オーケストラ・クラス  ~La Mélodie~ | Coach MasHのボヤキblog ~働く人 働きたい人を応援します~

Coach MasHのボヤキblog ~働く人 働きたい人を応援します~

旅が好き 映画が好き 頑張る人が好き
出会いや感動、寂しさや嬉しさをブログに書いていきます。
ちょっとぼやきも・・・

本日もお付き合いくださり、ありがとうございます。

 

前々から気になっていた映画を観てきました。

「オーケストラ・クラス」というフランス映画です。

 

 

 

パリの19区にある小学校で、音楽クラスを選んだ子供たちに楽器を教えるクラスです。

地元のオーケストラ団体が行っている音楽プログラムの一つです。

 

この物語の主人公の一人は、この学校に赴任したヴァイオリン奏者ダウド。

パリとはいえ、多国籍の子供たち、家庭に問題を抱えた子供も多い学区。

クラス内のいじめや喧嘩も日常茶飯事で、担任の先生も気が気ではありません。

担任の先生はブラヒミ。なかなか子供の目線で物がみられるよい先生です。

そんな先生も手を焼く、とてつもない乱暴な子供たちが登場します。

 

元々はおとなしくて真面目な音楽家ですから、子供の教育なんてしたこともない。

そんなダウド先生が子供たちにヴァイオリンを教えるのは至難の業でしょうね。

毎日毎日イライラしながらヴァイオリン指導をしているわけですが、

そんなときに、窓の外から、じっとその様子を見ている少年アーノルドがいました。

小太りで表情も暗く、やんちゃ坊主から恒常的に虐められているような黒人の男の子です。

何でおまえが来るんだ!と大声を上げられながらも、やりたいと言い出したアーノルド。

彼も、この物語の主人公の一人ですね。

インターネットでヴァイオリンの弾き方を観ながら、練習をするほどの熱心さ。

お母さんに見つかると怒られるので、ビルの屋上で一人練習を重ねます。

 

オーケストラクラスの子供たちに与えられた最終目標は

パリのオーケストラホールで演奏する『シェエラザード』という曲です。

ダウドはその曲を徹底的に子供たちに教えなければなりません。

しかし、聴くに堪えない・・・笑

映画を観ていてもイライラしますよ。

「この微妙にずれたこの音をどこまで我慢させるんだ!」と耳を押さえたくなる。笑

 

その中で救世主現る。アーノルド、です。

この雑音騒音の中でも、ダウドの耳にはちゃんとわかるんですね。

アーノルドはシャイで、なかなか人を信じることができない子です。

人の前で弾くなんてできないというアーノルドの才能を発見したダウドは、

彼をソロパート奏者に決めて、徹底的に指導することになります。

 

初めて自分の能力を褒めてもらったアーノルド、嬉しかっただろうなあ。

そして、子供の成長を見守る喜びを得られたダウドも、絶対に嬉しかったはずです。

 

しかし、一人の才能を見つけたからと言って、オーケストラが完成するはずもなく、

そして、音楽の喜びを全員がわかったわけではなく、

クラス一番のガキ大将のサミルのあまりの態度に、ダウドは切れて突き飛ばしてしまいます。

それを聴いて親が怒鳴り込んできます。

オーケストラに邪魔な子供は要らんとばかり、謝りません。

でもね、アーノルドを観ているとそういうわけにもいかないなと思うわけです。

サミルの家に謝罪に行き、サミルが本当はヴァイオリンを続けたいという意思を確認します。

 

このシーンでやっぱり音楽ってすごいって思うわけです。

激怒している父親や不信感を持っているサミルが、ダウドのヴァイオリンに魅せられていく。

音楽の力って、本当にすごい。

心が持って行かれる。自然に涙が出る。

サミルもサミルの両親ももう一度オーケストラクラスに戻ることを決意します。

 

しかし、子供を教えることにもダウドが疲れてしまいました。

早く音楽家としての穏やかな生活を取り戻したい。

いつもきれいな音色の中で過ごせる喜びをもう一度味わいたいでしょうね。

弦楽四重奏のメンバーには入れることが決まり、学校を去る決意をします。

さぞや満足かと思いきや、彼は満足しない自分に気づきます。

「音楽家に戻ったのに、演奏したら全然楽しくない。」

 

ダウドさん、人に何かを教えることの喜び、知ってしまいましたね。

ほんとにたまんないんですよ。

わかった!って思った瞬間の表情がとてつもないパワーとなって帰ってくる。

子供の成長をみたいと思ったダウドの心は、再び学校に帰ってきました。

 

ここから本当のオーケストラクラス。

オーケストラとしてまとまる力となるために、彼らが大きな試練を超えていきます。

ダウドとアーノルドの関係、アーノルドとクラスメイトとの関係、

オーケストラクラスの行く手を阻むものとの格闘、思わぬ協力者たち。

そして、何よりも、ダウドの変化が物語をどんどん感動的にしていきます。

 

映画はストーリーだけを確実に伝えるのではなく、

ドキュメンタリータッチで、子供たちの会話や子供たちの緊張の表情をを描いています。

そんなストーリーとは直結しないシーンが、私にはとても感動的で、涙が出てきました。

 

音楽の力ももちろん存分に味わえますが、子供たちの自然な表情も心に優しく、感動します。

もう一度観たい、聴きたいと思わせてくれる映画です。