承認がひらく、人生の可能性 | 津田紘彰のブログ

津田紘彰のブログ

日本コーチングセンター所長の津田紘彰(つだひろあき)が、コーチングを中心に生きることや日々学ばせて頂いたことについてお話しさせて頂きます。
少しでも皆様の気づきや元気に繋がりますように。

本日はコーチングアカデミー名古屋校にて、授業を3時間×2コマ担当させて頂きました。

今日も、もうすぐ臨月を迎えられる妊婦さんから、初めてコーチングの授業を受けられる方など様々な方にお集まり頂き、皆様のコーチングアカデミーへの期待をひしひしと感じながらの登壇でした。

いつも、帰りの電車の中では、今日の講義はどうだっただろうか、自分は責任を果たし得ただろうか、と振り返りながらの帰宅です。

本当に責任重大な、身に余る役割を頂いているのだと思います。「かたじけない」という思いが湧き上がって参ります。

コーチングの楽しさや素晴らしさを学んで頂き、それを生徒さんお一人お一人が、日常生活や人生において活かして頂けるような、前向きなイメージと具体的な行動を作ることが出来ただろうか、と。

今後も真心を込めてお伝えし、ひたすらに精進あるのみです。

お忙しい中、お越し頂いた皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

午前中は「マスターコーチングガイドライン」

マスターコーチングの概念や成り立ち、習得することによって人生にどのような違いを作り得るか、そして私のコーチング愛をめいいっぱいお伝えさせて頂きました。

午後は、私が今周りの方にも本当に学んで欲しいと思っている単元、「承認」について徹底的に学びました。

コーチングがお伝えする承認とは、ただ「認める」「褒める」ということではなく、それに加えて相手に対する労い、励まし、いたわり、感謝、尊敬、存在肯定などの意味を含んだ新しい言葉です。

それを、相手が一番受け取りやすい形にして、言語で、または非言語で、そして態度や生き方を以てお伝えすることで、相手の心が励まされ、肯定され、相手の新しい行動や生き方を強く後押しできます。

相手の人生を変えることが出来る、承認はそんな力を持っています。

今の日本は、家族の絆、友達や先生との絆、社会や国との繋がりがますます希薄になってきています。

大震災をきっかけに少しだけ、以前よりも絆や思いやりといった日本人が本来持っている良さを思い出すことができました。

しかし今の学校教育では「個」をのみ尊重し、本来は義務と表裏一体であるはずの権利の重要性のみを教え、家族や地域や国、地球に対する感謝を教えず、子どもたちから繋がりや絆の美しさを奪い、自己イメージを下げてしまっています。

中学校で実際に使っているという家庭科の教科書を見て、私も愕然としました。

「祖母は孫を家族と思っても、孫は祖母を家族と思わない場合もあるだろう。(中略)犬や猫のペットを大切な家族の一員と考える人もいる家族と考える人もいる。(中略)家族の形は、様々である」

こんなことが大真面目に書かれているではありませんか。

この文脈から感じられるニュアンスは、「おばあちゃんを必ずしも家族と考えなくてもいいんだよ」ということです。

しかも、犬や猫というペットと、自分の命の恩人であるおばあちゃんを同列に並べてしまっている。

祖父母やお父さん、お母さんを否定する心から、真の「自己肯定」は産まれるでしょうか。

また、便利で豊かで快適な生活は、一人でも生きてゆけるような錯覚を起こさせ、人間から「繋がり」や「達成感」を奪ってゆきます。

そして、便利であるがゆえに、逆に多くの不平不満を生み出してしまいます。

心に積もる不平不満、そして将来に対する不安感は、ますます人の自己イメージを下げてゆきます。

縁あって私が仲良くお付き合いしている高校生の男の子は、がっちりとした体格で人懐っこくて笑顔の素敵な、みんなにもとても好かれている好青年でした。

苦労して、ある国家資格を取る学校に入り、国家試験に受かったら、いっぱい色んな人を助けたい、そんな素敵な夢を持っています。

しかし彼は自己イメージがとても低く、出会った頃、私に言いました。

「ヒロさん、俺なんかどうせダメですよ。性格的に負け組だし。俺なんか生きている価値なんかないですよ」

今の若者たちが、自分や自分の人生をどう考えているのか、端的に表現している言葉だと思います。

その言葉を受け、君がどれだけいいやつなのか、どんな素敵な優しい心を持った青年なのか、これからどんな素晴らしい人生を創ることが出来るのか、ということを、会うたびに私は彼に伝え得る範囲で「本気で」伝え続けました。

たったそれだけのことで、彼は初め、「そんなこと親にも言ってもらったことないです」と目を潤ませ、会うたびごとに、元々持っていた素敵な笑顔がますます輝いていきました。

承認とは、こんなにも大切なものなのだな、と改めて思った出来事です。

今、大人も子どもたちも、自分の生きる意味や存在価値を見出せず、本当に苦しんでいます。

家族の会話はなく、友達とは携帯ゲームを持ち合って無言で遊ぶ。

携帯を持っていなければ重要な連絡でさえも取り合えない、そしていじめの対象にすらなる。

何と希薄な人間関係なのだろうと思います。

お父さんは懸命に働いてきた職場から、業績の悪化という理由だけで突然リストラを言い渡される。

核家族化が進んでおじいちゃん、おばあちゃんの力や知恵は借りられず、子育ての悩みは全てお母さんが背負って育児ノイローゼや虐待は増加の一方。

今の日本では、家族や地域とみんなで支え合い、励まし合って生きるという美しい行為が、困難になっています。


人は一人では生きてゆけず、誰もが励ましを必要としています。

コーチングがお伝えするところの「承認」を学び、実生活に少しずつでも生かしてゆくことが出来れば、人と人との絆や感謝、家族の愛を取り戻すことが出来ると、私は確信しています。

悲しい事件を起こしてしまった多くの犯罪者の近くに、彼らを本気で承認してくれる人が一人でもいれば、多くの事件は起こらなかったのではないでしょうか。

「俺、お前がいてくれてうれしいよ」

「俺、お前に会えてよかった。いつもありがとう」

「お前、本当にいいやつだよな」

「お前は、ずっと大切な友達だよ」

そんなたった一言を本気で伝えてくれる友達が一人でもいたら、彼らは「世の中が憎い」と人を殺めたでしょうか。

止められない犯罪も、もちろんあったかもしれません。

しかし止められた犯罪は、もっと多かったかもしれません。

相手の心に伝わり、人生を変え得る力を持つ承認を、これからも伝え続けてゆければと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

もしこれを読んで下さった方がいらっしゃいましたら、ほんの少しだけ(結構大きな?)勇気を出して、大切な旦那さんや奥さんやお子さん、友達、同僚に、感謝の気持ちや、ねぎらいの気持ちを直接、又は手紙で、電話で、メールで伝えてみてはいかがでしょうか。

恥ずかしい?

恥ずかしいのがいいんです(笑)

恥ずかしくて当たり前なんです。

何だよ急に!と言われるでしょう。

いや、坊主頭の津田ってコーチのおっちゃんが、承認は大事だよって言うから、ちょっとたまにはありがとうって伝えてみようかなと思って。あはは…

これで相手は納得するはずです(笑)

何だよ急に気持ちわりーなーとか言いながら、ちょっとだけ嬉しそうにしていたら大成功ですね。

勇気を出して行動を起こすことなしに、人生は変えられません。

このブログを打ち終わったら、私も改めて、また妻に感謝の思いを本気で伝えてきます。

明日も皆様にとって、かけがえのない一日となりますように。

いつもありがとうございます。

おやすみなさい。