7/4(日)と7/5(月)の日経新聞に、相次いで公的機関の調達を見直す記事が掲載されました。
「自衛隊装備 修理含む包括契約に」・・・防衛省、費用の抑制狙う:従来修理や部品補充は
大本の調達費とは 別にその都度計上しており、修理が多いほどメーカーの売り上げが
増える仕組みだった。これを修理費などを含む長期包括契約に切り替え、企業側の
開発努力次第で利益が多く残るようにし、開発段階からの品質改善と防衛費の確保を
両立させるようにする。(7月4日付1面)
「政府調達 競り方式で安く」・・・何度も入札可能、2-3割下げ目標:インターネットでの
<リバースオークション>を活用する。まずはオフィス用品などの購入に適用し、将来は
公共工事の建築資材などに広げ、約10兆円に上る政府調達費の大幅な削減を目指す。
(7月5日付1面)
いずれも民間企業では以前から・・・というより、昔から形を変えながら採用していた方式ですが、
なぜ公的機関では同様の取り組みが今に至るまで行われていなかったのでしょうか?
色々な要因はあるのでしょうが、そのうちの一つに「まあやらなくてもいいか」という心理が
トップから末端の実務担当者に至るまで染み付いていることがあると思われます。逆に
そういう取組を徹底している民間企業では、社員全員がごく普通に日常的なアクションを通じて
意識するような仕組みがあります。
例えばある自動車メーカーでは、経営トップ自ら定期的に工場を歩き回り、1円でもコストを
下げられるアクションがあれば即座に実行に移すよう指示が飛びます。またオフィスでも、
机の上の電灯一つ一つに消点灯用のヒモがついていて、自分が使わない時は毎度毎度
消灯するようになっています。文房具は買わずに使いまわし、コピー機に至ってはコピーを
社員に使わせない為オフィスから全て撤去してしまいました。それでも仕事はちゃんと回ります。
テクニカルな面はさておき、社員全員にコスト意識を持たせるには、景気が悪くなった時や、
業績が一時的に落ち込んだ時にやっても、またすぐ戻るだけで効果はありません。やはり
トップが先頭に立って取り組む姿勢を【常に】社員に見せることにあると思います。
「なぜそんなことをしなければならないか?」を考え続けるところから様々な仕組みやルールが
生まれて試行錯誤するわけで、そもそもそのことを認識しなければ何も変わることはありません。
ちなみに執念とも言うべきコスト意識を持っているトップには、企業の創業者が多いような
気がします。おそらく創業以降の幾多の資金繰りを克服してきたが故の意識ですが、こういう
問答無用の哲学は宗教的に社内に根ざすので、ある意味で最強の仕組みなのかもしれません。
(北条)