よじ登るのに一生懸命。

ふぅ。やっと一息。
コンクリートだらけで何にもないよ。

羽化した直後は緑色の羽がもう立派に大人の色。
数日前にも夜中に寝室に舞い込んできて、チーチーが格闘して、ひどいことに新聞でしばいた後、ベランダでひっくり返っていた。
こわくて泣きながら(虫がこわいの)、かわいそうだからチラシの先で何度もツンツンして、やっと起き上がると飛んでった。
あの時の蝉がまた来たのだろうか。
今日はガラス越しだから、ちょっと冷静。
蝉は本当に不思議な生き物で、空蝉(抜け殻)だけでなく、生体もスカスカ。
脳みそだとか、魂はどこに入っているのか。
そう尋ねたことがある。
節々は硬く、ロボットのようでもある。
本当は誰かがどこかでリモコン操ってんじゃないの?
父は私を怖がらせる為に、
”蝉は天ぷらにするとカリカリしておいしいぞ♪そのまま食べてもおいしいんだけどな。”とかいってた。
蝉の天ぷら定食を想像して鳥肌がたった。
学校で友達に蝉の天ぷらは本当においしいの?と聞いて笑われた。
こんな都会でも朝はクマゼミが泣き、昼からはアブラ蝉が泣く。
アブラゼミは”日暮らし”とも呼んでいたけど、あれは方言なのかなぁ。
朝のJRの駅は木々にビッシリとまったクマゼミで私の恐怖スポットと化している。