任天堂スイッチ版エルネア王国をもとに書いた物語です。
夜遅く、一発の銃声が鳴り響いた。
夜2刻はまわっている。ダンジョンからではないはずだが..
銃声で目が覚めたバルナバは、灯りを持って家から出た。
冷たい風が吹き付けていた。
銃声は山の下のほうからした気がする。
ドルム山道を降りていくと、灯りに照らされて、なにかが地面に広がっているのが見えた。
バルナバ
「な、なんだ、この血は..」
血が地面に広がっていた。
ドルム山道を冷たい冬の風がふきつける。
辺りは静寂に包まれていた。
魔人との闘いで、倒れた母リリーは、Xの献身的な治療のかいあって、朝になる前に家に戻ることができた。
Xの指示で、ティアゴは現場に向かい証拠隠滅をはかることに。
戦いの痕跡を消す判断をXはしたのです。
しかし
戦いの騒ぎを聞きつけたのか夜が明ける前に、山岳兵団は、戦いのあった現場に集まっていた。
ティアゴ(うわ、あんなに人だかりが..)
山岳兵団の持つライトに照らされる地面に、血痕がうつしだされる。
それはレッドの血なのか、リリーが吐いた血か分からない。
レッドの出血はたいしたことがなかったので大部分はリリーのものだった。
バルナバ
「すぐにリリー隊長にこの状況をお伝えしろ。バーニー、行ってくれ」
バーニー「分かりました」
バーニーはエルネア城に走る。
ティアゴ
(なんだかおおごとになってきたな、、これ、隠し通せるのか?)
真実を隠そうとする、X、ティアゴ、リリー、リンゴと真実を明らかにしようとする山岳兵団たち、エルネア杯を目前に別の戦いがはじまったのです。
リリーが帰る前、Xは言いました
X「レッドの一件、陛下にご報告しなくてはならない事だけど..リリー、あなたの状況はかなり悪い。龍騎士の弱体化は、今のエルネア王国の国防すら低下していると判断される。レッドの背後にいる本国に、知られてはならないことよ」
リリー
「突入の後、私が寝込んだときも噂になって国民を動揺させた..」
ティアゴ
「陛下にもご報告せず、レッドの一件、隠し通すということでいいんですね」
X「そうしましょう。ティアゴが銃で戦ったなら銃声を聞かれてるのかしら..」
ティアゴ
「リンゴちゃんを助ける時に使った一発のみです。あとは剣に切り替えてます。なんとなく、こうなる予感がしたので」
リンゴ(さすがアゴ君、、)
リンゴはティアゴの気転に驚きにやはり策士らしいと恐れた。
X
「あとは..リリーの吐いた血とレッドの血痕が残ってるか....今から川の水で洗い流してくれる?」
ティアゴ「分かりました...間に合えばいいけど」
X「もし間に合わなければ、かなり厳しい追及がくる。ここにいるメンバーは気をつけて。必要以上に話さない。何か聞かれても分からない、知らないで通すこと。ドルム山道を今管理してる山岳兵団の兵団長は、バルナバ。彼は手強いわよ」
親しいからこそ、敵に回ったときの怖さがよく分かる。
ティアゴ
「バルナバさんには事情を話してもいいんじゃないでしょうか?彼はベラベラしゃべる人ではありません」
リリー「だめ、バルナバは」
リリーは厳しい声を出した。
「エルネア杯が控えてる。私とバルナバはおそらく準決勝であたる。バルナバにこの事を気づかれたら、バルナバは存分に力を出せないかもしれない。お互い、負けても勝っても本当に勝ったのか負けたのか分からなくなる」
X「山岳兵団の主要の隊長たちは今回みんなエルネア杯出場するし、騎士隊も同じこと。居合わせたリンゴちゃんを含め、この4人で動きます。事態が収拾するまで、よろしくね」
リンゴ「はい」
ティアゴ「…了解です」
ティアゴは不安げに頷いた。
゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――゜+.――
朝を迎える。
朝になった途端、バーニーが騎士隊長居室に飛び込んできた。
バーニーがリリーとジェレマイアに状況を説明する。
リリーは新年の祝賀行事がこのあとに控えているのでジェレマイアとエスモンドを現場に派遣、残りのメンバーには北の森の巡回を命令した。
リンゴはいつも通り過ごすようにつとめる。

今日は殿下のお誕生日。
おめでとう。
上にはアゴ君のバーナード一家が導師の部屋に引っ越ししたアナウンス。
陛下は慌ただしいバーニーを横目に不思議そう。
バーニーは慌てすぎて陛下に報告するの忘れてるのかな。
新年祝賀。
ママは、薬を多く服用してみんなの前で平静を保っていた。
エルネア杯なので龍騎士の鎧は返納。
今までこのポーズあったっけ?
なんかカッコいい。
ママとバルナバさん、アゴ君のスリーショット!
アゴ君はバルナバさんをみすぎだと思う。
そっちにカンペでもあるの?
ダミアさんもカンペを見てるみたい。
バルナバは祝賀が終わり、ティアゴとリリー、ダミアさんにドルム山道の血の話をした。
ティアゴ
「北の森の魔獣が暴れてモフでも襲ったんじゃないですかね?」
リリー
「念のため、騎士隊で国民の安否確認をします。」
ティアゴ
「魔銃師会は現場で少し調べてみます」
リリーとダミア
「お願いします」
バルナバは一連のやりとりをみて不審に感じた。
二人とも事務的でただ淡々としていた。
(まるで俺が言うのを待っていたような、そんな感じだ..
考えすぎだろうか。)
リンゴはマルセルに挨拶。

ママたちと大事な話をしたあとのバルナバ君にもご挨拶。

リンゴは今日成人する..
なのに全然嬉しくない。
レッドさんのせいだー!!

