213年 怒号が飛び交う評議会 | エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国モニカ国の暮らし。

エルネア王国の日々の備忘録です。妄想もかなりあります。モニカ国。他のゲームの事も気ままに書いていこうと思います。
多忙のためのんびり更新中です。アイコンは旧都なぎ様のきゅーとなクラシックメーカーより。

任天堂Switch版エルネア王国をもとに書いています。

 
Switch版のアップデートが24日きました。

アップデートの内容は、カレンダーが使いやすくなったこと、インテリアが回転できるというものでした。

カレンダーについては、すでにスマホ版で導入されているものと同じだと思います。

今日誰が危篤なのか分かることで、大切な人の最期を見届けられる可能性が高くなると思う。

これで二十歳超えた方々を一人一人チェックしなくてすみます。あの作業、毎日だと地味に大変です..ロケハンできないスマホ版なんか特に取り返しつかないから大変だったと思います..

忘れた時に限って、誰か危篤だったりする..

Switch版、自動的にアップデートされると説明があった気がしましたが、なってなかったので手動でアップデートしました。

もしアップデートされてない方は一度ソフトを閉じてソフトからソフト更新を選んで下さい。
アップデートはすぐ終わります。

ちなみに、妊娠中も夫婦仲良くできるというやつは実装されていません。
焦らしますね、運営さんw






本編に入りますが数話で通常に戻りつつ、この黒い魔物の話を、織り交ぜながら進みます。







 
 
リンゴは手榴弾でダメージを与えつつ、後退していき、黒い魔物の動きが遅くなったのを見計い、
 

バルナバ
「開門ー!!」
 
バルナバ兵団顧問の合図で門が開かれた。近くまできてきたジェレマイアの馬が門内に走り込んだ。

騎士隊がジェレマイアのもとに群がった。
 
 
リンゴが門に向かって馬を走らせると、まるでそうはさせるかと黒い魔物が速度を上げて追いかけてくる。
 


ティアゴ
「よく狙え!導師に当てるな!__放て!」


 
ティアゴの合図と共に、城壁の上から魔銃師会が一斉に射撃した。
 

 
集中攻撃を受けた黒い魔物は一瞬怯み、リンゴが門内に入った瞬間、門が閉められた。
 


 
リンゴは肩で息をしながら、馬から降りた。
 
 
リンゴ
「皆さん、ありがとうございました..おかげで戻ってこれました」
 
息も切れ切れに、リンゴは感謝の言葉を述べた。
 
 
 
セシィー
「リンゴちゃん、良かったぁ!」
 
城壁の上から安堵の声をだすセシィー。
 
 
ヴェルンヘル
「リンゴ、よく無事に戻った」
 
リンゴ
「陛下、ご心配をおかけして申し訳ありません。皆のおかげで戻れました。」
 
リリー
「ジェレマイアとリンゴは休みなさい。ここは私が見張りをするから」
リンゴの背中をポンポンと叩いた。
 
 
バルナバ
「俺も見張るよ!」
 
魔銃師会のメンバーがゾロゾロと城壁から降りてくる。ティアゴと目が合ったが、すぐに目を逸らされてしまった。
 
 
リンゴ(あぁ..めっちゃ怒ってる...)
 
 
自分のためを思って止めてくれたのは重々承知しているが、あの場合、リンゴが出る以外の選択肢が思いつかなかったのも事実。
 
どうしようもなかった。
 
X
「リンゴちゃん、怪我してるの?顔や服に血がついてるけど..」
 
リンゴ
「これは..私の血ではありません...」
 
リンゴは倒れていた人たちを思い出し俯いた。誰も救えなかった。間に合わなかった。
 
「あ..ここに辿り着いた人は?」
 
ハッとして顔をあげると、Xとティアゴが顔を見合わせてから気まずそうにしていた。
 
セシィー
「・・・治療したんだけど・・まもなく息を引き取ったの..」
 
 
リンゴ
「・・・・・そうですか...ありがとうございました」
 一気にリンゴは消沈した。
 
さっき連れて帰ってきた赤ちゃんは、バーニーが抱いていて、両脇にバーニスとユズがいた。
 
組み合わせに少しヒヤリとしたが、今はそんな事ら言ってられない。
 
バーニスはリンゴに抱きついた。
 
「無事で良かった..」
 
「最後まで赤ちゃん守ってくれてありがとう」
 
リンゴとバーニスは顔を見合わせてお互いの生還を喜んだあと...
 
