人物紹介
赤い服から。
ティアゴ・バーナード。リリー、リンゴの仲良し。魔銃師協会二年目で導師になる見かけによらず実力者。
一匹狼の性格で、そんなに人と関わらない。今回は誰かからうつったらしい毒舌が発揮されるとかしないとか。
X。
名前は出せないからX。友人のパスワードきゃら。いつの間にか重要人物に。こいつは色々ややこしい。(説明になってない..)
簡単にいうと、曲者。
リンゴは1人であてもなくトボトボと歩いていた。
そして道ゆく人たちの話が聞こえてくる。
朝から、ジェレマイアの謹慎とリリーのダンジョン探索命令の話ばかりだった。
国民
「聞いたか?
さっき、ガルフィン魔銃師協会の導師たちが、エルネア城にわざわざやってきてさ」
国民
「それで?」
国民
「ジェレマイアさんの見張りしている山岳兵団に言うわけだよ..
ヴォルゴの森は、エルネア城にあるのだから騎士隊の管轄だ。それを管理しきれず、魔獣の個体数が増えたのなら、隊長が責任とって落ち着くまでダンジョンに籠るのは当然だ!
その決定に文句を言うのは言語道断、
陛下にたてついたなら、謹慎処分にくらいなって当然むしろそれくらいですんで良かったですね、った」
国民
「えー
魔銃師協会の導師ってあの人でしょ?一番若いあの、、あの子がそんなこと言うの?Xさんじゃなくて?」
国民
「Xさんも畳みかけるようなこと言ってたらしいけど
時代遅れの考え方をしているから、陛下のご判断を理解できない時代錯誤な連中だとか」
国民
「こわっ
信じられない」
リンゴは真っ青になった
アゴ君とXさん、、
自ら悪者役に、、、
魔銃導師ティアゴ・バーナードと、導師を何度も経験している魔銃師会の重鎮であるXが、エルネア城の前で口論をしていたバルナバたちの前までやってきた。
酒場で会う陽気な彼らとは違い、ティアゴたちの様子はなにかの決意を固めたような目をしていた。
X
「全く、一体どうなってるのかしら。リリー隊長への命令を不服だなんて。」
ティアゴ
「ヴォルゴの森で何かあったなら、隊長が対処にあたれという命令はごく自然だというのに。ヴォルゴの森の魔獣個体数が増えたのは騎士隊の怠慢ですよね」
アリス「怠慢って..」
アリスはヒヤヒヤした。アリスの隣にいるバルナバ反応が怖い。
ティアゴ
「ヴォルゴの森は騎士隊の管轄。それを管理しきれず個体数が増えたのなら隊長が落ち着くまでダンジョンに籠るのは当然なんですよ。その命令に立てついたなら謹慎処分くらって当然です。むしろそのくらいですんで良かったじゃないですか」
バルナバ
「ーー導師。そんな言い方はよくないと思います」
X「まあ、山岳兵団は時代遅れの考え方をしているから、陛下のご判断を理解でない時代錯誤の集まりなんでしょうね」
バルナバ「Xさん..?!」
(な、なんでこの二人は明らかに喧嘩をふっかけてくるんだ?!立場が分かってるのか?
現導師のティアゴ君と導師経験者で長年魔銃師会にいる重鎮であるXさん、この二人でこんなこと言ってきたらマズイことになるぞ..)
ティアゴ
「リリー隊長は最近、探索ポイント減ってますよね。バルナバ団長、あなたとよく釣りをしていますし」
バルナバ「そ、それは..」
(誘う俺が悪いのか..?リリーちゃんごめん..)
ティアゴ
「そのしわ寄せがきただけじゃないんですか?騎士隊はトーナメントで勝てばいいからって少しサボりすぎたんだと思いますよ」
それを聞いていたバーニスは怒り心頭だった。
バーニス
「導師!!