一緒に仕事や探索するの楽しみにしてるよ、って凄く嬉しい言葉。
こんなバルナバ君を今回騙さなきゃならないなんて良心がいたむなぁ。
でもこれも、エルネア杯をみんなに精一杯戦ってもらうための配慮なの..
ジェラールは成人式を目前に臭くなっていた。
さすがに指摘する。

そろそろ、陛下がくるよ、ファビエンヌさん..
そしていよいよ、成人式

パパがきてくれた!!
ママはXさんのところで寝込んでいるみたい。
Xさんがママの居場所を瘴気の森に設定する装置を使って誤魔化しているらしい。
魔銃師協会はというか、Xさんはおそろしい。
ジェラール君は、臭いから成人式には出ないという策に出たらしい。
お母さん、成人式にいたのにそれでいいのかジェラール..
ファビエンヌさんはギリギリまで椅子に座っていたのに。
成人しました。

髪型をなんとなく変える。
子供から大人になったんだから
髪型が変わったどころじゃない気もするのだが。
アゴ君はいつも言うことが少しズレてると思う。
山岳兵団の動きをチェックするためドルム山に。
アゴ君も山岳兵団の動きをみているらしく、ドルム山にいた。
ティアゴ「リリーさん、少し休んでるみたいだけど、回復したから動けるようになった。もう少しでバルナバ団長に報告がいくはずだ」
リンゴ「バルナバさん、どう?なにか気づいてる様子は?」
ティアゴ「今朝報告された時、俺たちのほうを不思議そうな、なんとも言えない顔でみていたな..もう少しリアクションが必要だったかもしれない」
リンゴ「そっか..」
ティアゴ「あの、レッドとかいう奴、、リンゴちゃんに何を言ったの?」
リンゴ「..え?なにも、言われてないよ」
ティアゴ
「..言われよね、あの時リンゴちゃん怯えきっていたよ」
リンゴ「うーん、覚えてないの。聞こえなかったのかな?ちょっと分からない..」
まるでXのバルナバ対策のようなセリフだった。
恐怖に染まった顔をしていたリンゴ。聞こえなかった、というのはどうにも解せないが、言いたくないのなら追求するのもとティアゴは話をやめた。
夕刻、リリーが山岳兵団の村にやってきてバルナバを訪ねた。バルナバはこの日は探索にいかず自宅で待機していた。
リリー
「騎士隊の安否確認が終わりました。国民の中に怪我人、行方不明者はいなかった」
バルナバ
「そっか..良かった。あの血も魔銃師会はモフか獣の血だろうって言ってた。さっきジェレマイアさんがきて北の森の探索を強化しますって言ってた」
リリー
「私も重点的に探索する。山岳兵団の村の近くまで魔獣がきてしまって申し訳ありません」
バルナバ
「リリーちゃんが謝ることはないよ!本当に北の森の魔獣の仕業か分からないし..」
リリー
「..ありがとう
これから瘴気の森に行くから、またね」
バルナバ
「気をつけて」
リリーが去っていく。
そのリリーの靴に、僅かだが血がついていた。
昨夜
たしかに銃声がした
あれは魔獣の仕業ではない気がする。
バルナバ
「リリーちゃん、昨日の夜ってどこにいたの?」
リリー
「昨日の夜?家にいたよ」
バルナバ
「そっか..」
(リリーちゃんは剣を使うし..
でも銃声は、魔獣にはだせない..
あの銃声は誰だったんだ)
バルナバ
「...リリーちゃん..足元に、血がついてるよ..」
(なんでリリーちゃんに、そんなものがついているんだ。)
リリー
「!!」
リリーがわずかに目を見開いた。
バルナバは確信した。
リリーのこの反応。
(身に覚えがないならどうしてだろうと不思議がってもおかしくない。
心当たりがあるものが残っててそれを指摘されて内心焦っている!)
バルナバ
「...何を隠してるの?」
Xがバルナバは手強いといった意味を痛感する。
長い付き合いのバルナバは、リリーの僅かな反応も見逃さなかった。
リリー
「別に、なにも隠してなんか……」
バルナバ
「ーー何か困ったことになってるの?」
リリー
「私は例の件とは無関係だよ」
バルナバ
「その靴の血は?」
立ち上がりバルナバはリリーの細い腕を掴んだ。振りほどこうにもバルナバの腕力にリリーがかなうはずもない。
ティアゴ
「魔銃師会と現場検証したときに血を踏んでしまったんでしょう」
ティアゴがいつのまにかいた。腕を組みながらジロリとバルナバを見る。
「魔銃導師として、どさくさに紛れて兵団長が女性を組み敷こうとするのを見逃すわけにはいかないのですが…」
バルナバ
「ーーち、違っ…!」
バルナバは少し顔を赤くして、リリーの腕を掴んでいた手をパッと離した。
ティアゴ
「リリーさん、俺と森の探索する約束でしたよね。俺だと瘴気の森はいけませんけど..」
リリー
「そうだったね。ごめん、忘れてた」
ティアゴ
「ひどいなーw」
リリー
「ごめんごめん、じゃあ行こう。今からなら奥まで行けると思うよ」
ティアゴ
「ですね。行きましょう。ではバルナバさん、失礼します」
リリー
「お邪魔しました」
二人が去っていった。
二人がいなくなった室内で、バルナバは険しい顔をしていた。