任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています
今回ももしもエルネア王国の人たちがラインをやっていたら...
次回と合わせて連続で出てきますが、決戦前夜のやりとりとなります。
合わせて読んでもらえばキャラクターたちの心情が少し分かるかな、、と思いますが、深い意味のないものもありますw
こいつらはこんなやり取りばかりしていそう。
一応ラインの話は繋がっています。
[心残りがないように]
そのスタンプの反応、間違っていませんよ?
ローデリックもそのスタンプ持ってるんかい
本編
11日
ティアゴはいつもの日課で森でキノコを採っていた。
すると、ルークがやってきて声をかけてきた。
ルーク
「おはようございます」
ティアゴ
「おはようございます」
ルーク
「昨日は魔銃師会でなにかやってました?俺が聞いてなかったのかダンジョンにこもって手伝えなくてすみません」
ティアゴ
「いえ?なにもしてませんけど__?」
ルーク
「だれか開門して作業をしていたというからてっきり…」
ルークの話にティアゴは眉をひそめた。
ティアゴ
「……?それ、いつぐらいの話でしょう」
ルーク
「ジョゼットの話だと、夕刻だって言ってました」
ティアゴ「夕刻?」
(俺がローデリックとダンジョンにいて、サブリーナさんの話を永遠と聞かされてる時..あいつにしては珍しく相談事してくるから親身になって聞いてやったけど、なんか違和感あったんだよな…)
その時
王国アナウンスが流れた
『討伐依頼No.354到来により、武術職はただちに現場へ急行せよ。武術職以外は家の中に入り指示があるまで待機せよ』
物々しい雰囲気に包まれ、皆一様に険しい顔をしていた。
山岳兵団も騎士隊も、武器を銃にかえて、全員が城壁に上がった。
バルナバ
「奴がジャンプしてもしここを乗り越えようとしたら、山岳兵団は斧で叩き斬れ!自分の身体を盾にしてでも侵入を阻止しろ!」
「はい!」
山岳兵たちは頷いた。足元には斧をおき、いつでも使えるようにしている。
リリー
「山岳兵団と魔銃師会におくれをとるな!我らローゼル騎士隊の力を見せつけよ!」
「はい!」
騎士隊も負けじと力強く頷いた。
ティアゴ
「うちの、導師はどこだ….?」
ここはリリーに続けよ、と思い見回すがXとリンゴの姿がない。
セシィー
「そうあえば、なんか、たくさん石が転がってない?今までこんなに転がってたっけ?」
荒野にばら撒かれている鉱石に気づいたセシィーは首を傾げた。
ティアゴ
「__今までなかったと思いますが…」
ガタガタと大きな音が聞こえた。
イマノルとアルシアが、大きな大砲を乗せた台車を押して到着した。
リンゴとXが馬に乗って到着。
ヴェルンヘルが息を切らしながら駆け込んできた。
ヴェルンヘル
「リンゴ!!」
リンゴ
「陛下。危ないので安全な場所で待機していて下さい」
ヴェルンヘル
「___また無茶しそうで心配だよ」
リンゴ
「大丈夫ですよ、ヴェルンヘル陛下はこの私がお守りしますから!タニアさん、陛下を安全な場所までお連れして!」
タニア
「は、はい!」
不安げな表情を浮かべたヴェルンヘルを、タニアが転移魔法で連れて行った。
リンゴ
「アートさん、開門して下さい」
リンゴは振り返り、門にいるアートに言った。
アート
「はい..」
皆の怪訝そうな視線を流し、リンゴとXが門の外に飛び出し、イマノルとアルシアは台車を押しながら駆け出した。
バルナバ
「なにをするつもりだ?」
バーニス
「バルナバも、聞いてないの?」
バルナバ
「…嫌な予感がする」
眉間に皺を寄せてバルナバは門の外に出ている4人を城郭の上から見下ろしていた。
チラリと視線をリリーとジェレマイアに向けると同じように困惑した様子を隠しきれず、険しい表情を浮かべていた。
イマノルたちが城壁から少し離れた場所に台車を止めて、大砲を設置している。その間、一度距離をとっていたらしい黒い魔物が再び近づいてきた。
リンゴとXは馬を走らせ、引きつけている。
リリー
「あの大砲で向かい撃つの?この前は当たらなかったのに当てられるの?」
ティアゴ
「なんで、こんなに鉱石がばら撒かれてるんだ…?」
大砲を運ぶ役は、イマノル、アルシア。昨日自分のことを引き止めていたローデリック
嫌な予感が駆け巡る。
大砲を設置したイマノルとアルシアは、袋の中からクリスタキューブを取り出し、それもバラまいた。
イマノル
「……あ〜あ。嫌な役目…あとで大目玉くらうなぁ……」
リンゴたちには聞こえないよう小声でイマノルは呟いた。
イマノルは消極的だった。出来るなら、この手段は使いたくなかった。その気持ちはアルシアも同じだったが今は時間が惜しい。
アルシア
「無駄口叩いてる暇があったら退散するわよ」
イマノルとアルシアは、門に向かって走り出す。
リンゴ
「終わったみたい」
リンゴはラゴステーキをありったけ、地面に置くと、Xと共に馬を走らせた。
大砲のところで止まると馬から降りた。
リンゴ
「ありがとう、、早く戻って」
イマノルが引き返してきて、二頭の手綱を持つと、馬を連れて戻った。
X
「きたわよ」
門が閉じるのと同時に、黒い魔物が走ってきた。
バーニス
「嘘でしょ、馬から降りちゃうの?!」
ジェレマイア
「接近されたら終わりなのに…」
動揺が走り城壁の上はザワザワとざわついた。
ーーきた……!
