週刊誌 Le Nouvel Observateur の2009年10月15-21日(通巻2345)に掲載された La carte scolaire devait disparaître - La grande esbroufe (学区は消えなければならなかった - 大いなるはったり)という記事です。
La carte scolaire devait disparaître
ニコラ・サルコジが約束し、誓い、信念としたこと。3年後、大統領が高校の改革を約束する一方で、この約束には何が残っているのか?
高校はより公正になり、より効果的にもなる。それが、大雑把に言えば、ニコラ・サルコジの最後の約束だ。驚くことでもない。彼はこのように、我々の大統領なのだ。彼は社会の不公平、特に学校での不公平に耐えられない。彼にはそうせずにはいられない。それから、何かが上手くいかないとき、彼は回り道しない。悪を根元から断ち切る。そう、学区の廃止、彼の大きな約束だ。それは長引かなかった。40年以上前からフランスでは、社会的混成、我々の共和国的理想に大切な機会の平等を保障するために、子供を決められた学校に登録せざるを得なかった。学区制は本当のザルになっていた。「役立たずになったが誰もそう言わない、古い道具」と、サルコジは選挙運動中に怒っていた。「悪い」中学から逃れるために、情報に通じた家庭が展開するコネや計略のために、一方では最も力のない学校の質素な階層の生徒がいて、他方では、最も優れた学校の最も恵まれた家庭の生徒が見られるようになった。そしてもちろん、実に単純なことだが、問題を解決するためにニコラ・サルコジは学区制を廃止した。
政権のハンドルを握ってすぐの、2007年5月から、まだ書類整理箱の中だったが、サルコジの教育相グザヴィエ・ダルコスXavier Darcosは父兄のために休憩時間を合図していた。全ては次の新学期のために固定されていたが、どうでもよい、大臣は特例の申請を再開した。一部の教区に素晴らしい混乱を撒いた。なぜなら不公平は続くことができなかったから。一部の研究者は、疑いなく悪い言葉で、余り高貴でない魂胆があるのではないかと疑った。選挙優先主義的なものを。「学区制は特に中流階級や上流階級、公立学校に愛着のあるが、高級住宅地に住む手段を持たない、知的職業層を苛立たせていた・・・」と、社会学者のアニエス・ヴァン・ザンタンAgnès Van Zantenは説明する。この問題の専門家である彼女は、父兄の選択に関する新たな著作を発表したところである。3年後に、どういう状態にあるのか?自由と平等は?新学期の演説で、我国の政府がささやかな勝利を得たことを信じたとして、新大臣リュック・シャテルLuc Chatelは、この問題に関して数行を割り当てたに過ぎない。現実には、自称学区の廃止の3年目の結果は、予告された目的からは遠い。はるかに遠い。
自由?政府の約束を信じていた父兄の多くは、地域分化がなおも厳しく残っていることを発見して椅子から転げ落ちた。「書類を受け取ったとき、私は自分の目が信じられなかった!」と、パリのある中学生の母親は語る。初めて、学校の割り当てに対して怒る父兄の派手な集団が、この夏、パリで作られた。ニコラ・サルコジやグザヴィエ・ダルコスの繰り返された宣言に反して、地域分化は規定として残っている。外の学校に登録するためには今でも、教育省のサイトで入手できる十分に厳格な基準のリストに基づいて、おまけに「通学できる範囲内で」、大学区長に特例を申請しなければならない。明らかに、これで全てまたはほとんど全てが変えられる。「なぜなら、全ての父兄が同じ学校を希望するからだ」と、ある学区の視学官は説明する。そこで、シャルルマーニュChharlemagneとその系列のような、パリの有名校で追加の教室がいくつか、象徴的に開かれた後は、大したことは起こっていない。当初は2010年と発表されていた、学区の消滅はもはや、時の話題になっていない。そう、特例の申請は増加した。そう、その申請は殆どの満たされるが、圧力が余り強くない所でだけである。
そして平等、社会的混成は?「教育省は、学区の緩和は成功したと断言している。しかし、それを証明する数字を発表することは拒否している。現場で、我々は反対の事実を管区任している。最も優秀な生徒は、特例を申請して困難な状況にある学校から逃れている。このことが状況をさらに悪化させる」と、SNPDEN(国民教育指導部職員全国組合)の書記長、フィリップ・トゥルニェPhilippe Tournierは断言する。質素な家庭は、子供をよりエリート的な学校に行かせることを躊躇する。そこで子供たちは、居心地の悪い思いをするかもしれないからだ。「そうした家庭は、子供たちが優秀な成績を得る場合しか、“リスク”を取らない」と、アニエス・ヴァン・ザンタンは説明する。「通学費と学食の費用」を除いても。社会学者のマリー・デュリュ=ベラMarie Duru-Bellatは非難する、「政府は、特定の学校を避けるという、症状を攻撃する。そこで与えられる教育の質の悪さという、疾病を攻撃することなく。」 新しい高校については、同じようにならないことを期待しよう。
VÉRONIQUE RADIER
Le Nouvel Observateur 2345 15-21 OCTOBRE 2009
http://hebdo.nouvelobs.com/hebdo/parution/p2345/articles/a410874-.html
次回 は関連記事として、同誌に掲載された Reportage au collège Lenain-De-Tillemont - Quand les bons élèves partent (ルナン=ド=ティルモン中学のルポルタージュ - 優秀な生徒が出て行くとき)という記事を元にしたエントリーを掲載する予定です。
過去に、中学校の学区制に関して言及したエントリーをまとめておきます。
フランス人が見た英国の学校選択制(1) 2007-01-24
フランス人が見た英国の学校選択制(2) 2007-01-25
フランス人が見た英国の学校選択制(3) 2007-01-26
フランス人が見た英国の学校選択制(最終回) 2007-01-27
フランスの学校制度「改革」-学区の廃止による自由選択制 2007-06-09
自由という幻想:学校選択の帰結(Obsの記事) 2008-10-22
【続】自由という幻想:教育学者の指摘 2008-10-23