
人の優しさにふれると
心はどんどん
温かくなる
優しい心があふれると
涙の色が変わります
空気の色が変わります
心の色も変わります
うりゅ坊
住み慣れない街
不安だらけの暮らし
心のささえは
あなただけなのに
ささいなことで
けんかした
怒りに任せて
街にとびだす
まちぶせしていたような
ちんちん電車に
飛び乗った
ガタゴト
ガタゴト
ちんちんちん…
上にも下にも人だらけ
涙でにじんだその街は
人混みばかりが
過ぎてゆく
とつぜん
はっとする
言葉は通じない
乗ったはいいが
降り方がわからない
様子を見る
みんな小さな小銭を
箱に入れている
小銭がない
大きな紙のお札が
一枚だけ
おつりをください
が
言えない
どうしよう…
どうしよう…
わけがわからなくなって
涙がこぼれそうになる
運転手さんは
しきりに何か言っている
身ぶり手振りから
どうやら
おつりは出ないらしい
どうしたものか
とほほのほ…
仕方がない
と
あきらめたとき
ひとりの青年が
さらりと
わたしの分も
払ってくれた
そんなことって
そんなことって
あるんだね
『ありがとう』
電車を降りて
お礼を言う
どん底のわたしを
救ってくれた誰かさん
なんでもないことのように
行ってしまった誰かさん
助けてくれて
ありがとう
優しさを
分けてくれて
ありがとう
不安だらけのこの街に
涙でにじんだこの街に
優しさ色の
虹がかかった瞬間のお話
いまでも
忘れられない
優しさ色の記憶
ほんとうにつらい時
心を救ってくれるのは
ひとの優しさ
あたたかさ
だったりする。
もう20年以上もむかしの話
その経験が
今でも
わたしの心を温めています。
2021年4月14日掲載したものに追記しました。
うりゅ坊
感謝
ありがとう