アゴ君って言ったっけ?!なんなのその物言いは!!あなた、あれだけリリーの世話になっておいて!!」
ティアゴ
「ミラー隊長。
私の名前はティアゴ・バーナード。年下にからかわれ言われるのはまあ、いいとしましょう。しかしミラー隊長は、私と同世代のはず。山岳兵団というのは、人の名前もまともに言えないような知能しか持ち合わせてないのですか?」
バルナバたちはティアゴの返しに驚いていた。
ついこの前まで一緒に飲んでいた仲だ。
バーニスはあんぐり口を開けてティアゴを見つめた。
本当にあのティアゴなのか?
バーニスの前に、バーニーが立った。ティアゴと向かい合って睨み合っている。
バーニー
「ティアゴ君、、ちょっと言い過ぎじゃないかな?」
ティアゴ
「すみません。そちらもミラー隊長にまず人の呼び方からコルテス隊長から教えてあげて下さい。仮にも魔銃師協会導師にたいして、無礼だとおもうのですが。」
ティアゴはにっこりと笑った。
バーニーの威圧に一歩たりとも怯まない。
X(さっき、山岳兵怖いった言ってた奴が一番挑発してる..)
バーニー
「..分かりました..」
バーニーは口調をかえた。
バーニー
「バーニスにはよく言っておきます。ですが先ほどの、ヴォルゴの森の騎士隊隊長の責任については撤回していただきたい!リリー隊長1人で、どうにか出来る案件でないと思います。」
ティアゴ
「、、撤回?なぜですか?
遺跡の責任が我々にあるように、ドルム山の坑道の責任は山岳兵団にあるようにヴォルゴの森や北の森は騎士団の責任、管理下にあります。
なにかあった場合、騎士隊隊長の責任となり、対処するのも隊長..なにか間違ってますか?」
それを聞いていたエドモンドがティアゴの胸ぐらを掴んだ。
エドモンド
「お前!リリーさんにダンジョン連れていってもらったくせに!俺と一緒だったろ!忘れたとは言わせないぞ!この恩知らずが!!」
エドモンドとティアゴは、リリーに連れられて一緒にダンジョンを探索したことがある。
バーニー
「え、エドモンドさん!」
バルナバ
「落ち着いて!エドモンドさん!!」
バルナバがエドモンドを後ろから羽交い締めにして、二人を引き離した。ティアゴはエドモンドに掴まれて乱れた服を直しながら、
ティアゴ
「なんて粗暴な。..これだから、騎士隊は時代遅れなんですよ..」
この一言に、周りで聞いていた騎士隊の隊員たちが動き出した。
エルネア城前は大騒ぎになった。
ティアゴの口撃は止まらない。
ティアゴ
「騎士隊の人のダンジョンポイントっていつも低いですよね。我が魔銃師協会をみてください。いつも二万ポイント超える人が何人いると?騎士隊はなんなんですか?リリー隊長とジェレマイアさん、エドモンドさん以外一万ポイント以下。そんなんだから、魔獣が増えるんですよ」
ティム「エルネア杯、魔銃師協会は、全員一回戦敗退のくせに」
魔銃師たちの痛いところをティムがついた。ムッとしたXがそれに反論する。
X「バーニー隊長と対戦予定だった亡きジャネットさんは、前回エルネア杯でボイド家に勝ってるわよ。ね、顧問のドナートさん」
今はすでに顧問となってきるドナート・ボイドに言う。
ドナート「え?そ、そうでしたね。ジャネットさんは強かったなぁ」