フェリックスはゴクリと唾を飲み込んで、筆頭魔銃師のティアゴの方向に向き直った。
フェリックス
「導師から伝言です!導師に近づいてきたら、一斉に魔物を射撃して動きを止めよ!とのことです。あとは全てこちらに任せるようにと!それから炎が上がったらできるだけ離れるように」
この時を待っていたかのようにフェリックスが声を張り上げた。
ティアゴ
「ちょっと待て…こんなに鉱石バラまいた状態でそんな事をしたら__!」
なにをしようとしているのか気づいたが遅すぎた。同時によくも今まで黙っていたなとフェリックスを睨みつけた。
ティアゴの睨みにフェリックスはビクリと身体を震わせた。
山岳兵団ではティムが同じ伝言を皆に伝え、
騎士隊ではエドモンドが伝えていた。
電撃のように、皆に衝撃が走る。
リリー
「___これ、たぶん一発勝負…!成功しても失敗しても、最後の一回」
リリーも察したらしいが、もう誰にも止められない。
ティアゴは拳を握りしめた。考える時間はない。
ティアゴ
「構え!!!よく狙え!!!」
ティアゴの声が遠くから聞こえる。これが、最後に聞く声かもしれない。
リンゴ
「…Xさん、怖くないんですか?」
遠くから自分たちを襲いに魔物が迫ってくるとは思えないほどリンゴは穏やかに聞いた。
X
「私は、十分生きたし。子供はみんな成人して、結婚したし、思い残すことはないわーリンゴちゃんこそ、心残り多そう」
Xも落ち着いた様子で答えた。二人にはまだそこまで緊張感はない。
リンゴ
「ガラちゃんと親友になれたから、やりたいことは出来たと思います」
X
「最後かもしれないから聞いてもいい?」
リンゴ
「なんでしょう?」
X
「ティアゴと、深い関係になっちゃったの?」
リンゴは驚いた顔をしてXを見つめ、悲しそうに笑った。
「セシリアが産まれたあとに…でも、ヴェルンヘルが王位につく前に別れました。だから短い期間だけです…Xさん、知ってて写真くれたんじゃないんですか?いずれ、私達が別れるから」
X「詳細は知らなかったけどなんとなく察してたわよ…二人の雰囲気、あの頃違かったから…写真はね、二人は一緒にはなれない、それが可哀想だなって思っちゃったのよ。そんな事、思ったらダメなんだろうけど」
(やっぱり最後まで手を出してたかーあの男)
リンゴ
「写真は肌身離さず御守り代わりに持っています。これで死ぬのは怖くありません」
写真が入っている内ポケットのあたりを上着の上から手を添える。
X
「ティアゴは愛されてるわね…」
リンゴ
「ティアゴ君は、ずっと私の味方でいてくれた人ですから。」
だから、守りたい。
いつも、自分を守ってくれたように、今度は自分が守りたい。
X
「____さあ、やるわよ。失敗したら、後ろにいる人たちみんなそのうち食われるからね」
リンゴ
「はい!!よろしくお願いします!」
今までこちらの攻撃を避けてきたからか、黒い魔物は臆することなく突っ込んでくる。
速度をあげて、Xとリンゴに猛然と向かってきた。
ティアゴ
「放て!!」
掛け声と共に、放たれた攻撃に、黒い魔物はジャンプした。
リンゴはそれを待っていたかのように大砲の筒の向きを上にかえて、上空に浮いたところに、砲撃した。
砲撃の音が響き渡り、黒い魔物に命中した。
黒い魔物は唸り声をあげながら、炎に包まれていく。
落下していく場所にはXたちがいる。
リンゴ
「ごめんね、ここからが本番なの!」
本命の、攻撃は、砲撃ではなかった。
リンゴは自分たちの周りに大量に置かれたクリスタキューブに向けて、力を解放した。
ドォォォォ
爆発音と共に、地響きが鳴り響き、城壁に炎が迫ろうとしていたが、水魔法で炎ははじき返された。
リリーは呆然と荒野を見つめていた。
辺り一面炎に包まれていた。
あとがき
ティアゴがいつも捨てていくクリスタキューブ
使い方をずっと考えていて、こういう時に使うものなんじゃないかな?と想像して使いました。
この辺りはファンタジーの世界観を想像して書いたものであり特定の誰かのものを参考にはしていません。