「一緒に神官様のところに行こう。ちょっと待ってて。」
 
リンゴは未だに門に近くにいるアートに深々と頭を下げた。
 
「さっきはすみませんでした。」
 
アート
「い、いえ?!かなりおっかなかったけど、気にしてませんよ?!」
 
王妃に頭を下げられたことと、やはり怖い思いをしたようで、少し顔を引きつらせていた。
 
とりあえず謝罪をしたので、バーニーたちと神官の元へ向かう。
 
 
リンゴたちが立ち去ったあと、リリーや山岳兵団、魔銃師会は、松明を追加して、監視を続けていた。
 
 
先程の黒い魔物の姿はもうなかった。
 
 
 
 
翌朝
 
 
早朝から、亡くなった女の子と赤ちゃんの葬儀が営まれた。
 
二人のご遺体は、天に召されて消えていく。
 
 
この国の人は亡くなるとご遺体がすぐに消えるが、この国の人じゃない二人は葬儀の時にガノスに向かった。
 
 
リンゴ
(今もどこかで、誰かが襲われているんだろうか)
 
黒い魔物のことを考えて、リンゴの心は暗闇に沈んだ。
奴の脅威が消えたわけではない。
 
 
 
魔銃師会の前でティアゴを見かけるが、声はかけなかった。
 
リンゴ(完全に嫌われたかなー...)
 
ティアゴが自分をどう思っているのか確かめるのも怖くて、リンゴはその場から離れた。
 
 
旧市街の川辺まできた時、誰かが追いかけてきた。
 
 
セシィー
「リンゴちゃん!」
 
セシィーがバタバタと走ってやってきた。
 
リンゴ「セシィーさん..」
 
セシィー
「魔銃師会の、門の監視役、みんなで順番でやるけど、順番とかどうする?ってティアゴ君が!」
 
リンゴ「ティアゴ君が?」
 
セシィー
「リンゴちゃんに聞いてきて!っていわれたの。任せてくれるなら一応リストは作ってあるって」
 
リンゴ
「・・・ティアゴ君にお任せします、って伝えてもらえますか?」
 
セシィー
「・・分かった!」
 
セシィーは走ってどこかへ向かった。
 
少ししてまたセシィーが走ってやってきた。
 
セシィー
「これがリスト!今日の昼から私と、リンゴちゃんとルークさんね、」
 
セシィーから紙を渡され目を通す。
 
リンゴ
「えっと、じゃあこれで..」
 
セシィー
「待って!!もう伝言嫌だよ?あとは自分たちで話して!!」
 
もうたくさんだと言う顔をしてセシィーは逃げるように走り去った。
 
 
リンゴはため息をついて、ティアゴのもとに向かった。ティアゴはまだ魔銃師会の前にいた。
 
 
リンゴ
「ティアゴ君..」
 
恐る恐る声をかける。
 
セシィーを伝言役に使うくらいなのだから、リンゴと話をしたくないのだろう。そんな人に声をかけるのはかなり勇気がいる。
 
ティアゴ
「・・お疲れ様です、導師」
 
ティアゴは無表情で一礼した。
 
リンゴ
「リストありがとう...昨日は、ごめんなさい。」
 
ティアゴ
「あれが最善だったことは承知しています。こちらこそ、出すぎた真似をして申し訳ありません」
 
リンゴ「・・・」
 
ティアゴ「・・・」
 
謝罪をしても、気まずい雰囲気は改善されぬまま。リンゴはぺこりと頭を下げて、その場を後にした。
 
 
 