ドナートは四年前を思い出し、懐かしそうに答えた。
この状況で魔銃師を褒めたので山岳兵は顧問のドナートに冷たい視線を向けた。
ティアゴ
「前回のエルネア杯で決勝に上がったのは、リリー隊長とXさんですよ。山岳兵団だって、たいした結果じゃなかったように思えるのですが」
イラっとした山岳兵の一人が言い返す。
「今回リリー隊長は団長に負けましたよね。龍騎士のくせに。リリー隊長が有利だというのに負けるなんて。ダンジョンから出てこないのは本当は恥ずかしくて人前に出れないんじゃない?」
矛先がなぜか騎士隊に向かう。騎士隊の人たちの目つきが変わった。険悪な雰囲気がさらに険悪になる。この場にジェレマイアがいたら彼の命は風前の灯だったかもしれない。
エドモンド
「なんだとお前もう一回言ってみろ!!」
エドモンドがが激昂した。セイディやローレン、サクラたちが必死にエドモンドを抑えつける。
バルナバ
「おい、口を慎め!」
バルナバは山岳兵を睨みつけた。
「俺たちは鍛錬をして真剣にあの場所に立っているんだ。どんな結果であろうとそれを侮辱するのは例え身内でも許さない」
山岳兵
「す、すみません」
バルナバの目が怒っていたので山岳兵はそれ以上何も言えなかった。
バーニス
「陛下の肩もったりリリーの肩もったり、団長はなんなの?!」
バルナバ
「その話はいま置いておいてくれる?」
(さっきの話に戻りそう..この大人数の前でスケベ団長とかやめてほしい)
ティアゴ
「ミラー隊長。感情だけで発言するのは控えたほうがよろしいかと。」
バーニス
「どーういうことですか?」
喧嘩腰でバーニスは聞いた。
ティアゴ
「冷静になって考えて下さい。ミラー隊長はリリー隊長の親友の間柄。その立場を取って考えましょう。ヴォルゴの森は、誰でも立ち入ることができるほど甘い所ではありません。ダンジョンの特性上、一人でいくしかない。そうなれば、しばらく試合のないリリー隊長に白旗の矢がたつのは当然。その指示をしたエティ女王陛下がリリー隊長をダンジョンに監禁したなど、山岳兵団の隊長の一人の発言として適切なのでしょうか?」
ティアゴの言ってることは一理あるように思えた。
バーニス
「なんでそれで指示があるまで出ちゃいけないの!
それがおかしいって言うのはおかしいの?!」
ティアゴ
「陛下には陛下なりのお考えがおありなのでしょう。それこそ、感情で物を言うミラー隊長には思いつかないことでしょう」
バーニス
「!!!」
バーニーがハッとして止めようとしたが間に合わなかった。
言い合いをしていたバーニスが、ティアゴを平手打ちをした。
バーニスは目に涙をためてティアゴをにらんだ。
ティアゴはそれを無表情で横目で受け流していた。
バルナバがバーニスの腕を掴んで制止する。
騎士隊のサクラが焦った声をだした。
「手をだすのはマズイって」
X
「あらあら、
導師に手を出されちゃ、我ら魔銃師協会としても黙ってられないわねー?」
Xの声に穏やかさがなくなった。
カリナ「導師!大丈夫ですか?!暴力を振るうなんて..」(導師は弱いのよ!)
駆け寄ってきた魔銃師カリナ・ウルジーが山岳兵団を睨みつけた。
アルディス「口で勝てないから暴力なわけ?ミラー隊長?」(うちの可愛い導師に..)
