数年ぶりに髪を切った。

軽くなった肩を初秋の風がすり抜け、ふわふわと毛先が踊る。
昨日は1日中雨だったけど、今日はぴっかぴかの晴れだ。片道30分歩いて美容室に向かい、雑誌と持参の文庫本を堪能してまた30分かけて帰った。

なんでずっとロングヘアにしていたか。
惰性で伸ばしてたのもあるけれども、一番の理由はそう、失恋だ。
私は片思いばかりしていた。誰かを好きじゃない期間って、たぶんなかった。
胸の真ん中を風がすり抜けるような寂しさをいつも抱えていた。

失恋ごときで髪型を変えるのが嫌だった。自分の外見を左右される、っていうのが。

そんな訳で10代の頃からずっとロングヘアで、だからちょっと気恥ずかしいところもあるけど、これはこれで私らしいかも。
ちゃんと相談して決めたけど、実際彼はがっかりするんじゃないだろうか。ポニーテールの先っぽをつかむのが好きだったから。

髪を切って心の整理をするのは悔しかった。
その代わり、恋が終わるときに必ず読む詩集がある。さっぱりと泣けて、心が静まる本が。乗り越えるためのお守りみたいなものだ。


彼が恋人になってから、その本を開く機会はまだ訪れていない。
できればずっと本棚の奥にしまっておきたいなあ、と思う。
とんぼみたいに、私も一生かけて恋をしてみたいもの。
止めときなさい、って言われた。そう言うと彼は、グサッとくるなあとしょんぼり笑った。


お姉ちゃんが言うには、幸せじゃない恋愛なんて愚の骨頂で、他の男とずるずる関係を続けるような女に依存する男はろくな奴じゃないし、遠距離と浮気の二重の心配を抱えながら付き合うなんてバカバカしい――のだそうだ。
分かりにくいけど、反対されてることは確かだ。

別れ話を期待してるから。

そこまで言われてしまった。それから、他の男を探しながら付き合いなさい、とも。


他の男か。それって、裏切りに値するんだろうか。そう言えば、ちゃんとメール返してない人もいる。
みんなで遊ぶくらいだったらいいのかな。ちゃんと報告してれば、嘘ついたことにはならないのかな。
疑ってるけど、信じてる。
信じつづけることはほんとうにつらいって、彼は言っていた。


愛の理由は、誰にも分からない。
知ることもできない。

神さまがくれた時間だから、いつ終わるとも知れない。
私はのろのろ考えつづけるしかない。
くるくる回る木馬のように
日曜日が終わってまた始まる
まだ まだ終われないのに
9月の雲はピカピカしていて
靴擦れが気にならないくらい
嬉しくて走っちゃったの


いつか大人になるね
私たちは変わってしまうね
いちばん大切だった友達も
今は会えないでいる

夢の中ではあんなに笑って
しつこいくらい冗談言ったのに
もうほんとの話さえできない
でもまた会いたいから
久しぶりって手を振りたいから
いつでも顔上げて待ってるよ


1日が一週間が宙返りして
また会えないまま明日が始まる
まだ まだ終われないのに
伝えなくちゃいけないから
今日が楽しかったこと
早く早く会いたいなってこと


くるくる回るメリーゴーランド
日曜日が終わってまた月曜日
まだ まだ眠れないから
そうだ目覚ましセットしなくちゃ