 
 
 
 
バルナバ
「ねえ、大丈夫?魔銃師会、これで連携とれる?」
 
偶然見ていたらしいバルナバが心配そうにティアゴに声をかけた。
 
ティアゴ
「問題ありません。有事であっても昨日のように協力できます」
 
 
バルナバ
「この後、評議会だけど、魔銃師会は意見まとまってる?」
 
ティアゴ
「あ」
 
バルナバ
「大丈夫?」
 
普段、抜かりないティアゴが臨時評議会の予定を忘れるなんて、とバルナバはますます心配になった。
 
 
ティアゴ
「・・・リンゴと話してきます」
 
昼から評議会なのにリンゴが昼から見張り番になっている。それも変更しなければならない。
 
リンゴはさほど遠くには行ってなかった。こうべをたれて、トボトボと歩いていた。リンゴは、分かりやすい...
 
ティアゴ
「リンゴ」
 
声をかけると、リンゴが驚いたように振り返り、まるで怯えた小動物みたいな顔をしてティアゴを恐る恐る見上げていた。
 
リンゴ
「どうしたの?」
 
ティアゴ
「忘れてたんだけど、昼から、臨時の緊急評議会がある」

すっかり自分をこわがっいるリンゴの様子にティアゴは胸が痛んだ。
こんな顔をさせたいわけじゃない。

 
リンゴ「あー..忘れてた」
 
リンゴも忘れていた。導師と筆頭魔銃師二人で忘れているなんて..
 
ティアゴ
「各組織から二人出るから、魔銃師会からはリンゴと俺なんだけど..だから、警備は昼からは他の人に代ってもらうから」
 
リンゴ
「うん..」
 
ティアゴ
「で、議題は当然昨日の討伐依頼No.354だけど..
討伐に出陣するか
討伐を見送るか。
 
魔銃師会として、どっちの意見にするか」
 
リンゴ
「ティアゴ君は、どう思う?」
 
ティアゴ
「どうだろう...昨日対峙してみてどうだった?倒せそう?」
 
リンゴ
「逃げるのが精一杯だった。討伐にでるなら、死人がでるよ」
 
ティアゴ「・・討伐反対を提案?」
 
リンゴ
「あの魔物をこのままにすればさらに犠牲が出る。だけど、私達に討伐する力があるかどうか」
 
ティアゴ
「北のこの国より発展した国が手を焼いたやつだ、俺たちがかなわなくても仕方ない..」
 
リンゴ
「...そうだね..」
苦々しく言うとリンゴは拳をぎゅっと握りしめた。苦しい胸の内がうかがえた。
 
リンゴ
「昨日...荒野に、沢山の人が血だらけで倒れてた。__このまま、あの魔物がこの国に入らないかどうか、見張ってるだけでいいのかな?あの人たちは、昨日死んだ人たちが何をしたっていうんだろう...あんまりにも理不尽だよ」
 
ティアゴ「・・・」
 
ティアゴは少し思案してから一呼吸して、
 
  

「世の中は理不尽だし、不平等だ。平等なんて、理想でしかない。」
 
 

リンゴ
「・・・でも..!なにか出来るかことがあるんじゃないかな?!ただ、静観してるだけじゃなくて!」
 
 
ティアゴ
「・・俺は、リンゴみたいに血だらけの人たちを見たわけじゃないから、リンゴの気持ちがわからないのかもしれない..」
 
まっすぐとティアゴはリンゴを見つめた。
 
「俺は、討伐反対派だ」
 
 
リンゴはぐっと口を閉じてティアゴを苦しげに見つめた。
 
彼の言っていることは、間違ってはいない..
 

ここで話を切り上げることは出来なかった。

 
魔銃師会として、意見を統一しなければならない。
 
両者はしばらく無言で見つめあっていた。

通り過ぎていく人たちが、二人のただならぬ雰囲気に困惑しながら過ぎ去っていく..
 