魔銃師のアルディスが厳しい声で咎めるようにバーニスを見る。
X「山岳兵団は、山にいるだけあって野蛮ねー。口で勝てなければ暴力なのね。時代遅れ、時代錯誤なこと」
セイディ
「Xさん、言い過ぎだと思います」
騎士隊のセイディはマズイ方向に向かっていこうとしているので焦った。
X
「手を出してきたのは向こうでしょ。」
Xは涼しい顔をして意に介さぬようだった。
X
「別にいいんですよ、ここで、また勝負しても。導師殴られて黙って引き下がれないわ」
セイディ
「Xさん、落ち着いて下さい..」
一回戦で敗れているとはいえ、Xの実力は確かなもの。公式戦でないなら、Xは銃など使わなくてもいい。つまり、山岳兵団に有利な剣を使ったっていいのだ。
騒ぎを聞きつけた魔銃師協会の人たちが合流してくる。
エルネア城の前で武術職のほとんどが集まり、険悪な状態になった。
バルナバ
「申し訳ありません」
バルナバは頭を下げた。
ティム
「なんで父..団長が謝るんだよ!」
バルナバ
「山岳兵団の団長は俺だ。バーニスの失態は、俺の失態だ。」
バーニス
「バルナバ..」
エティ
「そこまで」
騒ぎが収まらないので、エティ女王陛下が痺れを切らして城から出てきた。
エドモンド
「陛下!」
エティ
「エルネア城の前でこのような騒ぎを起こすとは、何を考えている」
エティは冷たい眼差しを一同に向けた。普段穏やかでフレンドリーな女王陛下の冷たい眼差しに皆の顔色が変わった。
『申し訳ありません』
一同が謝罪する。
エティ
「バーニス・ミラー
そなたを謹慎処分とする」
バーニー
「そんな!!」
メーベル
「陛下!!!」
エティ
「と言いたいところだが、ガルフィン魔銃師会、そなたたちも少し言葉が過ぎるところがあるように思える。
バーニス・ミラーは不問とする。しかし、今回限りとする」
エティ女王陛下はマントを翻して城の中に入っていった。
女王が去っていき、静まり返る。
サクラ
「ーーー解散しましょう。このままいたらまた争いになる。」
リリー、ジェレマイア、2人がここにいない今騎士隊の副隊長であるサクラが騎士隊の責任者だ。
サクラ
「騎士隊、職務に戻りましょう。
ではお騒がせしました。」
サクラは山岳兵団と魔銃師協会の人たちにぺこりと頭を下げて、不満げなエドモンドたちを連れてエルネア城から離れていった。
依然、山岳兵団と魔銃師協会の連中は睨みあっている。
バルナバ
「もう終わりだ、次は謹慎になるぞ」
バルナバがバーニスの肩に手を置いた。バーニスは口を尖らせながらも
バーニス
「はい、団長」
と頷いた。
ティアゴ
「..ミラー隊長、バルナバ団長、山岳兵団の皆さん言い過ぎました。すみません」
ティアゴは頭を下げた。バルナバに頭を下げさせたのだからティアゴも頭をさげる。
バルナバ
「バーニスが手を出してしまい、申し訳ありませんでした」
バルナバも再び頭を下げる。
トップ2人が頭を下げるので、山岳兵と魔銃師たちは何も言えなくなった。
騒動はここで終わりとなった。
帰り道。
X
「ティアゴ、、あなた、、あそこまで言わなくても」
ティアゴ
「口が勝手に動いたんですよ」
X
「どうしたらあんな言葉が出てくるの」
ティアゴ
「誰かさんの毒舌が移ったんですかね、、
これでしばらくは酒場で飲めませんね、怖くて」
酒場にはよく山岳兵団も出入りしている。
X
「夜道も気をつけた方がいいわよ」
ティアゴ
「ですね、、」
X
「騎士隊はともかく、山岳兵は結婚前の若いのが沢山いるから血気盛んな彼らが何をするか」
ティアゴ
「夜道も1人じゃ歩けないなー。」
そこに一連の騒動を見ていたリンゴが心配そうにやってきた。
リンゴ
「アゴ君大丈夫??」
ティアゴの頰は、バーニスの平手打ちですこし腫れていた。
ティアゴ
「あー、、あの子の平手打ちは効いたなぁ。山岳兵は平手打ちで人を殺せそう」
ティアゴは明るく言った。
リンゴ
「ごめんね、私たちのせいで」
X
「なにを言ってるの、リンゴちゃんたちのせいじゃないわよ。これは、ティアゴが言い過ぎたから。」
ティアゴ
「手を出した方が負けなんだよ。この一発で形勢は逆転した」
ティアゴはニヤリと笑った。
リンゴ
「アゴ君なんか怖いよ、、」
(バーニスちゃんばかり口撃すると思ったら一番感情的になってるバーニスちゃんを狙った?殴らせるために?)
