「ラプンツェルよ、お前の髪を垂らしておくれ」—— 無聊(ぶりょう)の日々になぐさみの?食卓 | COCOのおいしい話

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Dinner with "Rapunzel"*

 

またまた、長らく間が空いてしまいましたが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか?

 

日本では感染の波は収まらないまでも、お店やレストラン等も通常営業となり、ほぼ従来の生活に戻ったような、そんな印象を受けます。

 

(…と書いていたら、安倍首相辞任のニュースが!あららあせる

 

こちらカリフォルニアは…6月にレストランの店内飲食やジム、理美容室などのサービスが一旦解禁になったものの、感染が拡大して先月再び停止に。

 

現在レストランでは屋外での飲食のみが許可されていますが、ここロサンジェルス郊外のシャーマンオークスでは、最近は連日35℃前後の暑さ…なので、夫銀之丞と私は、外食はデリバリーのみを利用しています。

 

先週、私のサングラスが壊れてしまったので(度入りで車の運転時には必須)新しいのを作りに、近所のモールまで行って来ました。

 

モール自体は閉まっていましたが、その眼鏡屋さんと、百貨店(Bloomingdale's)だけが開いていて。

 

ガランとした薄暗いモールが何だか映画のワンシーンのようで、現実味がなく思えました。

 

こんな状態がいつまで続くのか…アメリカはまだまだ、先が見えません。

 

そんなわけで、週末に近所のスーパーに出掛ける以外は、依然殆どおこもり状態の生活が続いている私たちですが、そんな中見つけた小さな楽しみの一つが…。


 

*Rapunzel (Corn Salad, Lamb’s Lettuce, or Mache)

 

室内家庭菜園です。

 

この野菜がね、「ラプンツェル」なんです。

 

「ラプンツェル」または「ラプンゼル」。

 

ご存知でしょうか?

 

長〜い髪のお姫様が出て来る、グリム童話です。

 

(ディズニーでもアニメ化されたようですが、ストーリーは原作とは大分、と言うか全然違うみたい…?)


なぜ野菜の名前が女のコの名前になったかと言いますと…。

 

 

昔々あるところに、ある夫婦者が住んでおりまして、奥さんが子供を身ごもりました。

 

すると、お隣の家の庭にある、青々としたラプンツェル(西洋ちしゃ、レタスの一種)が食べたくて食べたくて仕方がなくなります。

 

「あのラプンツェルが食べられないなら、もう私は死んでしまう!」

 

と妻に泣きつかれた夫は、隣りが恐ろしい魔女の家だと知りながら、仕方なく、こわごわ庭に忍び込み、ラプンツェルを盗んで来ます。

 

妻は喜んでむしゃむしゃと平らげると、

 

「もっと食べたいわ、もっと取って来てちょうだい。」

 

夫がもう一度畑に入ってラプンツェルを摘もうとすると…。

 

「お前だね!?

私の大事なラプンツェルを盗んだのは!?」

 

恐ろしい魔女が目の前に!!

 

「ああ、申し訳ありません。

身重の妻が、どうしてもこのラプンツェルを食べたいと言うので頂いてしまいました。

どうか許して下さい。」

 

「ほう…。

いいだろう、好きなだけラプンツェルを持っておゆき。

その代わり、赤ん坊が生まれたらその子を貰い受けるからね!」

 

夫はその場から逃れたい一心で、

 

「ハイ、子供が生まれたらきっと差し上げます。」

 

と約束してしまいました。

 

やがて月満ちて女の子が生まれると魔女が現れ、

 

「約束通り、赤ん坊はもらって行くよ!

