任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。
さんざん書いていて今更ですが
初期国民の死が綴られています。
年代など表示されておりますこでご注意下さい。
4日
朝起きて目に飛び込んできた死神に、ただただ呆然とするしかなかった。
この日がきてしまった。
リンゴ「……ヴェルンヘル……」
ヴェルンヘル「……」
ヴェルンヘルはしばらく、孫と同じベットで眠る父親を見つめていた。
ヴェルンヘル
「リンゴ……今日は、リンゴとおやじの誕生日だ..いつも通りにして、誕生日をお祝いしよう」
リンゴ「……うん…」
自然に目を覚ましたマドックさんが違和感を感じたような表情を一瞬浮かべたが、すぐにいつものように穏やかな笑みをヴェルンヘルとリンゴに向けた。
ヴェルンヘル
「おはよう、おやじ」
いつもと同じように、挨拶を交わす息子と父。
マドック
「おはよう。お、今日の朝食はケーキだね♪」
和やかに、いつもと同じ朝が始まる。
みんなで過ごす最後の朝。
ヴェルンヘル
「おやじ、お誕生日おめでとう」
マドック
「ありがとう」
ヴェルンヘル
「お誕生日おめでとう!」
セシリア
「おたんじょうび、おめでとうございます!」
リンゴ
「ありがとう、何だか照れちゃうな」
マドック
「ありがとう♪へへ…やっぱりうれしいな」
リンゴ
「マドックさん…具合はどう?」
マドック
「リンゴか…まあ、こうして寝ていれば明日にはよくなるよ。………リンゴの誕生日なのに、ごめんね」
リンゴ「なんにもごめんじゃないよ…」
涙が溢れそうになって、部屋から出るとラナちゃんがお祝いにきてくれた。
アルフォンソ君..!
いつも差し入れありがとう..!
ルクレーシャさんからの差し入れ…
きっとこれが、
ルクレーシャさんからの最後の差し入れになるだろうと感じた。
ありがとうございます…
ルクレーシャさんに続いて旦那様のバルナバからも差し入れ。
ありがとう。
イラリオ君もお祝いにきてくれた..ありがとう。
イラリオ
「父さんもきてる。ほんとうに4日だけは朝一なんだなぁ」
イラリオの視線の先には玉座の間に足を踏み入れたティアゴの姿があった。
ティアゴ
「なんだ、お前もきてたのか。俺に文句でもありそうな顔してるな?」
イラリオ「べつにー」
あんなに息子を可愛がっていたのに、成人し、結婚して独り立ちするとティアゴは他の人たちと同様にイラリオに対して少し態度が悪くなっている。*年上にはあくまで敬語を使います
イラリオは逃げるように玉座の間から出て行った。
イラリオがいなくなると、ティアゴは優しげな笑みを浮かべてお祝いの言葉を言ってくれた。
ティアゴ
「リンゴ、誕生日おめでとう♪」
リンゴ
「ありがとう
これからもよろしくね」
ティアゴの姿を見て涙が出そうになるのをぐっと堪えた。
(だめだな…ティアゴ君を見ると甘えたくなってしまう)
ティアゴ
「誕生日だし、飲みに誘おうと思ったけど、今日は無理そうだね..」
声のトーンを落としすティアゴにリンゴはコクリと頷いた。
リンゴ「うん…」
ティアゴもマドックの危篤に気づいているようだ。
ティアゴ
「今日、明日、陛下がお辛い時だ。陛下を側でお支えしてあげてほしい…」
リンゴ「うん」
空気が読めるティアゴと、対照的な奴がきた。
ルーク
「リンゴおはよう」
叔父が声をかけてくれたと思ったらお祝いの言葉ではなくどつきあい。
こんな時に練習試合..と思ったが、珍しいお誘いなので承諾する。
闘技場に行く途中、みんなでお出かけ状態になった。
ルークにまで先制をとられた。
そして、負けた。
こんな画像ばっかりw
リンゴはローデリックの言うようにドンくさい奴なのだろうか…
リンゴ(はあ…力が入らない…)
ルークに負けて歩いていると、見知った人たちが歩いていた
リンゴ
(ティアゴ君が、バーニスちゃんを引っ張ってる..?)
ティアゴが誰かを引っ張ってるのは、リリーかカトリーン、息子たちとローデリック、X、ルークしかなかった。
練習試合だ!
二人とも試合するくらい仲よかったんだ。
そんな気はしてたけど。
勝敗が分からない..!
NPC同士の試合も見れたら面白いのに..!
