサー?…分かりました………俺でよければ…」
 
 
朦朧としながらレドリーは頷いた。
 
リリーはゆっくりと頷くと花が咲くような笑みを浮かべた。
 
 
 
 
レドリー
「ーーじゃあ…俺はこれで……」
 
 
レドリーはまるで夢でも見ているかのようにフラフラとリリーたちから離れて歩き出した。
 
 
 
 
 
 
セシリア
「マーリンさーん!!」
 
 
旧市街地の一軒の家のドアが勢いよく開かれた。
 
 
 
 
家の中には、大人たちが何人もいて妙な雰囲気だったが、パッと見こわそうだけど面白い雰囲気の褐色肌の赤い魔銃師会の服を着た男性に支えられているマーリンを見つけてセシリアは駆け込んだ。
 
 
セシリア
「マーリンさん!いっぱい怪我したって聞いたよ!?大丈夫???!」
 
 
マーリン
「ーー大丈…夫…ちょっと…休めば…ありがとう」

マーリンは肩で大きく息をしていた。
 
 
アリス
「マーリンさん…!」

アリスや心配になった他の大人達も駆け寄る。
 
 
X
「騒がしくしちゃってごめんなさい。まだ起きたらだめだろうに…」
 
 
イマノル
「まったく、マーリンは無茶するな!」
 
イマノルは明るい声だが、心配した様子が声色か
感じられた。
 
バルナバ
「早く横になって下さい」
 
辛そうなマーリンを見てバルナバは心配そうにしている。
 
マーリンはパトリックに連れられて二階の部屋に消えていった。
 
アリス
「Xさん……本当にありがとうございました。わたくし……妹達に何と言えばよかったのか分からず……ただ驚いてばかりで」
 
X
「……いえいえ……最後はマーリン君が助けてくれたし」

固くなった表情を少し和らげると、Xはセシリアに向き直った。
 
X
「………で、セシリア様。リリーさんとトアくんに会った?」
 
 
セシリア
「んん?トア君…?うん、さっき……」
 
Xは大きなため息をついた。
 
 
X
「他国の王太女のセシリア様に手を出すとは。あの子たち、追い出しちゃう?」
 

ローデリック
「………あの人たちなにかした?」
 
ローデリックは先程からまったく顔色ひとつ変えず静かに口を開いた。
 
 
X
「彼らのエナのほほえみにやられちゃったみたい」
 
Xは苦笑しながら、セシリアの頭を優しく撫でた。
 
「意図的じゃなく無意識かもしれないけど」
 
一方的にトアたちが悪者にならないよう一応付け加えた。
 
ゆっくりとセシリアのフワフワしていた気持ちがハッキリとしてきた。
 
 
バルナバ
「気に入らないのはわかるが…アーサー君たちの知り合いなんでしょ?」
 
恩のある人たちの知り合いをつまみだすなんてとバルナバは否定的な反応を示した。
 
 
 
ティアゴ
「…なるべく穏便にすませましょう。彼らも好きでここにきたわけではないようです。」
 
 
女王の命令ならば、彼らも大変だなとティアゴは理解を示していた。
 
 
 
 
アーサー
「ーーXさん……一つ聞いてもいいですか?」
 
Xどきりとする。
 
 
X
「ーー何?」
 
 
アーサー
「ーー何で…」
 
 
アーサーの口から発せられ言葉にXは固唾を飲んだ待っていた___
 

アーサー
「俺を殴ったんですか!女の子だからって、そこおかしくないですか⁉︎」
 
 
X
「ーーーーへ?」
 
思っていたのと違う発言に間抜けな声が出てしまった。
 
 
同じアーサーでも、見た目がどんなに似ていてもアーサー先生とは大違いだと思ってしまった。
 
 
アーサーは頭をさすりながら、
「他人によって態度を変えるのは如何なるものかと存じますがね!!」
 
 
 
X
「ーーあぁ、痛かったわよね………リリーさんたちの魔力はとっても強力で、ああでもしないと連れて行かれてしまうと思ったの。余計なお世話だったかもしれないけれど…ごめんなさい」
 
 
アーサーは少し恥ずかしげに口を尖らせた。
「…はい。痛かったです」
 
 
それを聞いていたセシリアはXの前まできて
 
「いじめちゃだめ!なかよくだよ!」
 
 
と、Xを注意した。
 
 
X
「はい、気をつけます」
 
大人しく従うXの姿にセシリアは満足そうに頷き、アーサーを振り返った。
 
セシリア
「だいじょうぶ?いたかったの?セシリアがいいこいいこしてあげる!」
と、背伸びをしてアーサーの頭の方に手を伸ばした。
 
 
 
