
☆気まずい二人
リリーはウィアラさんが作る特別な強い酒を飲んで体調を誤魔化している。
毎晩のようにそれを二杯ほど飲んで帰宅する。
バルナバは酒場にいくことが定番としているのでよく酒場にいく。
二人は必然的に同じ空間にいる時間があるのだが、
まるで空気のようにお互い無言を貫いた。
バーニー(この空気やだな..)
酒場に入ってきたリリーがこちらの方を見てなにかに気がついた。
バルナバの向かい側に座るバーニーになにか耳打ちする。そして、カウンター席に座った。
バルナバ(...なんだろ、今の)
バーニー
「えっと、バルナバさん。ズボンの裾が破けてます..」
バルナバ
「え!」
バーニー
「明日エルネア杯の試合だよね。そのまま出たらマズイんじゃ..」
バルナバ
「探索の時に破けたのかな..
....リリーちゃん、そのこと言ったの?」
バーニー
「え?えっと、いや違うよ」
慌ててグラスを口に運び視線を泳がせた。
バルナバ
「........」
(バーニーウソ下手すぎるだろ。口止めされたんだろうけど意味を成していない..)
バルナバはカウンターに座るリリーの後ろ姿をちらりと見た。
(このまま家にかえって、朝飯たべてすぐ探索にでたらルクレーシャも気づかずそのまま試合になるかもしれない..
それを見越して指摘してくれたんだな..)
バルナバが無言でリリーの方を見ていると、バーニーが小声で話しかけてきた。
バーニー
「なにがあったか知らないけど、
謝ったら?」
バルナバ
「......」
(俺たち、別に喧嘩した訳じゃない..)
バーニー
「男が折れるの、嫌なんだろうけど..」
バルナバ
「うーん..」
バーニー
「俺なんてユズにしょっちゅう謝ってるよ。」
バルナバ
「バーニーのところは、バーニーがユズさんの尻に敷かれてるからな..」
(俺がというより、リリーちゃんが俺を避けている。あの一件で俺に目をつけられてる自覚があって、リリーちゃんに後ろめたいなにかがあるからだ..)