ティアゴ
「俺よりも怖い奴らは沢山いる。リンゴは何も気にしないくていいから」
リンゴ
「これで酒場、行きにくくなっちゃったんじゃない?よく出入りするバーニーさんやバーニスちゃんとあんなことになって」
ティアゴ
「俺がそんなことで酒場行きにくいなんて思うわけないでしょ。さ、早くここから離れよう」
ティアゴはリンゴの頭をポンポン叩き、歩き出した。
X
(さっきしばらく酒場に行けないってぼやいてたの誰だっけ)
リリーの容体はよくなっていなかった。
衰弱していくリリーにXは、そろそろ関係者の誰かに話すべきだと思った。
Xの自宅でティアゴとリンゴは話をしていた。
X
「親族の中で、口がかたいリリーの血縁者は誰?」
リンゴ
「、、、ユズとルークかな。
お母さんの妹と弟、私のおばさん、おじさんです。」
ティアゴ
「山岳兵団、コルテス家に嫁いだユズ・コルテス
国民のルーク・フォード、、」
(おじさんたち呼び捨てかい..)
Xはユズとルークのプロフィールを見比べていた。
X
「、、年長者を選びましょう、、
ティアゴ、ユズさんに接触を。」
ティアゴ
「了解。」
ティアゴはドルム山に転移魔法で向かった。
X
「リンゴちゃん。リリーの容体を、今からユズさんに伝える。」
リンゴ
「!!!」
X
「リリーはとても今危ない、、いつなにがあるか分からない...
エルネア杯が終わったら
ジェレマイアさんにも伝えてリリーに面会してもらう。」
リンゴ
「はい」
X
「でも、このこと、バルナバには隠し通すのよ」
リンゴ
「バルナバさんもとても心配してると思んですけど」
X
「リリーにトドメを刺したのは間違いなく、バルナバの一撃よ。試合だし、バルナバはなにも悪くない。でもね、伝えれば、自分がトドメを刺したと思うでしょう。
もしバルナバがエルネア杯優勝して、龍騎士になったら、どういうことになるかわかる?
このままもし、リリーになにかあれば
龍騎士が龍騎士を殺した、ということになるの」
リンゴ
「!!!」
X
「リリーはきっと大丈夫よ、、でも、そこまで予見して今は動かなきゃならない」
ドルム山に入ると、山岳兵団の鋭い視線がティアゴに突き刺さった。
Xさん、人選間違えてますよ、、
ティム「ガルフィン魔銃師協会の導師様がこんなところに何の用ですかー?」
まったく歓迎されていない。
ティアゴ「散歩ですよ」
ティム「ーー散歩、ねぇ」
ティムの怪しむ視線を感じながらティアゴはユズを導きの蝶を使って会いにいった。
ユズは自宅にいた。
幸いなことに、バーニーは出かけていていなかった。
突然自宅にやってきた導師に、ユズは驚きを隠せなかった。
ティアゴ「こんにちは」
ユズ「こんにちは..バーニーなら出かけておりますが」
ティアゴ「いえ、ユズさんに用がありまして」
ユズ「私ですか?」
ティアゴ「人に聞かれたらマズイので単刀直入に言います。リリーさんのことです。」
ユズ「姉さん?姉さん、ダンジョンから帰ってきました?」
ティアゴ「リリーさんは、ダンジョンには行っていません」
ユズ「どういうことでしょう?」
ティアゴ「もう二年近く前のことになりますか、あの歪みからの襲撃でリリーさんたち突入部隊が歪みに入った時のことです」
ユズ「はい」
ティアゴ「リリーさんたち騎士隊は、大量の瘴気を浴びてしまいました。リリーさんはその後薬の服用でなんとか耐えてきましたが、今危険な状況にあります」
ユズ「,.....ドルム山道で具合悪そうにしてたって噂で聞いたけど、本当だったの..」
ティアゴ
「リリーさんに効く薬が今はありません」
ユズ
「うそでしょ?」
ユズは愕然として椅子に座った。
ティアゴ
「今時間ありますか?
