分かってる。

分かってるよ。

本当は、誰に訊いてみても。

分かっている。



答えはいつも自分の中にある。

そして、それはどんな人に訊いても、返ってくる答え。

きっと、そう言われると分かっている。



答えは分かっているんだ。

でも、そこに辿り着くための過程が分からない。

良い方法がどうしたって思いつかない。



ただの方法はいくらでも思い浮かぶ。

でも、それの正誤は分からない。

試したことがないんだから、当たり前なんだけど。



試さずに怖がっているだけ。

本当は、それも分かっている。



その怖さに打ち勝って、方法を実行すれば良いのに。

それだけは、いつもいつも出来ないまま。

大事なことをいつも言えずに、中途半端。



それ以上相手を傷つけないために、現時点で相手を大きく傷つけるのであれば。

結果的には、傷つける事実は変わらない。

それも分かっているはずなのに。

また、同じ事を繰り返す。



謙虚??

違う・・・結局、自分が傷つきたくないだけ。

大切な人を大切にしたいのに。

最終的に大事なのは、いつも自分なんだ。



どこが、大人なんだ。

どこが、我儘を言えないんだ。

もう、この行動自体が我儘のようなものなのに。

誰よりも手のかかる餓鬼だ。



ずっと止まらない悪循環。

分かっているのに、治せない。

そんな自分が一番ズルイ。

ズルくて、汚くて。

そんな自分が悔しい。



悔しいのに、なんで治せない?

嫌だと思っているのに、どうして断ち切れない?

どうして、こんな自分になっちゃったんだろう。



真っ直ぐに人を好きになりたい。

ただ、それだけなのに。

なんで、こんなにズルくて不器用になっちゃったの?



その答えは未だに出ないまま。

今日も自問自答しながら、明日を迎える。

はじまりは、ただの音でした。



好きな歌は、メロディの音を好きだから。

歌ってる人とかは、関係なくて。

音楽はすべて、音に聴こえていた。

「音階」じゃないのは、絶対音感は無いから。



どの音がどの音階なのかは、分からない。

けど、その音の並びが好きで。

それ以外はただのオマケだった。



歌ってる人の声とか。

歌詞の意味だとか。

歌以外を構成するバンドサウンドだとか。

歌い方とか。

そんなものは、全然気にしなかった。

というより、関心が無かったのかな。



ただ、その曲の音だけが好きだった。

好きな歌手は、好きな音の並びが多い歌手のことだった。

人の声じゃなくても楽器が変わっても。

音の並びさえ変わらなければ、なんでも良かった。



でも。

そんな音だけの世界を一転させる。

歌に出会った。



その日から、あたしの音楽の世界は。

音から歌に変わった。



歌に込められた、言葉の意味。

歌詞を見ないと、気づかない事。

歌の創造する世界観。


歌い手の息遣いや、抑揚。

歌う姿、表情。

声の質。


歌以外に含まれる。

楽器の音、電子の音。

演奏する人の音の違い。



あんなに「音」しか気にしなかった自分が。

出会った歌の世界。



今では、昔よりも音楽が好き。

そう、胸を張って言える。

もう、今までのように。

音の並びだけに耳を傾けない。



その音も含んだ。

歌というすべてを。

好きだと思う。

何事も無かったかのように、一日を過ごす。

普通に会話して、出掛けて、バイトして。

ご飯も食べるし、お風呂も入る。



そして、夜。

部屋で一人きりになって。

心も外から帰って来させる。



電気も点いていない、薄暗い心の家。

廊下を歩いてる間、ずっと扉を叩き続ける音がする。

細い廊下の奥の奥。

鍵のかかった部屋。

聴こえないフリして、近くの部屋に逃げ込む。



荷物を置いて、部屋に座り込んだら。

留守番していた自分が話しかけてくる。


「おかえり、今日は楽しかった?」

それなりに楽しかったよ。


「何も悩んだり悲しんだりしなかった?」

普通に過ごしたからね。

別になんともないよ。


「じゃあ、あなたの選択は正しかったの?」

「何も考えないで、何も悩まないで、嫌な事から目を背けて。」

「それが正しい事だと思うの?」



正しい、とはっきり言えずに黙り込む。

しばらくして口から零れる言葉は「分からない。」

会話はいつもそこで終わってしまう。



閉じ込めて、冷静を保つ今の自分。

でも、それを正しいと言い切れない自分。

心を守る術が他に見当たらなくて。

どうしたら良いか分からないから、見えないように部屋に押し込んだ。



本当は、間違っているのかもしれない。

だけど、今はこうするしか思い浮かばなくて。

何が分からないのかすら、分からないから。



一人で考え込んで、動けないのが自分の癖。

したいことは分かっているのに。

それが正しいとはっきり言えないことを知っている。

それが他の人に「迷惑をかける可能性が在る」事を知っている。

だから、結局いつも言えない。



最近少し言えていた気がするのに。

また、同じところに戻ってきてしまった。

一番素直になりたい相手に、素直になれない。



「頼って良いよ。」

と随分前に言われたのに。

実は未だに頼り方は分からないまま。



今もまた。

暗い部屋で手探りで探し続けている。