大好きなグスタフ・クリムトの絵が挿絵にされた素敵な詩集と詩人に出会った。
NHK『あの人に会いたい』を見て惹かれた長田弘氏の詩集『長田弘詩ふたつ』
森には、何一つ、
余分なものがない。
何一つ、むだなものがない。
(中略)
わたしたちが死んで、
わたしたちの森の木が
天を突くほど、大きくなったら、
大きくなった木の下で会おう。
わたしは新鮮な苺をもってゆく。
きみは悲しみをもたずにきてくれ。
そのとき、ふりかえって
人生は森のなかの一日のようだったと
言えたら、わたしはうれしい。
森の中には理想的な生活がある。
確か『ぼく モグラ キツネ 馬』にもそんなくだりがあった。
わたしたちの人生は森のようで
何一つむだなものはなかった。
逝く間際ではなく
もっと人生を楽しめる余白があるとき、それに気がついたのならば、
人生は森のように豊かでたのしいのだ。