 
ティアゴ
「俺は、みんなを死なせたくない」
 
リンゴ
「・・・」
 
ティアゴ
「・・リンゴは、俺のこと好き?嫌い?」
 
リンゴ「へ?」
なんでこんな時にそんな事を、しかも往来の多い道端で聞いてくるんだと、リンゴを目を丸くした。
 
ティアゴ
「好きか、嫌いか、聞いてるんだよ」
人目なんて全く気にしていない様子のティアゴが答えるように促してきた。
 
ポマロ(エルネアのトマトみたいな野菜)は好きか、嫌いか、そんな感じで聞いているんだろうか?
 
リンゴ
「・・好き」
素直に答えた。短期間で嫌いになれるなら、苦労はしない..
 
 
ティアゴ
「___昨日、リンゴが、再度出撃した時..俺は生きた心地がしなかった。討伐になれば、武術職全員が、奴の餌食になるかもしれない。助けに入る国民がいればその人たちも。」
 
ティアゴは、深々と頭を下げた。
 
「俺のこと少しでも好きなら、魔銃師会は、討伐反対派にしてもらえませんか。お願いします」
 
リンゴ
「え?!えええ?」
 
頭を下げるティアゴにリンゴは驚いて声をあげた。
 
「頭上げてよ、ティアゴ君!」
 
ティアゴは頭を下げたまま動かない。
 
リンゴはわたわたと周囲を見回した。6歳も年上の男性に頭を下げさせている..
 
往来の激しいこの道で、見知った人に見られてもおかしくはない..
 
 
エドモンドやローデリックが気難しそうな顔をして立ち止まってこちらを見ていた。
 

リンゴ
(ティアゴ君は!!!だから、策士なんだ!!)
 
ティアゴは昔から、多少事を有利に運ぼうとするときに、自分の身を削ることは厭わない。
 
バーニスをわざと挑発して、自分を殴るように仕向けたことがある(リンゴはわざとだと思っている)
 
リンゴ「頭をあげて...」
 
懇願するように言ってもティアゴは頭を下げたまま動かない。
 
リンゴはうーんとしばらく思案し、大きな大きなため息をついて、
 
リンゴ
「・・・・・・・分かりました・・・」
 
渋々、こういうしかなかった。
 
 
魔銃師会の一票の大きさ、
それを考えれば、ティアゴが頭を下げることくらい彼は平気でする。
 
私利私欲でもなんでもない、みんなを死なせたくないという気持ちは本心だろう。

それを突っぱねることはリンゴには出来なかった。
 
討伐できるだけの戦力や策もないのに、頑ななこの男を、どうやって納得させられるだろう。
 
ティアゴ
「ありがとうございます、導師..」
 
ようやく顔をあげた。
 
リンゴ
「ティアゴ君はズルい...あんなこと言われて、しかも、こんな場所で言われたらこういうしかないでしょう..」
 
魔銃師会としての一票、龍騎士になったリンゴの一票の大きさ。この後の評議会でリンゴはそれを実感した。
 
 
X
「あんたたちは、こんな場所でなにしてるの」
 
どこから見てたのか知らないが、一部始終を目撃していたXが呆れたような声を出した。
 
リンゴ「・・私にもなにがなんだか」
 
X
「聞いた?評議会、急遽各組織から4人だすことになったの。三人目と四人目はヴェルンヘル陛下指名で、山岳兵団への指名は、兵団顧問のバルナバ、バーニー、騎士隊へはエドモンドさんとセイディ、うちへは私とルークさんよ」
 
ティアゴ
「急ですね、なんだって二人も追加なんでしょう」
 
Xはフッと、笑った。
「まさにいま、あんたたちがやってたことが、ほかの組織でも行われてるのよ。意見は真っ二つで、紛糾してて意見がまとまらないから、うるさい奴らそのまま評議会に連れてこいって。ヴェルンヘル陛下、よく見てるわね。リリー隊長とジェレマイアさん、派手にぶつかってるわよ。バーニス隊長とバルナバさんたちもね」
 
