先ずは、承認 | コーチング・ガレージ

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公認会計士、弁護士、中小企業診断士、理学療法士、薬剤師、建築士、経験豊富な企業人のプロコーチチームが執筆するブログ。

こんにちわ

次への一歩をアシストするビジネスコーチの福田です。

建設業・SIer・通信建設の業界と、経営管理部門の経験を経て得た知見を軸に、ビジネス現場のアレコレをコーチングの視点からお届けします。

 

企業では、数年前から1on1meeting(以下「1on1」と略記します)が始まり、今やブームと化しています。海外の先進的企業が、それまで運用してきた成果主義型人事制度に限界と弊害を感じて見直し、パフォーマンスマネジメントへとシフトし、これが影響している結果です。

パフォーマンスマネジメントの具体的な手段のひとつとしてコーチングをベースとする1on1 meetingがあり、「ヤフーの1on1」がプームの切っ掛けだったかも知れません。

 

ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法

 

1on1の仔細は、幾つか出版されている書籍を読んでいただくとして、社内セミナーなどを経て展開し、実践している企業は増えていると思います。

私も人事部門をアシストする形で1on1の企画・運営に関わり、情報収集として様々な研究会、事例報告会に参加し、あるいはマネージャークラスの方との対話の中から学んでいます。

ただ、時には、違和感を覚えることがあります。そのひとつが、「共感」です。

ある勉強会で、次のようにプレゼンされました。

『相手の話しには、必ず共感してください』

エッ!「必ず共感」?

私には、この「共感」が少し厄介なのです。

 

1on1がコーチングベースの「部下のための対話の時間」だとすると、そこで求められるスキルは、コーチングの基本的な4つのスキルと言って良いでしょう。

1.認める 2.聴く 3.質問する 4.フィードバック

 

そして、最初に発揮すべきスキルが「認める」と言えます。この「認める」、あるいは「受けとめる」「承認」とも言い換えられますが、ここでは「承認」と表すとして、「承認」と「共感」を切り分けずに、1on1を指導したり、臨んでいるケースがあるかも知れないと思っています。

 

■「承認」

「承認」とは、事実・存在を、評価や批判なしにそのまま受けとめ、「受けとめている」ことを伝えることです。

それは、相手に安心感を与え、信頼関係を築くのに効果的です。相手の存在を認めることであって、必ずしも、共感するということではありませんね。

 

■「共感」

簡潔には、共感は「相手の考え・主張に、全くそうだと感ずること」ですね。

 

でも、少しググッてみると、「共感」あるいは「共感」を組み合わせた幾つもの言葉があります。意外に深いですね。

共感

共感力

共感的理解

共感的傾聴

認知的共感

情動的共感

共感的関心

・・・・・

これらの言葉は、専門領域、立場によって定義や解釈が異なり、同じ言葉でありながら定義は違っていたり、逆に、違う言葉でありながら定義は同義であったりします。その上、単に「共感」と略して使われることもあります。果たして指導が成立しているのだろうかと、少し懸念してしまいます。

 

言葉足らずのまま安易に『必ず共感』と指導したり、単純に「共感」すれば良いと理解することは、望ましくない結果に繋がるかも知れません。

大切な要素なので、私自身、少し深掘りして整理したいと思っています。

 

概して、「承認」は必須でしょう。一旦、受け取ることで、相手は話しを聴いて貰ったと感じます。

ただし、次のような姿勢で1on1に取り組んでも、信頼に繋がる対話にはならないでしょう。

相手をあしらうような気持ちがある

・承認と共感を取り違えたままである

・安易に共感の言葉を返す

 例えば、

 「あー、それ分かるぅー!私も〜!」 みたいな

 

1on1を始めたばかりの方は、先ずは、事実・存在を、評価・批判なしに、

例えば、

「そう考えているんだね」

「そう感じているんだね」

と、そのまま受けとめていることを伝え「承認」しては如何でしょう。

その上で、更に対話を進め、深め・・・。

 

そして真に共感することが出てきたら、その時は、素直に自分の言葉で共感する気持ちを伝えれば良いのだと思います。

ただし、口調と表情と態度には気を付けて(^o^)

 

次への一歩をアシストするビジネスコーチ

「思考整理の案内人」こと福田でした。
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