アーサーは跪きながら…
「ーーえっ……参ったな……もう大丈夫だよ……」
 
恥ずかしそうにセシリアに頭を撫でられた。
 
セシリア
「いたいのとんでけーイマノルさんにー」
 
 
イマノル
「なんでぇーー?! セシリアさまぁ!」
 
イマノルが悲痛な声をあげた。
 
 
アーサーはセシリアの顔を覗き込むようにしてニッと笑った。
 
「ありがとう。お兄さん、もう痛くなくなったよ」
 
そして、イマノルのほうを向き……
「ごめんなさい、イマノルさん♪」
 
悪戯っぽく笑った。
 
 
イマノル
「!!わかった、コイツチャラ男だよ!セシリア様逃げて!!俺の所に!」
 
イマノルがガバッと両手を広げたので、隣にいたローデリックが無表情のままイマノルの頭を叩いた。
 
 
ローデリック
「お前のほうが危ないって」
 

セシリア
「イマノルくんはあぶない」
ローデリックの言葉に同調するようにセシリアはアーサーの後ろに隠れて呟いた。
 
 
イマノル
「ちがうよ!俺はとっても安全でいい奴だよ!」
 
 
アーサー
「……セシリアちゃん。自分の事を安全でとってもいい奴だと過大評価……すごく褒める人に、良い人なんていないんだからね。その証拠にあいつの手を見てごらん。今にもセシリアちゃんを抱きしめようとしている手だ。あんなチャラ男は相手しちゃダメだよ」

アーサーはセシリアと目線を合わせ、優しく言い聞かせた。

 
 
イマノル
「ええぇ?ひどい言いようだなー、アーサーくん」
 
不服そうに文句を言うイマノルを尻目にアーサーは続けた。
 
アーサーは小指を差し出した。
「……約束できる?」
 
 
セシリア
「…うん!約束ーできるー!」
 
 
セシリアも小指を差し出して笑顔を浮かべて指切りげんまんした。
 
 
アーサー
「…シズニの神に誓って」
 
 
セシリア
「…あれ………マーリンさんといっしょだ…」
 
 
アーサー
「……え」
 
 
セシリア
「マーリンさんもね、指切りした時同じこといってたの。でね、セシリアと約束したんだよ。アーサーくんにあやまるって」
 
 
アーサー
「……はっ……本当に言ってたんだ」
 
アーサーはXのほうをチラリと見る。
 
Xは柔らかい笑みを浮かべて頷いた。
 
 
アーサーは気を持ち直して、セシリアに笑みを向けた。その笑みは困ったような、そんな風に見えた__
 
「……何を謝るか聞いた?」
 
 
 
セシリア
「んーと………アーサーくんの気持ちを考えなかったっていってたかな……
…ごめんなさいが足りないくらいの事やっちゃったって………マーリンさん、とっても…こうかいしてた……」
 
セシリアはマーリンが本当に後悔している様子が伝わるように一生懸命説明した。
 
アーサーは震え出した。
「………そう」
 
Xのほうを向くと、
「ーーでも……今更です。現実は変わりません……」
 
アーサーは涙を堪えていたが、涙が頬を伝った。
 
 
Xは辛そうな表情でアーサーを見つめた。
 
 
彼がどんな思いをしてきたのか、Xには分からない。
 
 「………辛かったのね…」
 
Xは慎重に言葉を選んでいるようだった。
 
 
「でも、本当に今更___?もう何もできないの?出来ることはほんとうにもうないの?」
 

Xは辛そうな顔でアーサーを見た。




に続きます。


 
 


前回のイムゆめ担当の話でててきたキャラたちの紹介の画像で仲間外れが三人いるけどそれは、
だれでしょう?
それぞれがそれぞれの理由で仲間外れです。








 
 





正解はこの3人でしたー


 
 アリスちゃんは白薔薇を持っているいる

バルナバさんは1人だけ背景が加工されてない

パトリックさんは……肩にフォモス乗せてる



でした〜

簡単だったかなー?


イムゆめが明絃さんにこの問題出したら当初答えになかったアリスちゃんって答えてその時に
アリスちゃんが薔薇持ってることに気づいたんだってー。だから正解を増やしたって。
イムゆめは問題を作るならよーく画像見とけよなー