X
「お誕生日おめでとう♪」
リンゴ
「ありがとうございます♪」
ドルム山道でティアゴをつかまえて、ダンジョンに誘う。
ティアゴ「いいね、行くよ」
リンゴ
「さっきのバーニスちゃんとの試合、どっちが勝ったの?」
ティアゴ「気になる?」
リンゴ「気になるから聞いてる…」
ティアゴ
「先制できたからたまたま俺が勝った…」
リンゴ
「すごい!流石ティアゴ君。魔銃導師と山岳兵団長の練習試合、ちゃんと見たかったなー」
ティアゴ
「たまたまだから。カンスト同士は運だよなー。先制した方が勝つところあるから」
リンゴ
「そうだね」
リンゴ
「ティアゴ君、最近バーニスちゃんと仲良いね」
何年か前に殴られてたのに
ティアゴ
「そう?久々に声かけたんだけど……もしかして、ヤキモチやいてる?だからダンジョン誘ってくれたの?」
リンゴ
「別に……そんなこと、あります」
ティアゴ
「そんなことあるんだ」
クスクス笑うティアゴにリンゴは抱きついた。
ティアゴの温もりと匂いがあると安心する。
ティアゴは何も言わず、ぎゅっと抱きしめてくれた。
しばらくして、ダンジョンから出るとリンゴはなんとなく差し入れをした。
リンゴ
「これ、作ってきたんだけど、よかったら食べてね」
ティアゴ
「ありがとう、美味しそうだね。あとでいただくよ...リンゴ、しっかりな」
ポンポンとリンゴの背中を叩いて、ティアゴは去って行った。
そこに可愛い女の子がいたので早速チェックする。
グラディス・プラマー
アラルコスの娘、山岳3の跡取り娘だ。
エナのほほえみもち。
うーん、へんな奴に引っかかってほしくないなぁ。今からお婿さん候補考えるかぁ...
そのあと、親友たちと食事。
アルシア
「何か伝説の英雄にでも変身するくらいの気持ちでねー
リンゴさんは龍騎士になれたんだから凄いよね!」
リンゴ
「バグウェルと実際戦ってみればわかるけど、あれで本気じゃないからね。底知れない強さにゾッとしたよ」
次はガラちゃんと。
ガラ
「じゃあ、お誕生日のお祝い♪おめでとう、リンゴ。また多くの幸せが訪れますように」
アルシアと全く同じ会話をします。
次はバーニスちゃん。
リンゴ
「バーニスちゃん、ティアゴ君と仲いいんだね」
バーニス
「え?そう?」
リンゴがティアゴのことをパチャグラタンより好きという情報がバーニスにはあるが、リンゴの好感度でパチャグラタンがどの位置にあるかバーニスには分からない..
だが、流石にバーニスもリンゴの気持ちを察しているようでリンゴの面白くないと思ってる顔をみて内心慌てた。
リンゴ「今日、試合してた」
バーニス
「珍しくティアゴさんが訪ねてきて、試合申し込まれたけど、先制されてあっさり負けちゃったよ。みんなにこの結果、恥ずかしくて言えないよー」
山岳兵団長が、武器で有利な魔銃師会に負けたというのは言いにくいだろう。
それを考えると同じ魔銃師会だからティアゴとリンゴは気兼ねなく勝負ができる。
バーニスちゃんの依頼をこなしたところで帰宅。
マドックさん…
リンゴ
「マドックさん…具合はどう?」
マドック
「すまないね…さすがに起きているのは辛くて…」
リンゴ
「そんなこと気にせずによく休んで、早く良くなって…」
辛いはずなのに、マドックさんは一度起き上がりソファーに座って部屋を見回していた。
最後に長年過ごしたこの部屋を瞼に焼き付けるかのように。
そしてその時はやってきた。
マドックさんの友人はすでにガノスにいるのか..
家族と神官たちでの見送りとなった。
息子のギオルギー。
セシリア、ヴェルンヘル、リンゴがマドックの側で最期を看取る。
リンゴ「マドックさん…」
なぜか、何度やり直してもこの位置はリンゴが、固定でした。ヴェルンヘルとか血縁者がこの位置にくればいいのに
マドック・ラウル
享年23歳
今日が23歳の誕生日だった。
……
マドックさんがいなくなった王家の居室
大好きなマドックさんを失って、悲しみと喪失感でみんなどん底。
どん底の空元気のヴェルンヘルが、プレゼントを渡してきた…
ヴェルンヘル
「これ、星空の砂…
誕生日のプレゼント…おめでとう、リンゴ」
無理すんなよ。⬅︎プレイヤーの声
リンゴ
「ありがとう…こんなにいいものまでもらったんじゃなんだか悪い気がする…大切にするね♪」
ヴェルンヘル
「喜んでもらえてよかった」
マドックに着せていた服の返却のアナウンスが虚しく流れる。
どん底のセシリア。赤ちゃんなのにどん底のチェロをどん底のヴェルンヘルがあやしていた。
今年成人した仲良しのコラソンが心配してくれた。
ロベルトも……
気遣ってくれてありがとう。
なんて、悲しい誕生日だろう。
あとがき
プレイヤーとして操作するリンゴ最後の誕生日は悲しみに満ちた日でした。
義理の両親とは、今まで希薄な関係だったプレイヤーにとって、昔から知ってたマドックさんが、義理の父となり一緒に住むことになって、よく声もかけてくれて、めっちゃ大好きでした。
実の両親は、滅多に声かけてくれないので、マドックさんが声かけてくれるのはすっごく嬉しかった。
わざわざ追いかけて声かけてくれたり。
マドックさん、ありがとう…
誕生日に大切な人の命日パターンありますよね..
30日までしかないから、仕方ないけど..
リンゴのどん底はまだ続きます。