②株価と財務指標分析:ROAとROE
ROA = 事業利益(営業利益+金融収益) / 総資本
≪事業リスク≫
・企業活動に固有の将来の事業利益(またはEBIT)の不確実性に関するリスク
・負債のない企業では、企業の総リスク=事業リスク
≪財務リスク≫
・負債によるROEの振幅作用のこと
・負債利子率<ROA・・・負債比率が大きいほど、純利益が増加
・負債利子率>ROA・・・負債比率が大きいほど、純利益が減少
≪ROEとROAの関係≫
・事業利益 = 総資本 × ROA = ( D + E ) × ROA ・・・①
・支払利息 = 負債 × 負債利子率 = D × i ・・・②
・① - ② = 事業利益 - 支払利息 = 税引前利益 = E × ROA + D × ( ROA - i ) ・・・③
・③ ÷ E = ROE(税引前) = ROA + ( ROA - i ) × D/E ・・・④
・④ × ( 1 - t ) = ROE(税引後) = { ROA + ( ROA - i ) × D/E } × ( 1 - t )
①ROA> i の場合は、D/E(負債比率)が高いほど、ROEは高くなる。
②ROA< i の場合は、D/E(負債比率)が高いほど、ROEは低くなる。
つまり、負債比率が高いほど、ROEが変動する幅が大きくなり、リスクが大きくなる。
自己資本比率が低い場合、業績変動を増幅する程度が大きくなり、支払利息控除後の将来の業績予測が困難となる。
②株価と財務指標分析:株価と財務指標
・財務データを適切に予測できるのであれば、将来のEPSも適切に予測できることを示している。
・そして、EPSが適切に予測できるのであれば、それにアナリストが適切と判断するPERを乗じれば、理論株価が算定できる。
≪株式≫
・重視されるのは収益性分析と成長性分析
・債権者に利息を支払い、政府に税金を支払った後に残る税引き後利益の投資額に対する割合=ROEが最大の関心事
ROE<要求収益率のとき、株主は投資回収し、他の株式に乗り換える→株価下落
ROE>要求収益率のとき、潜在株主が新規投資、株式は変われ、株価は上昇
また、現在の利益水準とともに重視されるのは、今後の1株あたり利益の成長率(EPS成長率)
≪社債≫
・債権者は、株主に優先して確定利息を回収でき、事業の利益水準が利息の支払いに十分な水準を確保していくことができるかという点に関心
・投下資本に対する事業利益の水準=ROAがもっとも重要な指標
・ROAが高くても、債務過剰で他の債権者に支払う利息が多くては困るので、事業利益が支払利息の何倍か=インタレスト・カバレッジ・レシオも重要
①財務分析のフレームワーク:会計分析のプロセス
1. 重要な会計方針等の確認
2. 会計上のフレキシビリティの評価
(退職給付に関する各種設定比率(年金資産の期待収益率、年金債務の割引率など)は適正か)
3. 会計戦略の評価
4. 情報開示の評価
5. 潜在的リスクの評価
(売上の増加率に比べて、売掛債権増加率が異常に増加している場合や、損益計算書の利益金額と営業キャッシュ・フローとの関係に異常な変化があった場合)
6. 会計上のゆがみの訂正
①財務分析のフレームワーク:経営戦略分析
◆競争戦略分析
・企業が他社との競争優位を確保するための基本戦略
1. コスト・リーダーシップ戦略
広い業務範囲にわたって、もっとも低いコストを実現することによって、競合企業に対して競争力を確保し、シェアの拡大を追及する経営戦略
2. 差別化戦略
製品、ブランド・イメージ、技術、サービス、販売チャネルを差別化することによって、付加価値を高め、採算の向上を通じて収益力の維持・改善を図る戦略
3. 集中戦略
特定の顧客層や市場、販売チャネルなどに集中する戦略
≪参考≫
営業部門との協働で推進するナレッジマネジメント
①財務分析のフレームワーク:戦略グループマップ
◆戦略グループ・マップ
・同一業界内の企業格差の生じる原因を分析するフレームワーク
