任天堂スイッチ版エルネア王国をもとにして書いております
平和が戻った王国の夜に、二発の銃声が鳴り響いた。
ダンジョンでもない果樹園で、2人が銃を構えて対峙していた。
Xも、レッドも、互いの攻撃を受けて負傷していた。
レッドは滴る腕の血をぺろりと舐めてにやりと笑った。
「そこまー」
リリーが2人の前に出ようとした時、リリーの身体をおしのけてるように前に出る者がいた。
「そこまでだ」
バーニーはみたこともない鋭い眼光でレッドをにらみつけていた。
「話は聞かせてもらった。お前を捕らえる」
「バーニー、それにリリー」
Xは負傷した腕を抑えて、苦しそうだった。
「これはこれは皆さんお揃いで。龍騎士のリリーさん、お元気そうでなりよりです」
全くそう思っていないだろう言葉をはかれてリリーは男を睨みつけた。
「大人しく降伏しなさい。あなたのしたことはこの国では許されない事です」
「いいね!こういう強気な女性は好きですよ。リリーさん、平気なフリしてるけど、身体きついでしょ!いつ死んでもおかしくないからね!」
レッドはゲラゲラ笑った。
「貴様ぁ!」バーニーが怒りで叫んだ。
普段穏やかな顔をしているバーニーが怒りを露わにする姿は見たことがなかった。
「さて、そろそろこの国から去るとしよう」
レッドが指をパチンと鳴らすと、レッドの頭上の空間がゆらゆらのゆらめいて、魔系や魔人が出てきた。
「また遊びにくるよ。ではまた」
レッドは外套を翻して歪みの中に姿を消した。
歪みは煙のように消えた。
残ったのは、魔獣と魔人だった。
リリーとバーニーはそれぞれの武器を構えた。
リリー「X!下がってて!」
リリーとバーニーが魔獣を斬りつける。
数は少ないが、魔獣はとても強くて、なかなか倒せない。
そこに、すごい速さでこちらに駆けてくる足音が聞こえた。
その主は素早く武器を構え、その勢いのまま魔獣を斬り伏せた。
リリー「バルナバ!」
強力な助っ人の当時にリリーは安堵する。
バルナバ「なんでこんな場所に魔獣どもが?ってXさん、大丈夫?」
視界に入ったXが怪我をしていることに気づきバルナバはXに敵が行かないように立ち位置を考えた。
X「私は平気よ!それより残りの魔人をお願い!」
リリー、バーニー、バルナバの三人でなんとか魔人を倒した。
体力も力もあって、3人はかなり消耗した。
「3人ともありがとう」
Xは礼を言った。
バーニー
「大丈夫ですか?とにかく治療を...魔銃師会にいこう」
バルナバ
「なにがあったか、魔銃師会で教えて」
X「えぇ、分かったわ..」
転移魔法で魔銃師会に向かう。そこには夫のアドレーが魔銃導師なので、Xの自宅もある。
魔銃導師の部屋は、研究に使う本がぎっしりの本棚に並んでいた。
アドレーはバーニーたちに抱えられて戻ってきたXを見て驚いて駆け寄ってきた。
アドレー
「X!大丈夫かい?!なにがあった?」
X「ごめん、ドジった」
まるで転んだというような軽い言い方だった。
Xの怪我の具合を確認するアドレーの顔が険しくなった。
「一体、誰にやられたんだ」
アドレーの言葉に「え?」とバルナバが反応する。
「これは魔獣にやられたものじゃないね。銃で撃たれたものだ」
X「さっすが導師ねー」
Xはため息をついた。
治療を終えて、皆を椅子に座らせるとXは話し始めた。
Xが生まれ育った場所は魔法や魔法兵器があったこと。
Xは両親が王家に使える身で、その流れでX自身は魔法兵器の開発に携わっていたこと。
レッドという男は、その時一緒に開発していたメンバーの1人。
とても頭がよくて切れ者だが、冷徹で目的のためなら手段を選ばない人だった。
あの歪みを発生させる装置は、旅に出る前にXたちのチームが開発した。
まだ未完成だったが、完成したらしい。
Xは、開発の日々に疲れて旅に出てこの国に流れ着き永住を決めた。
「祖国と私たち開発したものでこんな事になってごめんなさい」
Xは頭を下げた。
リリー
「謝らないで。Xはなにも悪くないよ」
バーニー
「そうですよ。全部レッドとかいう男のせいだ」
アドレー
「しかし..事の経緯を陛下にご報告しなければないない。こんな時間だけど行ってくる」
X「私も行く」
アドレー
「そんな怪我してるんだから大人しく待ってて」
X「こんな怪我平気よ。手当してもらったし...リリー?大丈夫?」
Xは様子のおかしいリリーに気づいてそばに行った。
リリー「だ、大丈夫..少し、き..気分が悪いだけ」
リリーは途切れ途切れに言った。かなり苦しそうだった。
バーニー「まさか、瘴気の影響じゃ..」
バルナバ「アドレーさん、Xさん、ベット借ります」
そう言うとバルナバはリリーを抱き抱えて、ベットに寝かせた。
リリーの容体は急激に悪くなった。
アドレー「リリーさん!しっかりして下さい!」
バーニー「ジェレマイアさんや子供たち連れてきたほうがいいんじゃ..?」
バルナバ「...リリーちゃん!頑張って!」
バルナバはリリーの横でひざをついて、目線をリリーと同じにした。
リリーは力無い笑みを浮かべた。
「セイを..産む時も、そうやってそばにいてくれたよね..」
その時Xが調薬室から戻ってきた。手には小瓶が握られている。
「これを飲んで。瘴気を中和する薬草を調合したものよ」
リリー「......不味そう..」
X「こんな時にそんな事言わないで黙って飲む!」
バルナバはリリーが薬を飲みやすいようにベットから起き上がらせた。
リリーは渡された小瓶を一気に飲み干した。
「やっぱり美味しくない..」
X「しばらくしたら少しよくなるわ..ただ、濃度の高い瘴気なら、身体から抜けるにはかなりの時間がかかる..定期的に今の薬を調合して渡すから」
リリー「..ありがとう..」
X「リリーは休んでて。陛下のところに報告してくるわ。アドレー、バーニー一緒にきて。バルナバはリリーをお願いね」
バーニー「え?俺も?」
X「レッドを見たのが私とリリーとバーニーだから、リリーがこれないんじゃ、あとあなたしかいないでしょう」
バーニー「分かりました..」
アドレー「バルナバさん、リリーさんのこと頼みますね」
バルナバ「分かりました」
Xたちは転移魔法でエルネア城に向かった。
あとがき
❽で終わりの予定でしたが文字数制限が入ってしまったのでぶった切りました。
➒で終わりの予定です。