そうだ、この子はラプンツェルと名付けよう。」

 

魔女はラプンツェルを、森の中の、窓が一つあるだけの高い塔に閉じ込めて大切に育てます。

 

「ラプンツェル、お前の髪を垂らしておくれ!」

 

魔女が塔の下で叫ぶと、ラプンツェルは長く編んだ金髪を、窓から下に垂らします。

 

魔女はその髪をロープ代わりに伝って、塔に出入りするのでした。

 

ある日、この塔のそばを、ある国の王子が通りかかりますと…。

 

 

子供の頃、NHKの教育テレビでやっていた「おとぎのへや」と言う人形劇の番組で見たのが最初だったと思います。

 

この時のラプンツェル(のお人形)がかわいくて、三つ編みにした長い金髪(黄色い毛糸でした)がとっても素敵に思えて、私はこのお話が大好きになりました。

 

家にあった黄色い毛糸を切って、長い三つ編みのロープを作って、遊んだ覚えがあります(毛糸だけで何が楽しかったのか?…想像力が豊かだったのかなぁ)。

 

その後、本でも読んだりしたのですが、タイトルの「ラプンツェル姫」、「ラプンゼル」の元となった野菜については、ずっと謎のままでした。

 

私も上の文中で書きましたが、本では「ラプンツェル」のところには必ず、「西洋ちしゃ」とか「レタスの一種」という注釈がついていました。

 

「ちしゃ」と言われてもますます分からなかったけれど、「レタス」ならかろうじて…目にするのも口にするのも普通の「玉レタス」がせいぜいの、昭和の子供でしたけどね。

 

でも、「レタスって、あのサラダに入ってるちょっと苦いレタス? 自分の子供と引き換えにしてまで食べたいほどおいしいレタスなんてあるの?」

 

後に、妊婦にはつわりというものがあり、思いもかけない食べ物に執着することがあるらしい、と知りましたが。

 

ラプンツェルの正体については結局分からずじまい。


今はネットで検索すれば、タチドコロに、写真付きで判明してしまいますけれどね。

 

数年前に読んだ漫画(志村志保子著「女の子の食卓」⑧)の中に出て来て、ラプンツェルは現在は「マーシュ」とか「コーンサラダ」と呼ばれる野菜だと知りました。

 

気にはなったものの、そのままにして早8年。

 

それがこの5月、何故かフイに思い出して、ずっと正体が不明のままだったこの野菜を食べてみようという気になりました。

 

野菜の状態では売っていないので、ネットで見つけた通販で「Corn Salad」の種を買いました。

 

うちの庭でレタスのような野菜を育てようものなら、あっと言う間に青虫(モンシロチョウのベイビー)に丸坊主にされてしまうので(彼らも食糧難なのか、バラの花びらまでかじるヤツもいます)。

 

そういうわけで、室内で、こんな風にして植物用ライトを使って育ててみました。

 

 

*Rapunzel Sprout

 

発芽率がすごく良くて、上の培養土全てに3〜5本の芽が出ました(上の写真は6月24日のものです)。

 

元気のいい一本だけを残して間引く予定だったのですが、夫が「せっかく生えたのに〜」と可哀想がるので^^;、結局全部このまま育てることに。

 

なので、多分標準よりはやや小さめの葉っぱになっちゃったかもしれませんが。


 

ラプンツェルのある食卓その一、8月2日。

 

夫が作ってくれたラムとコーンに、初めて収穫したラプンツェルをシンプルなサラダにしました。

 

 

*Rapunzel Salad with Bean Sprout, Cucumber and Tomato, Grilled Lamb and Boiled Corn

 

わざわざお目にかけるようなメニューではないのですが。

 

しかも肝心なサラダのアップの写真は撮っていなかったという…汗

 

ラプンツェルにきゅうり、トマト、もやしを、マスタードを少しだけ入れたシャンパンビネガーとオリーブオイルのシンプルなドレッシングで。

 

このラプンツェルの葉っぱ、見た目はルッコラに似ていますが、ルッコラよりずっと薄くて柔らかです。

 

でも、シャリっというか、さくさくとした歯ごたえがあって。

 

微かな苦味がありますが、決してエグくなく。

 

「おいしいね!」と思わず夫と顔を見合わせてニッコリ。

 

 

ラプンツェルのある食卓その二、8月5日。

 

 

