12時を過ぎたから、キャンドルを消して、ベッドに横になった。
目は覚めていてなかなか眠りがやってこない。今日も5時半に起きたっていうのに。

色々考えてしまう。
でもまだいいよね、とか。悩みが恋のことだけ、なんて平和すぎる。
仕事は大変だけど、つらくはない。
それでも無理はしてたみたいで、家に帰るとかえって気分が落ち込んで、よけい悲しくなった。



いきなりメールの着信音がして飛び上がる。

「ごめん、寝てた」

彼からだ。ふっと気持ちが楽になる。避けられてたんじゃないんだ。だって煩わしかったら、本当に寝てたふりすればいいんだもの。よかった。
あー、よかった。手放しでは喜べないけど、でも安心した。

彼は、「眠れないから話相手になって」という私の口実を本気にしたらしかった。どうしたの?と聞いてくる。
たぶん、あなたのせいよ。
胸の内で返答して、電話した。

電話を切ったとき、私の目は乾いていた。単純だなあ、って笑みが零れる。





でも、夜の中でキャンドルを見つめているとき、響いてきた声を私は知っている。
その声は言った。私はお前を見つめている、と。
私はお前を逃がさない。
逃げられると思うな。


かつて「それ」と私は常に共にあり、彼はそれを例えて「ひよこの眼」と表現した。ときどき、あの話に書いてあるとおりの眼をするね。
ある小説の題材となっていた「それ」は、いつも誰かの瞳に潜んでいるのだ。
きっと、私の瞳にも。
電話をした
メールも送った

だけど返事がこないから
電気を消してキャンドルを点けた


1人だけのキャンドルナイト
自分の内側から声がする


捨てないでと泣き叫んでいる


何も感じないよりはマシだ
頬につたわる涙を拭う
たたかいは その理由は
勝ってねじ伏せることじゃなく


意のままに支配することでもない


たたかう ということは
誰かを傷つけ 自分を犠牲にする
ある種の覚悟をもって
なにかに臨むことだ


痛みをこらえて
前を見て

何が起こるか
何を失うか

噛みしめながら 臨む


その果てしなさのために
人は何度でも立ち上がる


そのときがきたら
私も戦うだろう


その果てしなさのために
また立ち上がるだろう