フラット化している世界 | KANSAI Buyer's world

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「関西版購買ネットワーク」に参加しているメンバーの日常をつづるブログです。

7/12付日経新聞の1面は、前日に行われた参院選で、与党である民主党が大敗し過半数を
割り込んだという記事が紙面を占領する一方、同じ1面の左端に、「NECが人事関連業務
10万人分を中国に移管」の見出しが。数年前に出版された<フラット化する世界>で克明に
記された事柄が、まさに今も着々と進行している・・・と感じました。


<フラット化する世界>が出版されたのは2006年でしたが、その時既にアメリカの
公認会計士がインドへ所得税申告をアウトソースしていたり、航空会社への問い合わせが
同じくインドで処理されていたりといった事象が記述されていました。同著では海外への
BPOに焦点をあてたものではありませんが、それでも単純作業は人件費の低い国へ流れていく
という点については、いずれ日本もそうなると危惧された方も多いと思います。


また中国といえば、先日来工場で待遇改善や賃上げを求めるストが頻発し、世界に大きく
報道されたばかりです。中国への業務移管はおそらく数年がかりで練り上げられた
プロジェクトであり、直近の動きだけで全体を見直すわけにはいかないでしょうが、
このタイミングで断行したことについてはやや意外感を禁じえないのと同時に、徐々に
進行している変革がやはり生半可なものではないと考えさせられます。


産業の育成の観点から見ると、こういうことは国家や政策のバックアップが影響することが
多いですが、現状日本に他国と同じような施策が実行されているか、というより戦略として
考えられているかというと、具体的なものはない・・・というのが一般的な感覚でしょう。
また参院選の結果により再び「ねじれ国会」となる国政に、短中長期のいずれでも、
効果のある政策は期待できそうにありません。


一部の企業はもはや国には何も頼らないという前提で事業戦略を考えているそうですが、
今後バイヤーとして・・・というより労働者として、我々も来るべき時代への対応を急ぐ
必要がありそうです。



(北条)


フラット化する世界(上)  

KANSAI Buyer's world-フラット化する世界

定価:2,100円

著:トーマス・フリードマン

訳:伏見威蕃