*Rapunzel Salad with Celery, Cucumber, Cocktail Shrimp & White Peach and Stuffed Cabbage Rolls

 

ラプンツェルを敷いた上に、冷凍のカクテルシュリンプと白桃、きゅうり、セロリをヨーグルトとマヨネーズを混ぜたソースで和えたサラダを。

 

この日は日本では母の誕生日だったので、彼女の好物のロールキャベツにしたのでした。

 

 

ラプンツェルのある食卓その三、8月11日。

 

 

*Salad à la Betty on Rapunzel, Garlic Herb Marinade Chicken with Grilled Eggplant, Okra & Shiitake Mushroom, and Baked Potato

 

ハーブマリネチキンとベイクトポテト、オクラ、ナス、しいたけのグリルです。

 

ラプンツェルの上にベティ風サラダ(銀之丞の母上に教わったので、我が家では豆入りのサラダをこう呼んでいます)を盛って。

 

 

*Salad à la Betty with Cucumber, Corn, Parsley, Tomato and White Beans on Rapunzel

 

白いんげんとほぐしたコーン、トマト、きゅうり、パセリを赤ワインビネガーとオリーブオイルのドレッシングで和えたサラダです。

 

 

ラプンツェルのある食卓その四、8月26日。

 

 

*Rapunzel with Caprese Salad of Basil, Cucumber, Mozzarella, Prosciutto, & Yellow Peach, and Chiocciole Pasta with Italian Sausage & White Beans in Tomato Sauce

 

ラプンツェルを敷いた上にきゅうりと生ハム、スライスした黄桃とモッツァレラチーズを並べて、バジルを散らしました。

 

白ワインビネガーとオリーブオイルのシンプルなドレッシングをかけて、黒胡椒をチーズに引きました。

 

パスタはキオッチョーレ(カタツムリの形だそうで、このカーブとつるり、クチっとした食感がおいしいんです)を、イタリアン・ソーセージを炒めてトマトの缶詰と白インゲン(これも缶詰)を加えてちょっと煮たところに合わせたものです。

 

 

ラプンツェルはクセがないので、基本、どんなサラダに合わせても美味しいです。

 

ただ、薄くて柔らかいので、ドレッシングと合わせたらすぐ食べないとペチョッとなっちゃうかな。

 

「観察日記」のようなものはつけていなかったので、種まきから収穫までどのくらいかかったのか不明ですが、多分ひと月ちょっとくらいだったかな…?

 

最初の芽が出てから2ヶ月以上経ちましたが、まだ数株残っています…そろそろ薹(とう)が立ち始めるかも…早めに食べてしまった方がいいのかもしれませんが、何かもったいなくて摘み切れない(笑)。

 

 

写真を並べてみて初めて気が付きましたが、どの食事にもアルコールがついてましたね(笑)。

 

外出する楽しみが減った分、酒量が若干増えたかな…?

 

もちろん体重も若干…汗

 

 

そして、ラプンツェルほどじゃあないけれど、理美容院がクローズしたままなので、私たちの髪も伸び放題!です。

 

私は元々ロングですし、前髪くらいは自分で切れますけど、問題は銀之丞。

 

あんまりバラけて来たので、先日私が少し切ってみたのですが…男の人の髪って難しい!

 

あの細かい段!どうやって整えるのっ?!

 

知り合いの女性が旦那さんと息子さんの髪を切ってあげたところ、二人から「Never Again (もう二度と頼まない)」と言われたとか…。(・▽・;)ワラエナイ…

 

先週はスーパーで、20代くらいの男性が、小さな女のコみたいに耳の上あたりで二つに結わえているのを見かけましたが…腕中にタトゥーを入れた、ロックンローラーっぽいニーチャンだったので似合ってないこともなかった…かな?

 

夫の髪を三つ編みにするハメになる前に、床屋さんがオープンしますように!

 

…ちょっとやってみたい気も…。

 

なーんてね♪(^皿^)

 
 
皆様も、どうぞお元気でお過ごし下さい❣️
 

 

 

 

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