・以下の次元に企業の戦略を分類し、戦略的特長をマップ上に描く
専業度
ブランド志向度
プッシュ型かプル型か
流通業者の選択
品質
技術のリーダーシップ
垂直統合
コスト面での地位
サービス提供度
価格政策
レバレッジ
親会社との関係
自国政府および活動拠点政府との関係
①財務分析のフレームワーク:5 Foreces
◆5 Forces
(1) 参入の脅威
①規模の経済
・一定期間内の生産絶対量が増加するほど製品の単位あたりコストが低下する業界では、既存企業が既に十分な規模の経済性を確保している→新規参入は難しい
②先発企業の優位性
最初に参入した企業が業界標準を確立した場合や、学習効果により絶対的なコスト優位を確立した場合→新規参入は難しい
③流通チャネルの確保
既存企業が流通チャネルを確保している場合→新規参入は難しい
④法的障壁
免許規制や特許権あるいは著作権という法的障害
(2)既存企業間の競争
①産業の成長率
・産業が急速に成長→既存企業はシェア維持で成長達成
・産業の成長が停滞→競争相手からシュア奪取→企業間競争
②集中度と競争業者のバランス
・寡占状態→競争は生じにくい
・業界が小規模な企業で細分化→競争は生じやすい
③差別化と切り替え費用
・製品・サービスが差別化、他社への切り替え費用が高い→価格競争は生じにくい
・似たような製品・サービス、切り替え費用が安い→価格競争
④規模の経済・経験の経済
・学習曲線の傾きが急な企業やその他の規模の経済が働く企業→生産量増大によりコスト低減可→価格競争参入を誘引
⑤超過生産能力と退出障壁
需要に対し、超過生産能力保有→価格下げ需要増加の誘引
(3) 代替品・サービスの脅威
その機能を代替する製品・サービスが存在→代替品との価格競争
(例) 国内線航空会社→業界内競争+鉄道と競争
(4) 買い手の交渉力
①価格感応度
製品・サービスが差別化されておらず、切り替え費用が少ない→買い手は価格に対してより敏感
②相対的な交渉力
自動車メーカーが部品メーカーから部品を購入する場合、複数の代替メーカーから選択できること、切り替え費用が低いことにより、強い価格交渉力を持つ
(5) 売り手の交渉力
売り手の数が限られている場合、代替品がない場合、売り手の交渉力は強い
(例) インテルは、パソコンメーカーに対して相対的に強い価格交渉力
≪参考≫
経営学実践講座 第11章 競争戦略論
http://www.initiaconsulting.co.jp/archives/management/2_11.html
@IT情報マネジメント用語辞典[ファイブフォース]
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/fiveforces.html
証券アナリスト二次試験
私は昨年、証券会社のプライマリー部門に転職致しました。
転職する前はまったく金融とは畑違いの分野で仕事をしており、
転職して業務にすぐについていけるようにと、昨年証券アナリストの
一次試験を受験し、無事三科目同時合格することができました。
しかしながら、今年の二次試験は仕事が多忙な時期と重なり、
勉強不足と極度の疲労で勉強する気が起こらず、試験も受けませんでした。
資格教室にお金を払ったものの、通うこともままならないまま終わりました。。
来年こそは!ということで、再戦を誓い、勉強を開始したのですが、
なかなかやはり計画通り進めるのは難しいものです。
ということで、今はできるだけ毎日こつこつと勉強をし、
その内容をブログにそれをまとめていきたいと思います。
主に証券の学習内容がメインとなりますので、
同じく受験される方や既に合格した方と一緒にがんばっていければと思います。
どこまで続くかわかりませんが、継続は力なり。
駆け込み的に勉強するのではなく、継続的に勉強をしていきたい。
でもきっとうまくいかないときや、大変な日だってあると思うから、
時には愚痴りながら、励ましあいながら、やっていければと思います。
次回こそは!これから努力のみです。