 
リンゴ「お父さんとお母さんが..?」
 
そのまま評議会って
 
ティアゴ
「評議会、荒れそうだなぁ..」
 
X
「うちは意見まとまってるのかしら?ティアゴがリンゴちゃんを丸め込んだみたいだけど?」
 
ティアゴ
「ま、丸め込むなんて..お願いしただけです」
 
X
「今日の評議会は面白くなりそうねー。聞いた話だと討伐派、リリーとバルナバよ。龍騎士二人が討伐派だとめんどくさそうねー」
 
ティアゴ
「あの二人が討伐派?バルナバさんは反対派だと思ったのに」

X
「バルナバは当初反対派だったみたいだけど昨夜リリーと話をしているうちに意見が変わったんじゃない?あの二人は血の気が多いから」
 
ティアゴ
「あの二人かぁ、、リンゴの説得しか考えてなかった」
 
X
「もし、反対意見を通したいなら、リンゴちゃんを論破されないよう、守りきることね。今だって意見変わるかもしれないし、、ね」
 
Xがチラリとリンゴを見た。
 
リンゴ
「・・・圧力かけないで下さい..それに、ティアゴ君に反対派にすると言いましたから、、今回は反対派でいきます」
 
ティアゴ
「ありがとう!」
笑顔で言われてリンゴは悔しそうな顔をした。
 
リンゴ(ティアゴ君ってほんとズルい!)
 
X(ティアゴはリンゴちゃんを手のひらで転がしてるわね...)
 
ティアゴ 
「Xさんとルークさんは、どちらですか?」
 
X「私はどっちも嫌」
 
ティアゴ「そんな選択肢はないんですけど..」
 
 
 
 
評議会は、騎士隊からはリリー、ジェレマイア、エドモンド、セイディ
 
山岳兵団からはバーニス、ウォーレス、バーニー、バルナバ
 
 
魔銃師会からはリンゴ、ティアゴ、X、ルーク
 
農場管理からはガラの姿もあった。
 
 
最初に農場管理官からは、自分たちが戦うわけではないので、投票は棄権する、と宣言が出た。
 
どちらに決まっても、自分たちは全力で支援すると表明した。
 
ヴェルンヘル陛下は渋々それを了承した。
 
 
 
 
評議会は、神官の司会進行で進んだが、
 
話はなかなかまとまらなかった。
 
 
騎士隊のリリー隊長は
「討伐派」
 
魔銃師会と山岳兵団は、
「討伐反対派」(様子見、今回見送り)
 
武術職じゃない農場管理官は、居心地悪そうに見守っていた。
 
各個人としての投票先はこうだ。
 
 
討伐派は
 
リリー、エドモンド、セイディ、バルナバ、ウォーレス、
 
討伐反対派は
 
ジェレマイア、バーニス、バーニー、リンゴ、ティアゴ、
 
 
棄権
農場管理官、X、ルーク
 
 
投票済みだけでいうと同票だった。
 
 
討伐派は一歩も引かなかった。
 
討伐派には龍騎士の称号を持ち、絶大な発言力を誇るリリー隊長に、兵団長を退き、兵団顧問となった龍騎士の称号を持つバルナバ。二人の発言力は他の人を圧倒していた。
 
image
 
 (画像は若い時のものです)
 
このままだといつか国に入られて大きな被害がでる。その前に作戦を練って叩くべきだ!とバルナバとリリーは主張した。
 
リリー
「入りこんでからでは遅いんです!一刻も早く、打開策を講じないと!」
 
ティアゴ
「その策はあるんですか?昨日皆さんもみましたよね?我々魔銃師会の一斉攻撃を受けて、奴は一瞬怯んだだけでした。ほとんどダメージを与えられなかったんです。そんな化け物相手に打開策があるなら、今すぐここで提案していただきたい!」
 
