前と同じ自分に戻れないと感じるとき
ふとしたときに、思うことがある。
「前の自分って、どんな感じだったっけ」
当たり前のようにできていたこと。
何も考えずに笑えていた時間。
ごく普通に過ごしていた日常。
思い出そうとしても、どこか遠いもののように感じる。
同じ場所にいても、同じ人と話していても、前と同じようには感じられない。
どこか一歩ひいた感覚、というか。交われない、というか。
まるで、みんなとは違う空間にいるような感じ。
楽しかったはずのことが、今はそこまで楽しく感じられない。興味があったことに、気持ちが向かなくなっている。
「なんか違うな」
そんな小さな違和感が、少しずつ積み重なっていく。
そして、「もう前には戻れないのかもしれない」と思う。
不安、というのとも少し違う。
その「不安」という感覚すら、うまく持てなくなっているような気もする。
できれば、あの頃に戻りたい。
何もなかった頃の自分に。
そう思うのは、きっと自然なことだ。
でも同時に、あの出来事を経験したあとで、まったく同じ自分でいることのほうが、難しいのかもしれない。
世の中は不公平だとよく思う。
最近、ニュースを見るたびにそんなことを考える。
感じ方が変わること。
大事にするものが変わること。
興味の向きが変わること。
それは、何かが失われたというより、何かが大きく変わったということ。
ただその変化は、自分で選んだものではないからこそ、受け入れにくい。
「こんなふうに変わりたかったわけじゃない」という気持ちも、きっとどこかにある。
グリーフの研究では、大きな喪失のあとに「自分が変わってしまった」と感じることは、ごく自然な反応だと言われている。
心が変化しようとしているサインでもあるらしい。
だからといって、すぐに受け入れられるものでもないのだけど。
今の自分に違和感を持つことも、無理のないことなんだ。
無理に戻ろうとしなくていい。無理に同じでいようとしなくていい。
戻れないことを、すぐに受け入れなくてもいい。
「変わってしまった」と感じていること、それ自体が今の正直な状態。
その状態を、いったんそのまま置いておく。
どうしていいか分からなくても、まだ整理できていなくても、それで大丈夫。
前と同じ自分に戻れないと感じるとき。
たぶんそれは、"戻ること"を探す時間ではなくて、"今の自分をどう扱うか"を、少しずつ見つけていく時間なのかもしれない。
すぐに答えが出なくてもいい。今のままで、ここにいていい。
そう、今日も自分に言い聞かせながら生きている。
L菜へ。
「L菜、お空からどんなふうに見えてるの?ちょっとだけ、教えてほしいな....。前のママには、もう戻れないかもしれない。変わっちゃったママでも、ちゃんとママだよね。そうであってほしいな。」

























