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通時的視点の重要性

lessee 借地人
lessor 地主、家主

Bauer の見解: lessee の語幹は les ではなく lis で、音素上の都合で lessee となったらしい。 (Laurie Bauer. English Word-formation. Cambridge: CUP. 1983) どうやらBauer は lessee to lease の派生語としてとらえているようである。Bauer は -ee のつく語は、動詞をもとに作られると考える。

が、Mühleisen は lessee は to lease の派生語ではないとし、15世紀に lessor に対応する語としてつくられたととらえる。 Mühleisen の基本的な考えは、-ee のつく語は、動詞から作られることもあれば、名詞から作られることもあるというもの。(Susanne Mühleisen. Heterogeneity in Word-Formation Patterns. Amsterdam / Philadelphia: John Benjamins Publishing Company. 2010)

Mühleisen は語の形成について歴史的な変遷をたどることを重要視し、synchronic な視点からだけ捉えるのでは、語形成の多様性・雑多性を見落としてしまうと指摘する。


たしかに、通時的な視点とは、歴史的視点である。
現在の物事を現在だけの視点で見ると、重要な点を見落とすことがあるし、なにより、一面的な捉え方にとどまるために、ものごとの奥にあるはずのカラクリに気づけない。

江戸時代には3つの改革があった。享保の改革、寛政の改革、天保の改革。
今の時代の政治のごたごたも、先の時代から振り返ってみると「○○党の悪政」という小見出しで括られるだけかもしれない。「○○控除」をやめた代わりに「○○手当」をあげたが、お金のばらまきと批判されたなどと説明されそう。長い目で見てなにか大きな決定的な変化、それこそ言語で言う「派生」を生み出さなければ、なにかが変って行くとは言えないのではなかろうか。