鳥になりたいなあ

そしたら今すぐあなたのもとへ

羽ばたいていけるのに


風になりたいなあ

そしたら今すぐあなたのことを

優しく抱いてあげられるのに


けれどあなたにとって

私は鳥だろう 風だろう

あなたの想像を自由に飛びめぐり

あなたの背中をあと押しする

私は鳥だろう 風だろう


隣にいたい 私のままで

ほんとうの願い事は神様にも言わない
もしわたしたちが別れるような
そんな出来事があるとしたら
それは悲しい事だろう

声を限りに泣き叫ぶような
悲しい悲しい別れだろう
人はみな、自分の内側に海があるという。

溢れに溢れ、頬を伝わり落ちたしょっぱい涙が、誰にも知られない広い景色に満ちた。
それは悲しみが打ち寄せることも、怒りに荒れ狂うこともある。
雲が切れて光が差し込むときは、天上のように荘厳で美しいのだという。

海の底には、赤や青の魚が泳ぎ、たくさんの海藻がやさしく揺れている。
岩場に沈黙する貝は、美しい真珠を抱いている。
珊瑚の野原に踊る人魚もいるかもしれない。
人魚の王様の御殿は、透き通る琥珀でできている。

いつも賑やかで、楽しいのだ。
荒れ狂う嵐に怯えて砂に潜るときも、いつかきっと光が差すと知っている。
よいものも悪いものも、海にはいる。もしかしたら魔女だって。

消せない想いや、醜い記憶は、泥のように沈殿している。楽しい思い出は、誰にも触れられない宝箱のなかに。



泣いてしまったときは、私だけの海を思い出そう。
涙の雫のひとつひとつに、代え難い理由があったのだから。