リリーさんの居場所を絶対に口外しないと約束して下さい。リリーさんの所に案内します」
ユズ
「ーーーー!」
ユズはテーブルをしばらく見ていた。
極秘で会いにいくという意味。
ユズ
「ーーーー私は....行きません」
ティアゴ
「..........」
ユズ
「普段私から会いに行くことはあんまりないんです。姉さんは仕事に探索に忙しいし、私もダンジョンに入ってることが多いですから、、
そんな私が会いにいけば、姉さんは自分が死ぬんだと思っしまいます。
僅かな生きる気力も、私が奪ってしまうかもしれません。
だから、会いにいきません!!」
ユズはポロポロ涙を流して拳をぎゅっと握りしめた。
ティアゴ
「そうですか...分かりました。」
コルテス家から出ようとしたところ、バーニーと鉢合わせする。その後ろにはバルナバもいた。
ティアゴ
(この状況、マズイな)
ティアゴは内心焦った。バーニーはティアゴの姿に驚き、気まずそうだった。
バーニー
「こ、こんにちは
うちに何か用?」
ティアゴ
「用は済みました。急ぐので、失礼します」
ティアゴが早足で去っていく。家の中ではユズが慌てて手で涙を拭っていた。
バーニー「ーーーー」
バルナバ「バーニー?どした?」
バルナバが家の中を覗いて、察した。
バルナバ(ユズさん泣いてる?ティアゴくんに泣かされたのか?さすがにティアゴくんがユズさんに何か言うとは思えないんだけど..それ以前に2人は知り合いだったのか?)
バーニーが走りだした。バルナバはハッとして後を追った。
バーニーは、ユズが大好きすぎる。そのユズを泣かせたと思えばバーニーの歯止めがきかない。
ドルム山道にさしかかったところでバーニーはティアゴに追いついた。
バーニー
「ティアゴくん!」
呼ばれてティアゴは振り返る。
バーニーの拳がティアゴに向かって放たれる。当たる寸前のところでバルナバがバーニーを羽交い締めにした。
近くで見ていたティムたち山岳兵が唖然としている。
あの温厚なバーニーさんが?
バルナバ
「ティム!バーニーを止めるの手伝え!」
ティム
「は、はい!」
二人掛かりで止めてもバーニーはバタバタ暴れていた。
ティアゴ
(俺そろそろ殺されるんじゃないかな)
バーニー
「ユズになにをしたんだ!」
ティアゴ
「何もしていませんよ..」
ユズ
「バーニー!」
騒ぎに気づいてユズがやってきた。
ユズ
「なんでもないの、ティアゴさんは何も悪くないない、、私が勝手に泣いちゃっただけ。」
バーニー
「何でもなくないよね、あの泣き方..」
ユズ
「ティアゴさんって私のお母さんと仲が良かったの。だから昔話をして、それでお母さんのこと思い出して泣いちゃって。ね、ティアゴさん」
ティアゴ
「そうです」
ユズ
「紛らわしくてごめんね!そーゆーことだからティアゴさんは何も悪くない。」
バーニー
「ーーそうだったの...」
バーニーから全身の力が抜けていったので羽交い締めにしていたバルナバはバーニーを離した。
バーニー
「ーーティアゴ君、すみませんでした」
バーニーはティアゴに謝罪し、頭を下げた。
ティアゴ
「..いえ、なにもされてませんし。
では、失礼します」
X宅に戻ったティアゴ。
X
「で?ユズさんに会えた?」
ティアゴ
「殺されかけました。」
X「?」