エドモンド
「魔銃師会が弱いんじゃないんですか..」
 
X「なんですって?あなたティアゴに負けたくせに」
 
セイディ
「試合のことを持ち出すなんて、Xさん性格悪いです..」

X「あら、事実を言ったまでよ」

論点がズレてへんな喧嘩になりそうなので、バルナバが一度咳払いした。

バルナバ
「__それで静観して、いざ国に侵入されたら?その時には考える暇もなく、我々は全滅してしまいます」
 
ティアゴ
「そうはいっても、闇雲に挑んでも噛み殺されるだけです」
 
リリー
「このまま嵐が、過ぎ去るのをじっと待っているの?この嵐が過ぎ去る確証は?過ぎ去らず、全てを破壊するかもしれません」
 
バーニス
「打開策がないのに、どうやって戦うんですか?」
 
セイディ
「山岳兵団長ともあろう方が、随分と腰抜けなんですね」
 
バーニー
「兵団長を悪く言わないでいただきたい」
 
ティアゴ
「腰抜けとかそういうことではなく、現実的に討伐が困難を極めるということを言っているんです。セイディさんは、仲間を犬死させるつもりなんですか?」
 
すぐさまバーニスとバーニーにティアゴが加勢する。
 
リリー
「リンゴが使った手榴弾は?それなりに効果あったでしょ?」
 
ヴェルンヘル
「昨日の戦闘で、ほぼ在庫が底をついた..カイロスやほかのルートで追加発注しているが、NO354の影響で、手榴弾の入手が大変難しくなっている。医療品についても同じこと..これ以上輸出しないよう国内に制限をかけた」
 
バルナバ
「鉱石で似たようなものをとりあえず作っておきましょうか。討伐になってもしなくても、万が一に備えて」
 
ティアゴ
「お願いします」
 
ジェレマイア
「手榴弾はその場凌ぎにしかならないようだった。もし入手できたとしても、あの魔物をどうにかできるものではない。しかも、あの魔物は瘴気を吐いて獲物を弱らせて食べる…
接近されたら俺たちに勝ち目はない」
 
リリー
「そんな恐ろしい化け物みたいな奴が、国外にいる今、国内に入り込む前に討伐するべきなんです。皆さん、犠牲なしで討伐しようと思ってるんですか?そんな事言ってたら、この国の人たちみんな喰い殺されてしまいますよ!?」
 
ジェレマイア
「武術職全員、束になったら勝てるとでも思ってるんですか?瞬時に距離を詰められて、あっという間に全滅するだけです!」
 
リリーとジェレマイアは評議会場でにらみ合っていた。
 
普段は仲良しだが、この件に関しては両者一歩も引かなかった。
 

普段仲睦まじい両親が、評議会場で睨み合っている__

リンゴは複雑な気持ちになった。

あの魔物は、仲間の絆すら切り裂こうとしているのだろうか..


 
こんな押し問答がえいえんと続いた。
 
ヴェルンヘルは困惑した面持ちで、
 
「今日のところは、各組織長の意見を聞いてまた後日にしよう。まずは農場管理官」
 
ミリー
「どちらになっても我々は全力で支援するのみです」
 
騎士隊、リリー
「意見は変わりません。討伐するべきだと思います」
 
山岳兵団バーニス
「討伐反対派です。勝ち目のない戦いをして、仲間を危険にさらせません」

バーニスも負けじと投票先を発言しつつ自分の意見をのせて発言した。
 
沈黙を貫いていた魔銃師会、リンゴ
「__討伐反対派です。私たちは、圧倒的な力の前では、無力です」
  

リリー
「それが龍騎士のセリフなの?!」
 
静かながら怒りを含んだ声がした、

 
神官「り、リリー隊長!」
 
狼狽する神官。リンゴは横目で、静かにリリーを見据えた。
 
リリー
「どうせ、ティアゴ君に説得されて反対派なんでしょう?!この国を守る龍騎士が、王妃が、たいして戦ってもいないのに最初から勝てないって諦めるの?!」
 
リンゴ「・・・」

 
リリー
「言い返せないの?今の龍騎士は、バグウェルにしか勝てないわけ?」

 
ティアゴ(リリーさん、リンゴを挑発してる..!)
 
ティアゴが口を開こうとした時、リンゴがリリーを見据えた。
 
「私は、龍騎士で王妃で、魔銃師会の導師です。だから、みんなを死なせる選択肢を提示するわけにはいきません!」
 
リリーはリンゴを睨んだ。
 
リリー
「最初から、勝つ気なんてないくせに」
 
リンゴ
「昨日、たくさんの人が血まみれで倒れていました..
霧の中から血の匂いがして、あまりにも酷い光景が広がっていました。私は、誰一人助けることはできませんでした」
 
リンゴは拳をぎゅっと握りしめた。
 
リンゴの気持ちは、本当はリリーと同じ。だけど、このまま討伐に動いても勝ち目がないことはあの魔物と対峙したリンゴ自身、よく分かっていた。
 
「私は、エルネア王国の人たちに、同じ思いをさせたくはありません。龍騎士の為すべきことは、力を振るう事だけではないと思います」
 
真摯に向けられるリンゴの眼差しにリリーは押し黙った。その様子を見て、バルナバも諦めたような顔をした。
 
 
神官
「では...討伐派1.反対派2で今回は終わりたいと思います」
 
ヴェルンヘル
「今後も、監視を続け、些細なことでもなにか気づいたらすぐに報告をするように。
忙しい中、方々ご苦労であった」
 
 
 
 
評議会は終了する。
 
バーニスとティアゴが何か話しているのをみて、
 
リンゴ
(どーせバーニスちゃんの足をみてるんだろーなー)
と冷めた目でみて、評議会場を後にした。さすがにあんなやりとりのあとに軽口を叩くことは出来ない。
 
 
評議会場の外で、リリーとXは、話をしていた。
 
X「様子見が懸命じゃない?戦っても勝ち目があるかどうか。リンゴちゃんが手榴弾使ったのみたでしょ?あれだけ食らってもあの魔物、身軽に動いてたわ」
 
リリー
「何か手はないかしら...なにかのはずみであれが国内に入ったらと思うと..」
 
万が一を考えて、リリーは難しそうな顔をして考え込んだ。積極的に討伐しないとなっても、国内に入り込まれた時のことを考えて対抗手段を講じたい。
 
話していると、ティアゴが評議会場から出てきたのでXが声をかけた。
 
X
「ねえ、悪いけど、ちょっと調べたいことがあるの。見張り、わたしと代ってもらえない?」
 
ティアゴ
「分かりました。夕刻からでしたっけ、Xさんの番」
 
X
「そうよ。私の場所は見張り台ね。・・ねえ、この前酔っ払ってリンゴちゃんに言ったこと覚えてる?」
 
ティアゴ
「・・リンゴがバグウェルに勝った日ですか?あの日のことはあんまり覚えてないんです」
 
 
X
「魔銃師会から龍騎士が出て、祝い酒で酔うのは仕方ないけどね、主役をいじめたらダメじゃない」
 
ティアゴ
「は?いじめる?」
 
X
「あなた、リンゴちゃんに何かをリンゴには関係ないだろ、って冷たく言ってたわよ。リンゴちゃん、どんな顔してたか覚えてないでしょ?せっかく龍騎士になったっていうのに泣きそうにな顔してかわいそうだった...ティアゴ、あなた何やってんのよ」
 
ティアゴ
「・・・言われてみればそんなこと言った気が..」
 
 
Xはため息をつくと、ティアゴの肩にポンと手を置いて耳元で
「見張り台、評議会で交代した関係で、リンゴちゃんも夕方からいるから謝ってきなさい」
 
 
 ティアゴ
「__ありがとうございます..」

Xにはかなわないなとティアゴは見張り台に向かって歩き出した。